デンマーク国立交響楽団の初来日公演。
2016年から首席指揮者の任にあるファビオ・ルイージの指揮。
♪ソレンセン:Evening Land(日本初演)
♪ブルッフ:ヴァイオリン協奏曲第1番 ト短調 Op.26
(ヴァイオリン:アラベラ・美歩・シュタインバッハー)
♪ベートーヴェン:交響曲第7番 イ長調 Op.92
ルイージは良い指揮者だし、初めて聞くデンマーク国立響もとっても良いオケだった。
最初は現代のデンマークの作曲家、ソレンセンの作品。15分ほど。弦の穏やかな和音の積み重ねに木管が絡んで、聴きやすい曲。
途中、金管、打楽器群も加わってリズミカルになり盛り上がりも。何回か聞けば耳になじむかもしれないけど、今日の一聴ではよく分からなかった。
客席いた作曲家本人もステージに呼ばれ拍手喝采。幸せだろうなー。
続いてアラベラ嬢のブルッフ。こないだのベートーヴェンも素晴らしかったけど、今日も全くブレのない素晴らしさ。
音色に艶があって、音に伸びがあって、弾いている姿も凛としていて美しい。もう、うっとりでした。
何でもプログラムによれば、ブルッフは11歳の時から、父親のピアノで弾いているそうな。恵まれた音楽一家で、すくすくと美しく育ったのだなぁと。
アンコールはクライスラーのレチタティーヴォトスケルツォ・カプリス。これがまためっちゃ上手くて、美しくて、素晴らしかった。7月のリサイタルが待ち遠しい。
後半はベト7
このオケ、前半のブルッフもそうだったけど、何ともほの暗い響きをまとっているようで、やはり寒さ厳しい北欧のオケなのだなと。日本のオケにはない個性を感じることができました。
第1楽章、序奏の部分はたっぷり時間をかけて。主部に入る経過部分で早くも加速。主部はそのまま速めのテンポで前のめりにサクサク行く。
いかにもルイージらしく熱く血の通った演奏で、聞き応え十分。
アタッカで続けて第2楽章へ。ここは第1楽章に続き速めのテンポで行くかと思いきや、かなりゆったりとした、往年の巨匠風の演奏。
劇的な表情づけは、ルイージ得意のオペラを聴くかのようで、第1楽章との対比が鮮やかでした。
第3楽章はさすがに一息ついてから。3楽章、4楽章は、個性的な前半とはうって変わり、わりと普通な演奏。終楽章でのホルンをかなり強奏させてました。
前半が面白いベト7でした。
アンコールは、今調べて分かったのですが、デンマークのヴァイオリニスト、ヤコブ・ゲーゼ(1879-1963)の「タンゴ・ジェラシー」。
ルフレッド・ハウゼ楽団のレパートリーとして有名な作品ということで、確かにどこかで聴いたような懐かしさ。
これがまた同郷の作曲家の作品のためか、オケもノリノリで、響きも一段と艶があって、あっぱれな演奏(日本のオケが外山雄三のラプソディーでもやるようなノリ)。
コンマス女性のソロが見事でした。
また来日して欲しいオケ。今度はぜひニルセンの交響曲チクルスでもやってくれないかな。