東京二期会オペラ劇場
指揮: アレクサンダー・ソディー
演出: 原田 諒(宝塚歌劇団)
ヴィオレッタ 種谷典子
フローラ 郷家暁子
アルフレード 山本耕平
ジェルモン 黒田 博
合唱: 二期会合唱団
管弦楽: 読売日本交響楽団
東京に帰ってきての二期会の「椿姫」。個人的に「椿姫」のナマは2010年のトリノ歌劇場の来日公演以来だったとびっくり(その間、METやロイヤルオペラの映画では見ましたが)。
2018年の「明日を担う音楽家による演奏会」(通称:あすにな)での種谷さんの声にほれ込み、その後のリサイタルなども出かけたりなど注目していました。
二期会の分厚い女性声楽陣にあって(なかなか上が退いてくれない)ようやっと東京での主役を張ることができるというので楽しみにしていました。
素晴らしかったです。もう、隅から隅まで完璧に勉強し、万全の体制で本番が迎えられるよう調整に調整を重ねてきたことがよく分かる渾身の歌唱でした。
その分、型にはまり切った演技と歌唱で、ちょっと硬さも感じられましたが、それはそれで贅沢な要求です。
第1幕クライマックスの伸ばしは楽々オクターブ上げ。これは凄かったです。
しかし、きょうは共演に恵まれなかった。アルフレード役の山本氏、調子が悪かったんですかね。1幕は高音があまり出ず、2幕は持ち直すも、テンション低め。これでは、ヴィオレッタが惚れこむ現実味が感じられません。
お父さんジェルモンの黒田氏も、ベテランの味で、迫力と入りは良いんだけど、アリアになるとイマイチ声が支えられず夏バテモード。ちょっとお歳ですかね。
舞台も、なんかごてごてと装置が配され、出演者のスムーズな動きが著しく阻害されているような。
第2幕からは、なんの意味があるのか、上から巨大なカーブミラーが吊るされ、45度の角度で客席(ほぼ1階のみですが)から、舞台を上から見せるというもの。
これが第3幕、ヴィオレッタ死の場面でも、巨大な装飾された丸いベッドを映すものだから、これは照明しだいではラブホじゃないかと。
ソディー指揮の読売日響はゴージャスなサウンドで音楽を進めてましたが、どことなくステージ上とかみ合ってなく、オケの迫力ほどには全体の音楽は熱く盛り上がった感じがしませんでした。
ということで、ひいきの種谷さんの活躍には大満足でしたが、公演全体としてはイマイチ感がぬぐえないものとなりました。
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