NHK交響楽団定期演奏会(Aプロ1日目)
指揮 : ファビオ・ルイージパンフィリ/戦いを生きる[日本初演]
レスピーギ/交響詩「ローマの松」
レスピーギ/交響詩「ローマの噴水」
レスピーギ/交響詩「ローマの祭り」
初台からNHKホールまではバスですぐ。同じ渋谷区ですからね。
NHKホール界隈はタイ・フェスティバルで大混雑。時間を持て余していたけど混雑しているタイ・フェスを冷やかす気にはなれずプロントで読書。
で、レスピーギのローマ三部作。N響でのローマ三部作一気と言えば、2012年のデュトワの公演を思い出し、あの時は期待に胸を膨らませてワクワクしながら出かけたものですが、最近は聴く趣味も変わってきて、おっとり刀で臨みました。
何やら立川高校の吹奏楽部ご一行なんかも来ていて、広いNHKホールが超満員。12月の2000回記念公演からの会員も多いのでしょうが、やはりローマ三部作の人気は凄いです。
と、のんびり構えていたのですが、やはり「N響」が「定期」で「首席指揮者」のもと取り上げるローマ三部作は凄かったです。
コンマスは「特別」の冠が付いた篠崎氏。
最初のパンフィリはイタリアの作曲家で今回の「戦いに生きる」は2017年の初演、2022年の改訂版初演ともルイージが携わったもので今回が日本初演。15分強ほど。作曲家本人も会場に来ていました。
とにかく打楽器群の数が多く、あれこれズラッと後方に並んでいるさまは壮観です。それなりに幻想的であったり、大迫力であったりとメリハリもあり、まぁまぁ楽しめました。
とはいえ、こうした現代音楽がプログラムに加わると、そのあとに続く過去からの名作と比較して、やはり作品の持つオーラといいうか霊感が感じられず「早く終わらないかなー」なんて思ってしまいます。
レスピーギは当初の発表では作曲順に噴水⇒松⇒祭りとなっていましたが、松⇒(休憩)⇒噴水⇒祭りに変更されていました。最初にもう1曲ある中では、時間の配分やバランス上良かったと思います。
「ローマの松」でのバンダー隊はパイプオルガンのところと、反対側のテラスのところ(カメラと入れ替わりで出てきました)。
冒頭「ボルゲーゼ荘の松」からキラキラとした華やかなオーケストレーションを全開で聞かせてくれました。
2曲目「カタコンブ付近の松」での深淵な雰囲気。ルイージは同郷の指揮者としてレスピーギを得意としていることがよく分かりました。
そして終曲「アッピア街道の松」。池田さんのイングリッシュホルンのソロ、体を揺らしながら心を込めて演奏されていて素晴らしかったです。
その後の圧倒的な盛り上がり。NHKホール自慢の巨大なパイプオルガンも壮麗に響き、全身に鳥肌が立ちました。
最後の伸ばしが、若干短かめで唐突に終わった感じで、会場は一瞬肩透かしを食ったように静粛がありましたが、そのあと爆発的なブラボーの嵐。
前半でこの盛り上がりは珍しいです。
後半は「ローマの噴水」から。ここでも各曲、丁寧で万全のアンサンブル。定期ならではの緻密な仕上がりを見せてくれました。
第3曲「昼のトレヴィの噴水」でのパイプオルガンも壮観でした。終曲「たそがれのメディチ荘の噴水」での静かな雰囲気と鐘の音が見事に溶け合い、美しい余韻を聞かせてくれました。
最後は「ローマの祭り」。これはもうゴージャス、華麗、ダイナミックな演奏でルイージとN響アンサンブルの粋を結集したものでした。
終曲の「主顕祭」での輝きは近年のN響公演の中でベストと言ってよいのではないでしょうか。
ルイージ/N響のコンビは現在進行形ですので、今後塗り替えられるかもしれませんが、ぼくが聴いたこのコンビで現状ベストな公演だったと思います。
こうなるとルイージには是非N響とオペラをやってもらいたいのですが、いつか実現することはあるのかなー
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20240512/15/bqx02601/fa/19/j/o1080081015437778653.jpg?caw=800)