ほんとうに久しぶりの昭和女子大人見記念講堂。
いつだったかの「題名のない音楽会」の収録以来かなー。
鮮明に記憶に残っているのは、開館間もない1980年代中頃??のクラウディオ・アバド指揮のロンドン響の来日公演。「火の鳥」組曲とマーラーの「巨人」でのあまりも鮮烈な演奏はホールとともに記憶に刻み込まれてます。
日本フィル特別演奏会
指揮:カーチュン・ウォン
ピアノ:小菅優
ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番
(アンコール)
・ショパン:練習曲集から「エオリンハープ」
チャイコフスキー:交響曲第5番
どういう趣旨があって人見記念講堂で公演が持たれたかよく分かりませんが、単なる名曲プログラムに留まらない、綿密に作りこまれた演奏が見事でした。
カーチュンと小菅さんのラフマニノフは、昨年1月に第3番で共演済みですが、あの時の素晴らしい演奏ですぐにこの共演が決まったのでしょうかね。
それくらい息の合った見事なラフマニノフでした。
小菅さんのタッチは力強く、”実”があって分厚いオケのサウンドにも負けない強力なものがありました。
日本フィルのサウンドも素晴らしく、弦楽器群の艶やかさに金管楽器群の強靭な響きと、ラフマニノフの魅力を存分に体現していました。
ピアノがメインで、弱音でピアノを支えるところのアンサンブルも秀逸で、聴き慣れたこの作品で「ここでオケがこんな動きをしてたんだ!」など新しい発見も多々ありました。
後半のチャイコフスキーもキレッキレの目も覚めるような演奏で、めちゃくちゃかっこよかったです。
カーチュンの指揮ぶりは動きが面白いのですが、理にかなった明快な振り方で、見ていても実に楽しめました。
前半に引き続き、ビロードのような弦楽器群の響きに、強烈な金管楽器、切れ味鋭い打楽器群と、もう楽しいことこの上ないチャイ5でした。
カーチュンのもと、日本フィルのサウンドは本当に磨き上げられてきているように感じます。
こうなると贅沢な望みも出てくるのですが、あまりにもカーチュンの音楽作りが理路整然ときっちりかっちり組み上げられる中、その中で熱量も熱狂もあるのだけど、何か技におぼれているような、音楽自体を一塊でぶつけてくるような気概が感じられないのは何故なのか。
まぁ、このコンビでのキャリアを積み上げていく中で解決されていくことでしょう、
土曜の午後、爽快な演奏会で良かったです。