ヴァン・カイック弦楽四重奏団 来日公演 2024-05-29 浜離宮朝日ホール | sakagumoのブログ

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ヴァン・カイック弦楽四重奏団 来日公演

ニコラ・ヴァン・カイック(ヴァイオリン)
シルヴァン・ファーヴル=ビュル(ヴァイオリン)
エマニュエル・フランソワ(ヴィオラ)
アンソニー・コンドウ(チェロ)

音符シューベルト:弦楽四重奏曲 第12番 ハ短調 《四重奏断章》 D 703
音符ドヴォルザーク:弦楽四重奏曲 第12番 ヘ長調 《アメリカ》 Op.96
音符メンデルスゾーン:弦楽四重奏曲 第6番 ヘ短調 Op.80

(アンコール)

・プーランク:愛の小径

・フォーレ:ゆりかご

 

アルファ・クラシックスから彼らのCD、中でも昨年相次いで発売されたメンデルスゾーン6曲の弦楽四重奏曲の演奏が素晴らしく感心していたところ、ちょうど来日公演が組まれたので聞きにいきました。

 

プログラムに結成された経緯が出ていなかったのでよく分からないのですが、フランスですかね。

2015年の国際的なコンクールで優勝してから、欧米を中心に大活躍の様子で、若手から中堅といったところでしょうか。

 

最初のシューベルトの四重奏断章。第1楽章だけで、シューベルトお得意の未完成作品。

 

完成されたら後のシューベルト3大弦楽四重奏に匹敵する作品になったろうに。それほど充実した第1楽章です。

 

風雲急を告げるような忙しい第1主題に、伸びやかな第2主題が美しく素晴らしい作品です。

 

ヴァン・カイックSQの演奏は、いく分押さえ気味のアンサンブルでしたが、各パートのバランスがよく納得の演奏です。

 

続くドヴォルザークは、単にアメリカに渡航した時に作曲したというだけでついた「アメリカ」というニックネームとは裏腹に、いかにもドヴォルザークらしいボヘミア色満点の名曲。

 

あまり民族色を強調した演奏ではなく、都会的でスマートな演奏。エマニュエル・フランソワのヴィオラをはじめ、各パートとも力量が等しく、バランスの取れたアンサンブルが気持ちよかったです。

 

やはりきょうの白眉は後半のメンデルスゾーン。

 

最後の第6番はメンデルスゾーン最晩年(と言っても38歳)の作品。神経症に悩まされる中、姉のファニーの急逝もあって、精神的に追い詰められた中で作曲されたもの。

 

悲しみが疾走する第1楽章と第4楽章、一見幸福だったときを思い出しているような第3楽章、ただ中盤ではメンデルスゾーンの慟哭を聴くかのような悲しみも。。

 

いずれも素晴らしい演奏で、繰り返すようですが4人の演奏の質と力量が、がっぷり組み合っていて、とかく1stヴァイオリンが活躍する第6番で、2ndヴァイオリン以下の内声、低音ももの凄い勢いで弾いていて、響きが実に立体的に聴こえました。

 

カルテットの名称になっている1stヴァイオリンのヴァン・カイックが中心メンバーかと思いきや、2ndのシルヴァン・ファーヴル=ビュルが中核のようでした。

 

アンコール前のトーク(さっぱりヒアリングできませんでしたが)も彼がしていたし。

 

おそらく「我々はフランスで結成されたカルテットですが、きょうのプログラムはドイツもの。フランスにもフォーレ、プーランクなどいい作曲家は沢山いるけど、カルテットのための作品は少ない。そんな中、彼らの美しい小品があるのでそれを演奏します」みたいなことを言っていたような気がします(全然違っているかも!)。

 

その最初に演奏されたプーランクが、実にしゃれっ気に満ちていて、酔っぱらったようなワルツがまた魅力的でした。

 

好評だったか拍手が続き、もう一曲はフォーレの小品。こちらもいかにもフォーレらしい、青白い炎が燃えるような美しい佳品。

 

これらフランスものの小品を集めた録音、出さないかなー。

 

NHKのカメラが入っていたので、いつかBSで放送されるでしょう。