「THE BEATLES’ WITHOUT THE BEATLES」(第4回~東芝以外編③) | ザ・ビートルズ完全日本盤レコード・ガイド

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ちょっと間が空きましたが、収録音源の中にビートルズが存在しないビートルズ写真ジャケットLP紹介の東芝以外レコード会社編の3回目、おそらく最終回です。70年代中期以降発売のLPからです。

 

■古屋紀とザ・フレッシュメン「ザ・ビートルズ・ヒット・メドレー」(ホロメス音楽配給HRL-1011、発売:76年)

<ジャケット>

<帯付きジャケット>

マイナーなレコード会社、ホメロス音楽配給から発売された、ビートルズのカバーLPです。大胆にもビートルズの写真を表ジャケット全体に使用しています。全面にビートルズの写真を使用したLPは、65年発売の「ステレオ・スクリーン・ハイライト」以来です。しかしクレーム対策のためか、表裏ジャケット全体にわたり英数字を印刷し、写真を見にくくしています。使用している写真は68年9月4日「レボリューション」プロモーション・ビデオ撮影時の写真です。名作ブート「スイート・アップル・トラックス」のジャケットと同じ写真と思っていましたが、同じPV時の写真ですが別の写真でした。「スイート・アップル・トラックス」は、75年国内発売の書籍「ザ・ビートルズ(THE BEATLES:AN ILLUSTRATED RECORD)」掲載の写真から借用したようですが、本LPの写真はどこから持ってきたのでしょうか。なお、この書籍の広告では、この写真を大きく取り上げています。

<LP「スイート・アップル・トラックス」>

<書籍「AN ILLUSTRATED RECORD」広告>

マイナーなレコード会社からの発売ですので発売日に関するデータはなく発売時期は不明ですが、ジャケットにヒントがあります。写真を見にくくしている英数字はレコードのタイトル、レーベル、レコード番号(US盤)で、多くのシングル及びLPの情報が印刷されています。大まかに発売時期を調べたところ、ほとんどが75年11月から76年3月までに発売されたレコードでした。従って、早くても76年4月以降に発売されたことが分かります。大胆にもジャケットにビートルズの写真を全面に使用していますので、70年代初め頃の発売のLPではないかと思っていましたが、案外遅い時期の発売だったようです。

アーティストの古屋紀は元シャープ・ファイヴのメンバーで、シャープ・ファイヴはホタテマン(古い!)こと安岡力也が在籍していたシャープ・ホークスのバック・バンドであった関係から、古屋はシャープ・ホークスの編曲も数多く行っています。なお、シャープ・ファイヴ時代にもビートルズのカバーLP「ビートルズをかき鳴らせ!」(SKK-243)を発売しています。このLPにもビートルズの肖像が大きく使用されていますが、こちらは点描画のような似顔絵で、写真ではありませんので今回の特集では取り上げていません。別途、ビートルズ・イラスト・ジャケット特集の際に紹介したいと思っていましたが、いつ頃になるか分かりませんので今回ちらっと紹介します(笑)。なお、このLPのジャケットに古屋の写真が掲載されています。

<LP「ビートルズをかき鳴らせ!」>

<古屋紀(上段中央と思われる)>

発売元のホメロス音楽配給にも少し触れます。現在は存在しないレコード会社のようですが、70年代には結構積極的にレコードを発売していたようです。中でも注目したいのが同じ古屋紀とザ・フレッシュメンのLP「カーペンターズの世界」(HRL-1015)です。「ビートルズ・ヒット・メドレー」と同様に、このLPでもカーペンターズの写真が大きく表ジャケットに使用されています。珍しくカレンがドラムスを叩いている写真です。この会社はアーティストの写真使用に関しては確信犯のようですね(笑)。やはりこちらのジャケットでも斜め線を入れ写真を加工することで分かりづらくしてはいますが、カーペンターズの写真であることは分かります。このLPの存在を知って、ビートルズ・ジャケットのLPと対(ツイ)になると思いツイ購入してしまいました(笑)。レコード番号から、カーペンターズのほうが後で発売されたようです。このLPもカーペンターズからはクレームが来なかったのでしょうか?(こちらは一応「写真提供:ユニフォトプレス」とクレジットは入っていますが…)

<LP「カーペンターズの世界」>

 

■ジャック・クロッサン「鍵盤萬華鏡-ビートルズからバッハまで」(日本コロムビア ウエストミンスターOX-1080-AW、発売:78年4月25日)

<ジャケット>

<帯付きジャケット>

78年には日本コロムビアからジョンとポールの顔写真を使用したLPが発売されています。コロムビアはビートルズの写真を使用したLPを比較的多く発売していることが分かります。ジョンとポールの2人だけの写真ですが、ビートルズのカバー曲に対する写真の使用ですので、ビートルズの写真として紹介します。キーボード奏者ジャック・クロッサンのLPで、ビートルズは「オブ・ラ・ディ・オブ・ラ・ダ」と「イエスタデイ」のいずれもポールの楽曲2曲が収録されています。

ジャケットには収録曲の作者、オリジナル演奏者の同じ顔写真が何枚も使用され、中心から外に向かって万華鏡のように広がっています。最も中心にポールの顔写真6枚が、外周に近い位置にジョンの顔写真8枚が配置されています。コロムビアさんも、小さい写真ですのでこれくらいなら見逃してくれると思って使用したのでしょうか?(笑) その他では、バッハ、ベートーベン等のクラシックからデューク・エリントン、バート・バカラック等のジャズ、ポピュラーのアーティストの顔写真が使用されています。

演奏は刑務所でのライヴ録音で、収録曲に一部違いはありますが、72年にUSで同タイトルのLPが発売されていますので、録音はそのころ行われたようです。

 

■V.A.「インターナショナル・ヒット・パレード」(リーダーズ・ダイジェスト RCA JAL-1001)

<ジャケット>

<帯付きジャケット>

この特集の最後の1枚は通信販売(と思われる)のLPです。RCAが製作して、リーダーズ・ダイジェスト社が販売したLPになります。このLPも複数のオリジナル・アーティストのカバー曲を収録したLPですが、こちらのLPは国内外の複数アーティストのオムニバスLPになります。収録曲は上記LPの2曲「イエスタデイ」(演奏:ダイナミック・サウンズ)、「オブ・ラ・ディ・オブ・ラ・ダ」(演奏:原信夫とシャープス・アンド・フラッツ)に、「ヘイ・ジュード」(演奏:松本英彦クインテット)を加えたポールの曲3曲を収録していますので、今回もクレジット上の作者であるジョンとポールの写真が使用されています。使用された写真は69年4月に行われたフォト・セッションの中の1枚で、ポールの家で撮影された写真です。その他にはサイモンとガーファンクル、トム・ジョーンズ等の写真がありますが、ここにはアンディ・ウイリアムスの写真もあります。ジャケット裏の収録曲解説にも彼の名前は出ていきません。「イエスタデイ」を始め、収録曲の多くをカバーしているとは思いますが、なぜここで彼が登場しているのか謎です。

このLPについての情報はなく、さらに通販LPですので発売日、発売時期は分かりませんでした。推測では収録曲「雨にぬれても」(上記のLPにも収録しています)の解説に「最近数週間、全米ヒット・パレードのトップを独走」と書かれており、この曲は70年1月に全米No.1に輝いていますので、70年初めころの発売ではないかと考えています。

通販用ですので元々帯は付いていなかったと思われますが、入手したLPには「贈呈 山水電気株式会社」と書かれた赤帯が付いていました。市販時に付けられていた帯ではないと思いますが、ソフト会社である制作元のRCAもしくは発売元のリーダーズ・ダイジェストから、ハード会社の山水電気に試聴盤として贈呈された際に付けられた帯ではないかと考えています。

 

以上が確認できたビートルズの写真を使用したLPですが、他に発見すれば追加で報告します。ビートルズ写真のシングル編・ソノシート編、ソロの写真のLP編・シングル編等についても今後紹介したいと考えていますので、気長にお待ちいただければと思っています(笑)。

 

■「THE BEATLES' WITHOUT THE BEATLES」レコード(東芝以外)