モーツァルト 歌劇「ドン・ジョヴァンニ」(字幕付)
〈佐渡裕芸術監督プロデュースオペラ2023〉
デヴィッド・ニース(演出)
佐渡裕(指揮)
兵庫芸術文化センター管弦楽団
ステファノ・ヴァニャレッリ(ゲスト・コンサートマスター)
ジョシュア・ホプキンズ(ドン・ジョヴァンニ)
ニコライ・エルスペア(騎士長)
ミシェル・ブラッドリー(ドンナ・アンナ)
デヴィッド・ポルティーヨ(ドン・オッターヴィオ)
ハイディ・ストーバー(ドンナ・エルヴェーラ)
ルカ・ピサローニ(レポレッロ)
近藤圭(マゼット)
アレクサンドラ・オルチク(ツェルリーナ)
関西遠征2日目。
佐渡さんプロデュースの兵庫オペラ。ことしはドン・ジョヴァンニ。ことしもダブルキャストで全8日間の公演。きょうは3日目のほぼ外来キャスト組。
佐渡さんの音楽作りがどうも平板で、昨今刺激的な演奏が多いドン・ジョヴァンニにあって、昔ながらの温いテンポ設定と表情付け。温いなら温いなりの大家風の演奏を目指すにはまだまだ風格も足りず、いったい何を目指していたのか?
とは言え、モーツァルトの傑作オペラは少々の凡演でも、その音楽に身を任せているだけでも幸せな気分になります(→佐渡さん、そこが狙いだったか)。
歌手陣は粒ぞろいで穴がなく、それぞれに好演だったことが良かったです。
題名役のホプキンズも、従者のレポレッロ役のピサローニもなかなかに男前で、颯爽とした演技とよく響くバリトンで、舞台をよく牽引していました。
ブラッドリーのドンナ・アンナは、プログラムの写真とはずい分印象が違っていて、なかなかの巨漢風。迫力あるソプラノで、ベテランの風格すら感じさせましたが、けっこうデビュー間もないというのが意外でした。
ストーバーのエルヴィーラも良かったです。ほっそりとした美しい容姿で、実に魅力的。きょうの女声陣の中では、一番闊達に動き回ってました。
ツェルリーナ役のオルチクはポチャリ系で、役に相応しい可憐な声が魅力でしたが、芝居はちょっと大根でしたかね。この役は、可憐さと小悪魔的な色気も欲しいところ。
ニースの演出は、いつもながらシンプルで奇をてらったところのないもの。クライマックスのドン・ジョヴァンニの地獄落ちも、典型的なものでしたが、スモーク増し増しなのは迫力がありました。
来年は「原点に返る」とのことで「蝶々夫人」とのこと。この真夏のピークに蝶々さんかぁ~~という感じですが、行くかどうか、どうしましょうかねー。