METライブビューイング2023-2024
グノー/歌劇「ロメオとジュリエット」
指揮:ヤニック・ネゼ=セガン
演出:バートレット・シャー
ジュリエット:ネイディーン・シエラ
ロメオ:ベンジャマン・ベルナイム
マキューシオ:ウィル・リバーマン
ティバルト:フレデリック・バレンタイン
ステファーノ:サマンサ・ハンキー
ローラン神父:アルフレッド・ウォーカー
MET上演日:2024年3月23日
グノーの「ロメオとジュリエット」も日本での上演はすっかりご無沙汰。自分の出かけた公演メモによると2003年の藤原歌劇団(なんとステファニア・ボンファデッリがジュリエット!記憶薄いけど)以来なし。
「ファウスト」と双璧の素晴らしいオペラなんですが、やはりフランス語の壁と、題名役二人が大変な難役とあって難しいんですかね。
METライブビューイング、今回も圧倒されました。もう凄いとしか言いようがない。
何といっても、METのニューヒロイン、ネイディーン・シエラの声と美貌。完全にノックアウトされました。
ネイディーンはMETライブビューイングでもルチアやヴィオレッタとヒロインを演じてきましたが、今回はジュリエット。第1幕では少女のように明るく軽やかな声質、そこから中盤・終幕へと大人の女性へ成長していく過程で声質もやや重くドラマチックになるという難しさ。
これを難なく、しかも極めて高い水準でやってのけてしまうから凄い。第1幕登場からの上下降音の小さなアリアからして鮮やか。そして有名なアリア「私は夢に生きたい」。高音から中音域までむらなく鮮やかにコロラトゥーラの技巧を披露し、のっけからMETの聴衆の心を鷲づかみにしていました。
さらに素晴らしいのが第4幕、ローラン神父から受け取った仮死になる薬を飲む直前のアリアでの劇的な表現力。いま彼女の持ち味がもっとも発揮される声域が、このドラマチックな表現力にあるように思いました。
ここは全体でももっとも盛り上がった場面でした。思わず身震いしてしまいました。
ネイディーン・シエラ、日本に来るんですよね~~~
英国ロイヤルオペラの引っ越し公演(6月)での「リゴレット」ジルダ役で。。
めちゃくちゃ、チケ代、高いんですよね~~~
でも、いま絶頂期にある世界のディーヴァがナマで聴けるチャンスはそうそう無いんで、行きたい行きたい行きたい。
ロメオ役のベンジャマン・ベルナイムは正統派フランス人歌手で、フランス語が分からない僕でも、発音の良さはよく分かりました。
決して力まず、発音の素晴らしさをてこに遠くまで声を飛ばす技量の持ち主でした。ネイディーンとのマッチングもばっちり。
第2幕のアリア「ああ、太陽よ昇れ」も見事な歌唱。その後、第2幕~第3幕でのジュリエットとの二重唱も見事な出来栄え。
ネゼ・セガン指揮のオーケストラも、緊迫感溢れる前奏曲からパワー全開。一貫して素晴らしいけん引力で音楽を押し進めていました。
「ロメオとジュリエット」は木曜日まで。東劇のみもう1週間延長上演あり。ぜったいにお勧めできます!
METライブビューイングも行き始めるとクセになる。
次は珍しい、プッチーニの「つばめ」だし、その次はアスミック・グリゴリアン(今週、アリアの夕べを聴きに行きます!)の「蝶々夫人」と、行きたい演目が続きます。