ユロフスキー/ベルリン放送響 アンスネス(都民劇場)2019.3.20 東京文化会館 | sakagumoのブログ

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都民劇場 音楽サークル

ベルリン放送交響楽団

指揮:ウラディーミル・ユロフスキー

ピアノ:レイフ・オヴェ・アンスネス

♪モーツァルト「フィガロの結婚」序曲

♪モーツァルト/ピアノ協奏曲第21番

♪マーラー/交響曲第1番「巨人」(花の章付き)

 

アンスネス、肘の不調ということで当初のブラームスの協奏曲第1番から、負担の軽いモーツァルトへ変更。時間調整で序曲も。もの凄く残念だったけど、まぁしょうがない。

 

2017年から芸術監督・首席指揮者の任にあるユロフスキーの指揮。最初の「フィガロ」の序曲は、小ぶりな編成に加え、残響の少ないこのホールで、何とも「おらが村のオペラ・ハウス」のオケみたいなひなびた感じが、逆に雰囲気満点で、続けてスザンナとフィガロが両袖から出てきそうな感じでした。

 

続く、ピアノ協奏曲の21番。アンスネス元気に登場。体調自体は良さそう。ブラームスに比較して小ぶりな作品だけど、珠玉のピアノを聞かせてくれた。

 

上手な人は何をやっても素敵だということか。オケも序曲同様、決して美しいとは言えないけど、何とも音楽的な表情付けが豊かで、幸福感に満ちた演奏でした。

 

アンコールはショパンのノクターン第4番。「何だちゃんと弾けるじゃん」って感じだけど、リサイタル一晩やる体力は無いということか。ロマンス溢れる演奏で、モーツァルトとは違った美しさがありました。

 

後半は編成が大きくなってのマーラー。第2楽章に「花の章」を加えたけど、他の楽章は、最終稿ということで、「最終稿+花の章」ということで、ユロフスキー曰く「ハイブリッド版」とのこと(プログラムに書いてあった)。

 

前半と同じ印象が拡大したもので、お世辞にも洗練された演奏とは言えないけど、このオケからはゲルマン人の血が感じられる(全員がゲルマン人ではないと思うけど)骨太な演奏で、フランクフルトとポテト、それにビールをたんまり飲み込んだような肉厚で、お茶漬けサラサラの日本人には決して出せないような分厚さがある。

 

「花の章」から第3楽章(スケルツォ)はアタッカで突入。冒頭のチェロ奏者が全員でザクザク弾く迫力は圧巻。

 

ユロフスキーの音楽作りは、どの場面でも入念で、流すようなところはほとんどない。だからテンポとしてはそれほど遅いわけじゃないけど、念入りな音楽の積み上げで、密度が高く、その分、全体の流れはやや阻害された感じも。

 

終楽章、クライマックス直前でのもたもたした展開はジリジリさせられたけど、その分、終結部の爆発は爽快で、ユロフスキーの設計に見事にやられました。

 

この旧東ドイツからの系統のオケ。洗練とは対極のもっさりした感じが、時に魅力であり、時に田舎くさくもあるけど、才気活発なユロフスキーを迎え、洗練度を高めつつあるように思いました(まだ途上だけど)。

 

アンコールは、バッハの管弦楽組曲第3番からの「アリア」のマーラー編曲版(そんなんあったの?!)。オリジナルと違いが分かり難いけど、内声の和音を足したり、副旋律を入れたりしている。しっとりとした祈りに満ちた演奏で良かったです。