葵トリオ~紀尾井レジデントシリーズⅠ(第3回)2024-03-19 紀尾井ホール | sakagumoのブログ

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最近は筆不精がたたって、読む専門です。

紀尾井レジデントシリーズⅠ(第3回 最終回)

葵トリオ
秋元孝介(ピアノ)
小川響子(ヴァイオリン)
伊東 裕(チェロ)
音符クララ・シューマン:ピアノ三重奏曲ト短調 op.17
音符ロベルト・シューマン:ピアノ三重奏曲第3番ト短調 op.110
音符ブラームス:ピアノ三重奏曲第1番ロ長調 op.8

 

3年にわたる紀尾井レジデントシリーズ・葵トリオの最終回(と言いつつ秋には特別編があるという)。

ロベルト・シューマンのトリオを中心に周辺の作曲家の作品を取り上げるプログラム。今回は第3番。

 

最初のクララ・シューマンのトリオは、はっきり言って面白い作品とも思えませんでした。時間だけはたっぷり30分くらいかかる。あとの曲を考えれば、いらなかったかなー

 

次のロベルト・シューマンの3番が始まった瞬間に、作品の持っている霊感の違いを感じました。

 

今回、シューマンをメインとしたチクルスということもあってか、力の入った演奏。

 

第3番は先のシューマン・マラソンでベンジャミン・シュミットのヴァイオリンのトリオが実に刺激的な演奏をしてくれて理解が深まったのですが、今日の葵トリオの演奏も作品の魅力をよく引き出した名演でした。

 

いつにも増して、小川響子さんの動きが大きく、足を浮かせたり、踏み鳴らしたりと、まぁ気迫を前面に押し出したような牽引ぶりでした。

 

後半のブラームスの第1番はロマンチックな名作。もちろん晩年に大幅に手を入れた改訂版。

 

6月には同じ紀尾井ホールでトリオ・ヴァンダラーが同じ第1番の初稿を取り上げるので、とみに版を意識してしまいます。

 

聴いていて葵トリオの魅力が前面に出た素晴らしい演奏だったのですが、あのミュンヘンのコンクールを目指し磨きに磨き上げたシューベルトの第2番やメンデルスゾーンの第2番のような凄みがわずかながら感じられず、このブラームスの超傑作トリオを彼らならもっと凄い高みにまで連れていってくれるのではないか…とも感じてしましました。

 

葵トリオも演奏する場が増え、もの凄い勢いでレパートリーを増やしていて、それはそれで聴く方は楽しみでもあるのですが、あの初期のような磨きに磨き上げたアンサンブルも聴きたいなと、ぜいたくな望みも出てきます。

 

ブラームスはもっともっとアンサンブルを追求できるのではないか。大いに期待できるので、ぜひ繰り返し積み上げていってもらいたいものです。