昨年の後半はビートルズ来日50周年特集やビートルズ・カヴァー・レコード特集などで、ビートルズのレコードをほとんど紹介できませんでしたが、ボチボチとビートルズのLPやシングル紹介の続きの記事を掲載していきたいと考えています。
今回は、65年5月5日発売のビートルズ国内発売LP特集の第5弾「ビートルズNo.5」(OR-7103)の紹介です。モノラル収録の日本独自編集盤LP3枚の最後の発売になります。64年12月15日にUSで発売された「ビートルズ'65」((S)T-2228)と同じカヴァー写真を使用しています。前作でオリジナルと同じ曲目・曲順、同じカヴァー写真を使用したLPがやっと国内で発売になったのにも係わらず、またしても日本編集盤でしかもモノラルでの発売です。ビートルズ人気の勢いに乗って、売れる時に売れるだけ売っておこうという考えで発売したのでしょうか? この時点でLPに収録されていない曲も結構あったので、かき集めて売ろうとしたのかもしれません。
■オデオン・レーベル
【OR-7103】
![イメージ 1](https://stat.ameba.jp/user_images/20190811/19/bp-jrg/ab/48/j/o0300030014531058444.jpg?caw=800)
カヴァーにはUSで発売されたLP「ビートルズ'65」のカヴァー写真を使用し、タイトルを日本独自の「ビートルズNo.5」に変更しています。カヴァー写真は、ロバート・ウィテカーが撮影し、ウィテカーが得意?の小物を使った4枚の写真を使用しています。ロンドンのファリンドン・スタジオで、64年10月に撮影が行われました。
カヴァーはシングル・カヴァーで、カヴァー裏全体に写真が使用されているため、折り返し部分が内側に入り込んだ内綴じタイプとなっています。カヴァー裏の写真は、64年2月の初訪米時の写真で、エド・サリヴァン・ショー出演時のフォト・セッションでの写真です。シングル「涙の乗車券/イエス・イット・イズ」のカヴァーに使用された写真と同時期に撮影された写真になります。なお、カヴァー裏写真の撮影者に関する資料は見つかっていません。
帯については、初回盤は半円帯が付けられていましたが、前作LP「ビートルズ'65」では緑半円帯でしたが、本LP発売時期には青半円帯に移行していました。また、本LP発売の65年5月は、価格の前の丸で囲まれたアルファベット記号は「F」でしたので、初回盤のカヴァー裏右下には「F¥1,500」と印刷されています。本LP発売直後の65年6月1日に、記号が「F」から「G」へと変更となりましたので、それ以降に印刷されたカヴァーには、「G¥1,500」と表示されるようになりました。記号の変更時に、カヴァー裏の価格の前に印刷されている会社名「東芝音楽工業株式会社」の文字のサイズも小さく変更されています。なお、再発盤の会社名の大きさがアップル矢印帯まで踏襲されました。また上述の通り、カヴァーの作りが内綴じタイプですので、外綴じタイプの円弧綴じ、平行綴じといったカヴァー形状上のヴァリエーションはありません。
(上:「F¥1,500」、下:「G¥1,500」)
![イメージ 2](https://stat.ameba.jp/user_images/20190811/19/bp-jrg/41/55/j/o0500020914531058445.jpg?caw=800)
なお、初回盤には購入特典として、カラー・ポートレートを貰うことができました。当時の雑誌等の広告にも「ビートルズのカラー・ポートレートを差し上げます」と、大々的にPRしています。次LP「4人はアイドル」の初回盤にもカラー・ポートレートは付いていましたが、本LPのポートレートの方が見かける回数は少ない気がします。このポートレートは、どれも下方1/3弱くらいの位置で折れています。店頭手渡しならば折る必要はないと思われますし、あらかじめLPに添付するのであれば、LPサイズからはみ出る中途半端な大きさにしなくても良かったのではないかと思われるのですが…。ここで推論ですが、前LP「ビートルズ'65」発売時に、特賞として50名にサイン入りポートレートや特製レコード・アルバムなどが当たる懸賞を実施しています(締切:65年4月30日)。この懸賞のA賞は100名に特製レコード・アルバムとカラー・ポートレート、B賞として1000名にカラー・ポートレートが当ったようですが、この懸賞に使用したカラー・ポートレートが、LP「ビートルズNo.5」購入特典ポートレートだったのではないかという説です。懸賞用として余分に印刷し、余ったポートレートを次作の本LPの購入特典としたのではないでしょうか。懸賞用として、当選者に郵送しなければなりませんので、封筒に入る大きさに、または特製レコード・アルバムと同じ大きさになるよう、すでに折り曲げられていたのではないでしょうか。懸賞の余りですので、数は多くないものと考えられます。
(「ミュージック・ライフ」広告)
(カラー・ポートレート)
![イメージ 3](https://stat.ameba.jp/user_images/20190811/19/bp-jrg/fd/f8/j/o0200030814531058448.jpg?caw=800)
![イメージ 4](https://stat.ameba.jp/user_images/20190811/19/bp-jrg/e6/9b/j/o0250032014531058450.jpg?caw=800)
【OR-8028】
![イメージ 5](https://stat.ameba.jp/user_images/20190811/19/bp-jrg/f5/34/j/o0300029714531058455.jpg?caw=800)
67年にLPの価格が値上がりした際に、既発売のビートルズのLPが、レコード番号がOP(OR)-8千番に変更となり、また帯も矢印帯に変更となって再発されました。ここまでの既発売の5枚の内、本LPを含む4枚が67年6月に再発され、「ビートルズ'65」のみは1年遅れの68年8月に発売されました。本LPはレコード番号が「OR-8028」と変更され、モノラル盤ですので価格が1700円となって再発されました。なおカヴァー裏の記号も「H」に変更となっています
■アップル・レーベル
【AR-8028】
(矢印帯)
![イメージ 6](https://stat.ameba.jp/user_images/20190811/19/bp-jrg/77/eb/j/o0300030114531058457.jpg?caw=800)
(フォーエヴァー帯)
![イメージ 7](https://stat.ameba.jp/user_images/20190811/19/bp-jrg/80/15/j/o0300030214531058458.jpg?caw=800)
アップル・レーベル移行も他のLPと同様に、レコード番号とレーベル・ロゴが変更となっただけで、帯はオデオン再発盤と同じ矢印帯で70年10月頃に発売されています。
73年にはレコード番号はそのままで、フォーエヴァー帯で販売されています。アップル初回の矢印帯のカヴァーは薄手のベラ・ジャケでしたが、フォーエヴァー帯以降は厚手のカヴァーへと変更となっています。カヴァーの紙質の変更と同時に、カヴァー裏の会社名・価格等の表示が変更となっています。矢印帯までは、会社名がカヴァー裏の下方にオレンジ文字で大きく書かれていたのに対し、フォーエヴァー帯では白文字で小さく、右下に書かれるようになりました。さらに、背タイトルの上に星印が3個「☆☆☆」印刷されています。これらの変更は、これまでの既発売5枚すべてに共通します。なお、移行の過渡期には厚手のカヴァーに矢印帯の組み合わせも(その逆の組み合わせも)あったようです。
フォーエヴァー帯移行直後は、カヴァーと帯の会社名と価格の組み合わせが、「東芝音工(補充注文票)-1700円」(FE帯タイプ1)でしたが、会社名及び価格変更後は「東芝EMI-2000円」(FE帯タイプ4)に変更となっています。
(フォーエヴァー帯カヴァー裏 上:音工-1700円、下:東芝EMI-2000円)
![イメージ 8](https://stat.ameba.jp/user_images/20190811/19/bp-jrg/ee/b4/j/o0350025014531058461.jpg?caw=800)
【EAS-70102】
![イメージ 9](https://stat.ameba.jp/user_images/20190811/19/bp-jrg/af/0c/j/o0300030414531058465.jpg?caw=800)
76年の国旗帯での再発時に、レコード番号が変更となり再発されました。価格が当時のモノラル盤の価格である2300円と改訂され、300円の値上がりとなっています。国旗帯シリーズは3回に分けて発売されましたが、本LPは3回目の発売日である7月5日発売となっています。1回目、2回目に発売されたタイトルには、帯の裏側の広告タイプが異なるヴァリエーションが存在しますが、本LPは3回目の発売ですので、帯裏広告のヴァリエーションは存在しません。また、各国編集盤であり、80年代半ばには廃盤になっていたと思われるため、帯の価格が消費税価格の消費税帯も存在しないものと考えられます。なお、国旗帯の初回は帯裏の綴じ位置が上(タイプ3)ですが、綴じ位置が下のタイプ(タイプ4)も存在します。
UKオリジナルLPは、国旗帯以降も何度かLPがプレスされていますが、本タイトルは現在までの所、この国旗帯タイプが最後のLPとなっています。なおCDでは、「ジャパン・ボックス」の中の1枚として14年に発売されています。
■LP「ビートルズNo.5」(OR-7103:65年5月5日発売、OR-8028:67年6月5日発売、AP-8082:70年10月発売、EAS-70102:76年7月5日発売)
![イメージ 10](https://stat.ameba.jp/user_images/20190811/19/bp-jrg/1f/5e/j/o0423015314531058467.jpg?caw=800)