日本フィルハーモニー交響楽団 定期演奏会
指揮:カーチュン・ウォン
マーラー/交響曲第9番ニ長調
日本フィル首席指揮者カーチュン・ウォンによるマーラーシリーズ。今回は第9番1本勝負。昨年の3番が見事な演奏でしたので大いに期待していましたが、果たして今回もあっぱれな演奏をしてくれました。
こうした大作一本勝負は潔くって好きです。無理に10分くらいの曲を入れて、休憩なんかも入るのは好きではありません。
カーチュンの音楽作りはとにかく明快。マーラーが完成した最後の交響曲だからといって、ことさら神妙になり過ぎず、あくまで楽譜に書かれていることを音に体現することのみに注力したかのよう。
だからと言って演奏が冷たくなることはなく、熱量は高い。
ホルンを中心とした金管楽器の音を強調して、バランスを崩すギリギリのところでまとめ上げ、マーラーの特異なオーケストレーションの魅力を存分に味わせてくれました。
とりわけ第3楽章スケルツォの切れ味は抜群で胸がすくよう。
終楽章の弦楽器を中心とした告別の音楽は、さすがに熱く渾身の演奏で感動的でした。
今後の定期ではブルックナーの9番やマーラーの「復活」(いずれも1本勝負)が組まれていて楽しみです。