新国立劇場オペラパレス2025-2026シーズン
リヒャルト・シュトラス/エレクトラ<新制作>
指揮:大野和士
演出:ヨハネス・エラート
クリテムネストラ:藤村実穂子
エレクトラ:アイレ・アッソーニ
クリソテミス:ヘドヴィグ・ハウゲルド
エギスト:工藤和真
オレスト:エギルス・シリンス
管弦楽:東京フィル
新国、貴重な新制作。短いものばかりで予算の苦しさも感じさせます。休憩なしの1時間45分。まずまずでしたかね。
「エレクトラ」は演奏会形式ながら2023年のノット/東響、2024年の東京春祭、ヴァイクレ/読響での素晴らしい演奏が未だ記憶に新しいので耳は肥えてます。
題名役のアッソーニ。出足は慎重に、音楽が進み喉が温まってくるに及んで本領発揮といった感じでした。さすがに歌いなれている感じ。
藤村さんのクリテムネストラは、東京春祭でも聴きましたが、同じ感想。同役には藤村さんの声はキレイに響きすぎる感があって、化け物っぽいところや不気味さが足りません。まぁ別の視点からのクリテムネストラという意味では、素晴らしい歌唱力ではあります。
クリソテミス役のハウゲルトは、エレクトラのエラート以上に声量あり。個人的な好みからすると、この役には強い声だけど細身で清涼感を感じさせるのが好き(東京春祭の時のアリソン・オークスが素晴らしかった)なのですが、けっこう耳に痛い声質に感じました。もっともこれだけ声を響かせる力量は大したものですが。
オレスト役のベテラン、シリンス。ベテランらしい味わいのある声でしたが、さすがにピークを越えた感がありましたか。
大野さん指揮の東京フィルは素晴らしい、万全の出来でした。シュトラウスの卓越したオーケストレーションを見事に体現していて、最初から最後まで切れ味鋭く、集中力に満ちた演奏でした。
演出はなんとも中途半端。どこかの宮殿の中庭みたいなセットで、右に左にとブランコがある。後ろにはスクリーンがあって、様々な映像が映されますが、今一つ何が言いたいのかよく分からない。まぁ音楽を邪魔しないという点では、よかったです。
そう、幕が上がる前から、プロンプターのカバーの上に斧が置かれていました。クリテムネストラ殺害時にオレストに持たせるもの(結局、持たせるのを忘れますが)で、この作品を象徴させる小道具のつもりだったのでしょうが、あまり効果的にはなかったです。
ということで、ノット/東響、ヴァイグレ/読響の公演に比して、オケは拮抗してましたが、せっかくの新演出の舞台なのに、効果は演奏会形式に劣っていたのは残念でした。
