東京シティ・フィル 定期演奏会
指揮:藤岡 幸夫(首席客演指揮者)
ピアノ:福間 洸太朗
ディーリアス:夜明け前の歌
リスト:ピアノ協奏曲第2番 イ長調
ヴォーン・ウィリアムズ:交響曲第2番「ロンドン交響曲」
きょうはシティ⇒N響のはしご。どちらも素晴らしい公演でお腹いっぱい。ルイージ/N響のローマ三部作は、予想以上の盛り上がりで、昼間のシティが上塗りされそうですがまずはこちらから。
まずは藤岡さんによるプレトーク。きのうの日フィルでの妙な評論家のつまらないトークとは雲泥の差。長くエンター・ザ・ミュージックのMCをやっているだけあって実に滑らか。
1曲1曲丁寧に、自分の言葉で解説してくれます。
やはりメインのRVWは思い入れも強く「ロイド・ウエッバー(オペラ座の怪人)もJ.ウイリアムズ(スターウオーズ)も、レ・ミゼラブルもこの「ロンドン交響曲」のパクリ!」と言い切ってしまうところが面白かったです。
それだけ写実的な音楽だけど、最後は「話したことは全部忘れて音楽を聴いて」と締めるあたりもさすが。
最初のディーリアスの「夜明け前の歌」の実演は珍しいです。6分ほどの小品ですが、室内楽的な美しさが際立った演奏でした。
続くリストの2番で福間氏の登場。最近若手男性ピアニストが数々出てきて活躍していますが、彼もその代表格。
明快なタッチで、この音符の多い作品をきっちり弾き切ったという感じ。オケも引き締まったサウンドでしっかりサポート。
アンコールはフォーレの小品。
後半メインのRVW「ロンドン交響曲」。素晴らしい演奏でした。
なかなか演奏機会の恵まれない(藤岡さんによればRVWをプログラムに載せるとチケットが売れない・・と)RVWの中では、まあまあ取り上げられる「ロンドン交響曲」。
2017年のブラビンス/都響、2018年の大友さん/郡響の東京公演以来。
第1楽章、冒頭はロンドン名物、霧の立ち込めるテムズ川。神秘的な様相。
ビッグベンの鐘の音(ハープで再現)を契機にいきなりオケの大爆発(ここがオペラ座の怪人そっくりと)。
いろいろなイギリス民謡風の旋律が次々と出現、クライマックスに向けこれらが同時に対位法を駆使して大いに盛り上がります。鮮やかなクライマックスを築いて輝かしく第1楽章を締めくくります。
シティの響きはゴージャスで素晴らしかったです。
続く第2楽章は夜の雰囲気漂う静かな緩徐楽章。シティのメンバーの各ソロ奏者が素晴らしかったです。イングリッシュホルンはどなたでしょうか。ヴィオラ、ホルンの谷さん、チェロの大友さんとしみじみとした歌を聞かせてくれました。
再び闊達な第3楽章を経ての終楽章。
圧倒的な盛り上がりを見せたあと、再び冒頭のロンドンの霧にすべてが覆われて、静かに終結していく流れは本当に感動的でした。
藤岡さんの英国ものはいいですねー。この勢いでRVWの9曲の交響曲全部やって欲しいです。