ポール来日記念「ポール楽曲収録LP」(第1回) | ザ・ビートルズ完全日本盤レコード・ガイド

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ポールの2年ぶりの日本公演まで、3ヶ月を切りました。ポール来日記念として、ポール関連レコードの特集をします。ポールのレコードを取り上げるのは芸があまりありませんので(^_^;)、昨年のリンゴ来日の際に特集しました内容と同様の、ポールのレコード以外でポール名義の楽曲を収録したアナログLPについて取り上げます。大別するとライヴLPとオムニバスLPに分けることができます。今回はライヴLPを取り上げますが、全3枚存在します。
 
■「カンボジア難民救済コンサート」(ワーナー・パイオニアP-5595-6A
☆「ゴット・トゥ・ゲット・ユー・イントゥ・マイ・ライフ」・「エヴリ・ナイト」・「カミング・アップ」・「ルシール」・「レット・イット・ビー」・「ロッケストラ・テーマ」
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(内カヴァー)
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国連のワルトハイム事務局長の要請により、791226日から29日の4日間、カンボジア難民救済のためのコンサートがロンドンのハマースミス・オデオンで開催されました。参加アーティストは、ザ・フー、プリテンダーズ、エルヴィス・コステロ、ロックパイル、クイーン、クラッシュ、イアン・デューリー、スペシャルズ、ロバート・プラントら豪華メンバー11組です。チャリティ・コンサートですが、1日に複数のアーティストが入れ替わり立ち替わり出演する形態ではなく、上記の通り4日間に亘り開催され、日によって演奏するアーティストは異なり、ウイングスは最終日の1229日に出演しました。ウイングスは約10日前の1217日までUKツアーを行っており、そのツアー・リストとほぼ同じ曲を演奏しています。但し、最後に他の上記アーティストらが出演して、「ルシール」、「レット・イット・ビー」、「ロッケストラ・テーマ」を演奏しています。これら3曲のアーティスト・クレジットは「ロッケストラ」になっています(ウイングスのLP「バック・トゥ・ジ・エッグ」収録曲は「ロケストラのテーマ」です)。3曲以外はウイングスのコンサートから「ゴット・トゥ・ゲット・ユー・イントゥ・マイ・ライフ」、「エヴリ・ナイト」、「カミング・アップ」の3曲が収録されています。なお、発売は81年になってからです。
ここで「カミング・アップ」は、翌年発売のLP「マッカートニーⅡ」に収録されることになる曲で、この時点では未発表曲でした。翌年1月開催予定だった日本公演でも演奏されたと思われます。「ゴット・トゥ・ゲット・ユー・イントゥ・マイ・ライフ」から始まる、7912月のUKツアーのセット・リストは、ほぼこの曲順で日本公演でも演奏されたと考えられ、中止となったことが非常に残念です。このUKツアーの1曲目が昨年の武道館公演で聴くことができたときは、80年公演中止の憂さを晴らすようで非常に感激しました。
 
LP「ライヴ/プリンシズ・トラスト・バースディ」(キャニオンC28Y-3168
☆「ゲット・バック」
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(カヴァー裏)
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80年のジョンの事件後、ライヴから遠ざかっていたポールが前年の「ライヴ・エイド」に続き、舞台に立ったコンサートです。毎年開催されていたチャールズ皇太子主催のコンサートで、皇太子はもちろんのことダイアナ王妃も出席しています。ロンドンのウェンブリー・アリーナで、86620日に開催されています。ちなみに翌87年はジョージとリンゴが出演し、以前リンゴ特集で国内盤LPも紹介しました。86年は他に、ダイアー・ストレイツ、スザンヌ・ヴェガ、フィル・コリンズ、ハワード・ジョーンズ、エルトン・ジョン、ロッド・スチュワート、エリック・クラプトン、ブライアン・アダムス、スティングらが出演しています。昨年亡くなったジョージ・マイケルも出演しています。
ポールはコンサートの最後に出演し、「アイ・ソー・ハー・スタンディング・ゼア」と「ロング・トール・サリー」をオールスターのバックを従えて演奏し、最後に「ゲット・バック」を演奏しています。最後の曲では、ポール・ヤング、ティナ・ターナーとヴォーカルを分け合っています。LPには最後に演奏された「ゲット・バック」1曲が収録されています。他の2曲は国内では発売されていませんが(映像では発売)、UKLPに付属されたシングル盤(FREE-21)には、これら2曲が収録されました。
(UKシングル)
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なお、昨年のデヴィッド・ボウイの訃報の際に報告しましたように、「ゲット・バック」演奏前にボウイとミック・ジャガーが現れ「ダンシング・イン・ザ・ストリート」を演奏しましたが、二人は嵐のように現れて、嵐のように去って行きました。
 
■「ネブワース1990」(ポリドールPOJP-9001-2
☆「カミング・アップ」・「ヘイ・ジュード」
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(内カヴァー)
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ポールのオムニバス・ライヴLP3枚目は、90630日に開催されたチャリティ・コンサート「ネブワース1990」のライヴ盤です。このコンサートは音楽を通して身障者治療を行っている団体を支援する目的で開催されていました。ポールはコンサートのトリの前に出演しています。このコンサートのトリはピンク・フロイドでした。ピンク・フロイドは8789年にかけて大々的なワールド・ツアーを実施しており、前年約10年ぶりにツアーを再開したポールよりも観客動員できるアーティストだったようです。さすがのポールも、この時期に限ってはピンク・フロイドには勝てなかったようです。他の参加アーティストは、ティアーズ・フォー・フィアーズ、ステイタス・クォー、クリフ・リチャードとシャドーズ、ロバート・プラントとジミー・ペイジ、ジェネシス、エリック・クラプトン、マーク・ノップラー、エルトン・ジョンらです。ポールは前年のワールド・ツアー再開時のメンバーで、このメンバーでこの年の3月にソロになって初の日本公演も開催しています。
ポールはこのコンサートでは、「ジョン・レノン・メロディー」を含む11曲演奏しましたが、LPに収録されたのは上記の2曲のみです。なお、このLPが発売された90年頃は国内でアナログLPが製作されなくなった時期であり、このLPも直輸入盤で、UK盤に帯と解説を付けて発売されています。アナログLP時代のポールの楽曲を収録した最後の国内盤レコードとなります。なおCDに収録されているジェネシスのロックのメドレーは、LPには収録されていません。