ザ・ビートルズ完全日本盤レコード・ガイド

ザ・ビートルズ完全日本盤レコード・ガイド

THE BEATLES PERFECT JAPANESE RECORD GUIDE(BPJRG)を目指して、研究しています。

3月も終わりですが、3月8日はジョージ・マーティンの命日でした。2016年に亡くなりましたので、今年で早十年になります。ジョージ・マーティン追悼として、マーティン名義のレコードを紹介したいと思います。国内盤のLP、シングル、関連盤については以前紹介しましたので(ジョージ・マーティン追悼特集(LP編) | ザ・ビートルズ完全日本盤レコード・ガイド)、今回は海外盤であるUK盤及びUS盤LPを紹介します。両国ともにLPは60年代から10枚弱ほど制作されていますが、明記したディスコグラフィは見たことがありません。漏れがあるかもしれませんが、確認できているLPを紹介します。

紹介するのはジョージ・マーティン及びジョージ・マーティン楽団名義のLPで、サントラ盤や他名義のLPでの彼の楽曲収録LP(ビートルズのLP等)は割愛し別途紹介します。60年代にUSのユナイテッド・アーティスツ(UA)・レコードからLPは継続的に発売されましたので、まずはUS盤から紹介します。

 

■LP「OFF THE BEATLE TRACK」(ステレオ:UAS-6377、モノラル:UAL-3377 、UA、発売:1964/7/10)

<ステレオ盤ジャケット>

<モノラル盤ジャケット>

ビートルズのUSLP「A HARD DAY’S NIGHT」発売(1964/6/26)約半月後に、ジョージ・マーティン楽団名義の初ビートルズ関係LPがUSで発売されました。収録曲はビートルズ2枚目までのLP収録曲及び「キャント・バイ・ミー・ラヴ」までのシングル曲が全12曲収録されています。

ジャケット表裏にはロバート・フリーマンが撮影したマーティンとビートルズのメンバーが写った写真が使用されており、このLPもビートルズの演奏曲が収録されていない「THE BEATLES’ WITHOUT THE BEATLES」的なLPになります。

当時のUK、USでは、LPはモノラルとステレオの2種類発売されていましたので、本LPにも2種類のLPが発売されています。なお、以前紹介しましたが、このLPはジャケットと曲順を変更して東芝音工からも発売されています(LP「ビートルズ・ヒット・ソング集」(OP-7149))。

 

■LP「BY POPULAR DEMAND A HARD DAY’S NIGHT」(ステレオ:UAS-6383、モノラル:UAL3383、UA、発売:1964/11/2)

<ステレオ盤ジャケット>

マーティンのUSでの2枚目は、映画「ハード・デイズ・ナイト」関係の楽曲を収録した64年11月発売のLPです。ビートルズのUSLP「A HARD DAY’S NIGHT」にもマーティンの演奏曲は4曲収録されていますが、この4曲と、「オール・マイ・ラヴィング」等、上記1枚目LPから映画に使用された5曲の計9曲の既発売曲が収録されていますので、全13曲中新曲はその他映画使用曲3曲+「ぼくが泣く」の4曲のみになります。

ジャケットは映画でのテレビ用演奏ステージ後ろに掲げられていた、同じポーズの写真を5枚ずらして重ねた4人の写真を掲載した、なかなかデザイン的に優れたジャケットになっています。ビートルズのLPジャケットをこの写真にしても良かったのではないかとも思ってしまいます(笑)。

このタイトルもモノラルとステレオの2種類発売されています。

 

■LP「SCORES INSTRUMENTAL VERSIONS OF THE HITS」(ステレオ:UAS-6420、モノラル:UAL-3420、UA、発売:1965)

<モノラル盤ジャケット>

LP「ビートルズ・フォー・セール」発売後に3枚目のLPが発売されました。今回のLP収録曲はビートルズだけではないので、ジャケットにはマーティンしか写っていません。

このLPにはビートルズの曲は2曲(「アイ・フィール・ファイン」、「ノー・リプライ」)しか収録されてなく、他はライチャス・ブラザース、ローリング・ストーンズ等の当時のヒット曲を収録しています。他に2曲、マーティン自作の曲が収録されており、そのうちの1曲「All Quiet On The Mersey Front」はジェリー&ペースメイカーズ主演映画「フェリー・クロス・ザ・マージ―」に挿入された曲になります。この映画ではマーティンが音楽監督を担当しており、レコーディング・スタジオでマーティンもチラッと出演しています。ちなみにこの映画は「熱狂の歌声 リバプールの四人」の邦題で、80年4月30日にサンテレビで放送されています。この邦題を見たときはビートルズのことを扱った映画かとも思いました(笑)。ちなみにこの曲のタイトルは映画「西部戦線異状なし」(英題:All Quiet On The Western Front)をもじったものです。

<映画「熱狂の歌声 リバプールの四人」>

とここまで書いて、実際にLPを聴いて驚きました。収録されている「P.S.アイ・ラブ・ユー」は、ジャケットに作詞作曲が(G.Jenkins-J.Mercer)と書かれていたので、ビートルズの曲とは同名異曲の1934年作の曲だと思っていたのですが、なんとビートルズのカバーでした。従って、ビートルズの楽曲収録は3曲になります。マーティンとあろうものが(笑)、なぜこのような間違えをした(見逃した)のでしょうか? レノン-マッカートニーに印税が入らないのではないでしょうか?

 

■LP「GEORGE MARTIN AND HIS ORCHESTRA PLAY HELP!」(ステレオ:UAS-6448、モノラル:UAL-3448、UA、発売:1965)

<モノラル盤ジャケット>

ビートルズのLP「HELP!」発売後にも同LPの楽曲を収録したLPを制作しています。ビートルズのUSLPではケン・ソーンのインストゥルメント曲が収録されたので、このLP収録曲はすべて新曲になります。収録曲はLP「ヘルプ」収録14曲からカバー曲と「ユー・ライク・ミー・トゥ・マッチ」の3曲を除いた計11曲になります。

収録曲のタイトルで興味深いのは、3曲が正式曲名になる前の仮タイトルで表記されていることです。「Scrambled Egg」はビートルズ・ファンならおなじみの「イエスタデイ」の仮タイトルです。このタイトルで発売されたレコードは、おそらくこのLPのみではないでしょうか。その他、「夢の人」、「イッツ・オンリー・ラヴ」もそれぞれ「Antie Gin’s Theme」、「That’s A Nice Hat(Cap)」といった仮タイトル表記です。Ginはこの曲を気に入っていたポールの叔母の名前ですが、後にウイングスの「幸せのノック」の歌詞にも登場します。

今回はビートルズのみの写真を使用したジャケットで、後のレーザー・ディスクのジャケットにも多用された映画のアルプスでのスキー・ウェアを着た写真が使用されています。この写真は裏焼き写真が多いですが、このLPのジャケット写真は正しく焼かれています。

 

■LP「GEORGE MARTIN INSTRUMENTALLY SALUTES THE BEATLE GIRLS」(ステレオ:UAS-6539、モノラル:UAL-3539、UA、発売:1966)

<ステレオ盤ジャケット>

5枚目はLP「リボルバー」発売後の66年に発売されたLPで、今回は女性名が入ったタイトルの曲など、女性にちなんだ楽曲を集めたLPとして制作されました。女性の名前ですので、ビートルズのカバー曲「アンナ」も収録されていますが、「イエロー・サブマリン」など、女性と関係あるのかよく分からないような曲も収録されています(笑)。なお全12曲中、LP「リボルバー」から8曲収録されています。また、ポールがバーナード・ウェブ名義でピーター&ゴードンに提供した「ウーマン」も収録されています。

今回のジャケットはタイトルに呼応して、4人の女性をマーティンの周りに侍らしています(笑)。そしてその女性の手にはしっかりとビートルズのLPを持たせ、ビートルズ・ファン、特に「THE BEATLES’ WITHOUT THE BEATLES」ファン?に対してもしっかりと購入意欲を掻き立てるようなジャケットで制作しています(笑)。

 

■LP「LONDON BY GEORGE」(ステレオ:UAS-6647、UA、発売:1966)

<ジャケット>

68年発売の6枚目のLPは、12曲中ビートルズの曲は「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」及び「アイ・アム・ザ・ウォルラス」の2曲のみで、他はプロコル・ハルムやルル等の当時のヒット曲のカバーです。マーティン自作曲も3曲収録され、「Theme One」、「Frost Over London」はBBCのラジオ番組やテレビ番組のために書き下ろした曲になります。後者はビートルズが「ヘイ・ジュード」演奏前にふざけて演奏する映像が残されています。なお、68年にはUSではモノラルLPは発売されなくなっていましたので、本LPはステレオのみの発売です。

ジャケットは初めてマーティンもビートルズも登場せず、シタールを持ったボディ・ペイントをした裸の女性の写真を使用しています。アダルト層にも購買意欲を高めようという作戦だったのでしょうか(笑)。

 

以上、US発売のジョージ・マーティン名義のLPを紹介しました。70年代以降のUS盤は確認できていません。次回はUK発売LPを紹介したいと考えています。

 

■ジョージ・マーティンLP(US盤)