来日60周年記念特集はまだまだ続きます(笑)。これからは、これまで発売された映像・音源ソフトについて振り返ってみます。映像ソフトについては、映像は当時お蔵入りになった6月30日版しか正規に発売されていません。これまで2回発売されていますが、実は1984年初回発売の前年にも発売が予定されていました。6月30日版の映像は、来日当時はテレビで放送されませんでしたが、映像ソフト発売に関してもこの映像は一旦お蔵入りになったことになります。
■「ザ・ビートルズ武道館コンサート」(VAP、VHS:66701-198、βⅡ:66702-198、1983年11月21日発売予定)
<リーフレット表>
<リーフレット裏>
大村亨氏著「ビートルズと日本 ブラウン管の記録」にも詳細が記載されていますが、83年に日本テレビの関連会社であるVAPから、日本公演6月30日版のビデオが発売される予定でした。リーフレットが作られ、リーフレットの裏にはパッケージと思われる写真も掲載されています。販売予定価格は19,800円でした。
翌年発売になったビデオにはアップルのロゴがリーフレットに記載され、映像にも挿入されていますので、権利上の問題で発売が中止となり、翌年に延期になったものと思われます。日本公演演奏曲の収録曲目に「ロック・アンド・ロール・ミュージック」のみ書かれておらず全10曲収録となっていますが、この曲の収録に関する権利上の問題もあったのでしょうか?
このリーフレットには、翌年発売時のリーフレットには記載されていない「劇場未公開作品ザ・ビートルズ フェイマスコンサートより」という文章が印刷されていますが、この「フェイマスコンサート」とはいったいどのような映像なのでしょうか。これまで聞いたことがありません。70年代にフィルム・コンサートなどで上映されていた映像を指すのでしょうか。なお、リーフレットには「Under License By ROGER GROD PRODUCTION, INC To NTV」と、ロジャー・グロッド・プロダクションからNTVにライセンスを供与されたと書かれていますが、この文章も正規発売のリーフレットでは削除されています。ロジャー・グロッドについて調べると、映画「ザ・ビートルズ・グレイテスト・ストーリー」の監修を務めた人物のようなので、日本公演の映像にも関わっていたのかもしれません。しかし、6月30日版の映像は日本テレビが所有していたので関わっていたとしても7月1日版映像のほうで、VAPは6月30日版は関係ないと気が付いて正規発売時にこの記述をカットしたとも思われます。
<劇場未公開作品ザ・ビートルズ フェイマスコンサートより」>
■「ザ・ビートルズ武道館コンサート」(VAP、VHS:66701-188、βⅡ:66702-188、1984年9月21日発売)
【初回版】
<リーフレット表>
<リーフレット裏>
<リーフレット>
<販売告知ポスター>
<特製ブック型コレクターズ・ビデオ・ケース(左:VHS、右:βⅡ)>
<ジャケット(左:VHS、右:βⅡ)>
<チケット型解説書(上:チケット側、下:解説側>
<応募はがき(左)・ポストカード(右)の表裏>
発売中止から10か月後の84年9月に、ようやくビデオが発売になりました。価格は前年の予定価格よりも1,000円安い、18,800円でした。それにしても当時のビデオは高かったですね。販売に当り、再びリーフレットが制作されましたが、前年のリーフレットの表は上記の「フェイマスコンサートより」の文章がないだけでほとんど同じですが、裏はパッケージの写真はなく、大幅に変更されています。今回は「ロック・アンド・ロール・ミュージック」を含む全11曲の曲名が記載されています。前回の発売中止時のチラシと大きく異なるのは、上記の通り、アップル・ロゴが印刷されていることです。ビートルズの映像発売にあたり、アップルから許諾を得たことがうかがえます。また、他に二色刷りの片面のみのリーフレットや縦長のポスターも制作されています。
ビデオは透明プラスティック・ケースに収納したビデオが特製ブック型コレクターズ・ビデオ・ケースに収納されており、豪華さを醸し出しています。このブック型ビデオ・ケースは先着1万名にプレゼントとチラシに記載されていますが、いわゆる初回1万本にこのビデオ・ケースが付いていたものと思われます。
添付資料として日本公演チケットを模した解説書が入っており、チケット図柄の裏には湯川れい子氏の解説が書かれています。また、キャバーン・クラブのレンガの写真のポストカードも入っており、このレンガが当たるプレゼントの応募はがきも挿入されています。初回版ではこれらのチケット型解説書、ポストカード、応募はがきが揃って完品になります。応募はがきは84年12月8日までに必要事項を記入して応募すると、キャバーン・クラブのレンガが4人に当りました。レンガが当たるプレゼントを実施していたためにこのレンガのポストカードが入っていたようです。当然、応募締め切り後の発売分には応募はがきは入っていなく、おそらくポストカードも入っていなかったのではないかと思われます。
【通常版】
<プラスティック・ケース内ジャケット>
通常版の発売では、初回版に付いていたブック型ビデオ・ケースはなく、プラスティック・ケースのみで販売されたようです。添付資料もチケット型解説書のみだったのではないでしょうか。
初回版と通常版ではジャケット裏のアップルのクレジットの表記が異なり、初回版表示「©Apple Corps Limited 1966 DISTRIBUTED WITH THE PERMISION OF Apple Corps Limited.」が、通常版表示「©Apple Corps Limited 1966 PERMISION OF APPLE CORPS LIMITED IS GRATEFULLY ACKNOWLEDGED」に変更になっています。初回版では単に「アップルの許可のもと販売」という事務的な内容のみの表記に留まっていましたが、「アップルの許可に深く感謝する」といった感謝の意を表する内容表記に変更しています。かなりアップルに無理を言って販売にこぎつけたので、発売後に感謝の言葉に変更しようとVAP内部から内容変更の意見が出たのかもしれません。この文章はビデオ本体のラベルやチケット型解説書にも記載されており、こちらも変更されています。ちなみに初回版の訂正前の解説書は黒文字ですが、修正後の解説書は青文字で印刷されています。
<ジャケット裏(上:変更前、下:変更後)>
<ビデオ本体ラベル(上:変更前、下:変更後)>
<チケット型解説書(上:変更前、下:変更後)>
<変更後のチケット型解説書(上:チケット側、下:解説側>
さらに、このアップル許諾の文章は映像の最後にも表示され、文章変更に伴い映像のクレジット表示も変更になっています。ビデオの映像自体はすべて同じですが、映像ではこの箇所を観ることで、ビデオが初回版か変更版のどちらかを確認することができます。
<映像クレジット(上:変更前、下:変更後)>
ちなみに、パッケージ・解説書等に表記されている上記の変更前の「PERMISION」は誤字で、正しくは「PERMISSION」であり「S」が1文字抜けていますが、ビデオ映像の最後に表示される文字は正しく修正されています。
その他、通常盤のパッケージにはアップル許諾の文章の横にCOLORと収録時間、MONOの文字が追加されています。
<ジャケット裏(上:変更前、下:変更後)>
なお、当方所有のベータ版ビデオはブック型ビデオ・ケースに入っていますが、ジャケット裏は通常版と同じ変更後の表記で、青色の変更後のチケット型解説書が付いていました。ベータ用ビデオ・デッキを所有していないので映像の最後のクレジット表記は確認できませんが、他にもブック型ビデオ・ケースに通常版仕様のジャケット、解説書が入っている製品を見たことがあるため、初回版の製作途中にアップル許諾の表記を変更したのではないでしょうか。
次回は93年発売の再発盤他について紹介します。

























