ハーディング/マーラー・チェンバー・オーケストラ 2019.3.13 すみだトリフォニーH | sakagumoのブログ

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会社員です。クラシック音楽と読書と温泉が好きです。あと万年百十の王だけど、楽しくゴルフ⛳をすることが好きです。
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すみだ平和記念音楽祭2019

ダニエル・ハーディング[指揮]
マーラー・チェンバー・オーケストラ
曲目
エルガー/ニムロッド~変奏曲「エニグマ」作品36より第9変奏
シューベルト/交響曲第3番 ニ長調 D200
ブルックナー/交響曲第4番 変ホ長調 WAB.104「ロマンティック」

 

8年前のあの日、トリフォニーの指揮台に立ったハーディング(当然、ぼくは行きませんでしたが)。そして3か月後にチャリティ・コンサートに駆け付けたハーディング。

 

その時に演奏した「ニムロッド」を、今日は最初に演奏。さすがに胸が一杯になりました。

 

事前に告知はなかったと思うのだけど、静かに演奏が終わった後、拍手もなく黙とう、1分ほどか。自然な流れでした。その後拍手でハーディングは袖に引く。

 

続くシューベルトの3番は、本当に変幻自在、鮮やかな演奏で、今日の白眉でした。

 

ハーディングの音楽作りの引き出しは本当に多彩。オケが優れていればいるほど本領を発揮する。

 

新日の時は、良かったけど、これほど多彩ではなかったと思う。また、GMCOとの以前の来日の時よりも、刺激はそのままに、成熟が増したような演奏。

 

本当に楽しいシューベルトだった。この小ぶりな3番にも拘わらず、会場は随分と湧いた。

 

後半のブルックナー。チェンバーオケでのブルックナー。管楽器群が増えた他、弦楽器群は前半のシューベルトと同じ編成(12-10-8-6-5)。

 

ブルックナーをやるには小ぶり過ぎはしないかと思ったけど、響きに不足はない。

 

目指す音楽が、オルガン的に響くブルックナーではなく、そこにある楽譜をキチンのアンサンブルすることに徹していたような。

 

それにしても、ハーディングのブルックナーでの音楽作りは意外だった。かなりじっくりとしたテンポ。全曲で75分ほどだったから、けっこう遅い。

 

前半は音楽の足取りが重く、中々推進力が出てこない。スケルツォはさすがに活力に満ちていて、終楽章も冒頭は勢いがあったが、徐々にまた鬱々とした音楽に。

 

これはハーディングの確信犯だ。今日はこのブルックナーも含め、祈りの音楽だったのではないか。

 

ニムロッドでの追悼に始まり、楽しかったころを思い出すかのようなシューベルト、そして悲しみも苦しみも克服も希望も、すべて包み込んだブルックナーと。

 

普通なようで極めて個性的なブルックナーだったのではないかと感じました。

 

ハーディングの心意気には本当に頭が下がる。