すかいうぉーかー -46ページ目

すかいうぉーかー

CRAZY=SPELL−BOUND









残り時間は、10分程度だったらしい



彫像のように重く固まった体で パイプ椅子に寄りかかったまま


S字を切り返して立ち上がって行くバイクを眺め

痺れと痛みの増して来た右手を
グローブをしたままで開いて握ってを繰り返す










(折れてはいないかな)



ヒビぐらいは入っているかも知れないが、他は問題も無さそうだ




冷たい雨がツナギに染み込んで行くのも構わずに

ボンヤリと思考を泳がせる




今、俺がバイクに跨らずに ココに居る事

目の前をたくさんのマシンが「我 関せず」と、走り抜けて行く事


皆は、どうしているのか
俺がコケて、ここにいるのは確認出来たのか





失敗だったのか?

コレで良かったのか?


完走して、ライダーは勿論
手伝ってくれた皆と喜ぶ事が 1番大事だったのか







だが

そんな事は無い と



何がどうなっても
それだけは 揺らがなかった














俺にとっては
今日で最後じゃないんだ














「・・・ああ








ワイヤーか」







左手のグリップ

スイッチボックスの無いレース仕様で
末端をハンドルバーにワイヤーロックしてあった筈なのだが

ちょうどその辺りが、千切れて一部無くなっていた



左だから
俺か、ウッちゃんがコケた時だろう

そりゃあ、あの空気の中で見落とされていても 何の不思議も無い




デカい授業料だな












上げたシールドを伝って、ポロポロと水滴が落ちる


緊張感と車体が発する熱で、それでも高かった体温が
ゆっくりゆっくり奪われて行く





静かだった
さっきまで、爆撃のような音と流れに包まれていたのに











ふと気が付くと、オフィシャルが こちらに走って来た1台に手を振っていた

旗を持ったライダーが、そのまま上に掲げて応える






「終わった か」


深く息を吐いて、見つめる

R1の現行車だった





そして、次々に走り去るバイク達











ほんの小さな差

その積み重ね






決定的だった

ココから見送ると云う事が









悲しくも
辛くも
寂しくも無い



ただ
ココに居る事を、ヨシとしない自分が居た








































生まれて初めて乗った"ドナドナ"は




ただ、ひたすらに 寒かった



(続






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Now you don't talk so loud

Now you don't seem so proud


About having to be scrounging for your next meal












調子のイイ時は、上から物を言って


落ちぶれたら、言い訳がましい事を
聞いてもいないのにベラベラと








そういう事なんだろうな























やっぱ、無心でやってる人間と


下心のある人間じゃ




10年 20年経てば
はっきり出るよ










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中火で熱して、そのまま空焼きしたフライパンのようだった









( あと、何分なんだ)






詰めて 詰めて 詰めたその先で
段々、蓄積した疲労と 寒さと時間が 肩に伸し掛かり始める



ホームストレートの電光掲示板の事をすっかり忘れていた俺は
曇りと雨粒でサインボードすら見れずに、1人で走り続ける孤独で 色んな物が麻痺し始めていた




繰り返す、コーナーでの集中

別に、全力で走っているからと言って コケてもイイような事はやっていない



数周の後に、前に誰もいなくなり
長い長い1人旅が始まった





ひたすらに、路面とマシンとの
禅問答のような

常に周りを流れ続ける流体に、体が慣れ
一切の無駄を省いた、思考と条件反射の果て





理屈を越えた先で
それでも、走る事を止めようとしない


これぐらいなら開けても

この辺まで寝かせても





行けるのか?

行けた



次は?














抜かれた



飛沫の道を穿ちながら、水の煙の向こうに向かって
奈落の底に落ちるかのように、バックストレートを駆け下って行く



( あんなにインから?)




見えない

減速の感覚が、全く分からない





だが、機影は曲がって行く


綺麗に荷重をかけて、後輪を押し付けて
流麗な一連の動作で








あんな風に走りたい





無骨で愚直な実戦






もう少し頑張ろう



そんな繰り返しで








せめて、タイムを知りたかった
自分の中の物差しが無い事は、上がっている実感を全く感じさせてくれない



ただひたすらに


アクセルを、開けては戻し

手探るように 水の中を切り裂いて

股の下の感触を確かめながら、道の先の先の先を睨み続ける










3コーナーからの4への繋ぎ

更に速度を乗せてみる







行けた


張ったGが、S字への確かな足掛かりを





"切返しの速度を上げたい"






上体を起こし気味に
軽く手でコジッて





























「あ・・・?」



























気が付いた時は、空中に居た





棒切れのように、縦に回り

まずは右手の掌





背中









全身がグラベルの上を 削るように

革の向こうで、濡れた砂利と土の不快な感触が全身を舐め回す



かなりの距離を滑走し、ボロ雑巾のように転がって停まる




一瞬 息が止まる





気力だけで起き上がって








数メートル先で横倒しになったR1



重い体をむしり取るように駆け寄る






起こせない
グラベルで踏ん張りが効かない

手足も、驚くほど疲労している




すぐ近くにいた、オフィシャルが駆け付け
「大丈夫ですか?」と、手伝ってくれる






起きた







かかれ













































「マジかよ・・・」












右手で支え、前後に動かしながら

左手でシフトを上下してニュートラルへ




そのまま、手伝ってもらって
タイヤバリヤの脇まで運び、立て掛ける






「もうちょっとで終わりますから、ここに座っててください」と、雨に濡れたパイプ椅子をすすめてくれた





俺は、全身の力を抜いて座り

フルフェイスを取ろうか迷って、結局そのまま
上げたスクリーンから滴る雨を、ボンヤリと眺めた






R1は、クラッチレバーが折れて無くなっていた
















俺は、ふと





切り返しでいきなりすっぽ抜けた、左のグリップのゴムを
左手でずっと握りしめていたのに、気が付いた





(続












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重いと感じていた車体が、軽くなって行く






加速
減速
コーナーリング


その全てに、力と意義と光が満たされて行く








シンプルだ
"何しに来たのか"



無理はしていない
さっきと同じだ





探して 引き寄せて 血と肉にして


何をどうすれば、あと0.1秒が
どうやれば、1mでも先に行けるのか


誰も標的は居なくても
こんなに渇望したのは 初めてだった








全身を覆う水
被るのでは無く、突き通す

引きちぎり、投げ棄てて 置き去りに





半分見えないなら、見えないまま走ればイイ
もう、何周した?


雨の感触はどうだ?
何処までやれそうなんだ?





開けれるなら開け

倒せるなら倒し

見えるなら通り

分からなければ模索する






漲る

滾る

加速する







(次は?

その次は?

今度は?

ココは?)










「うおっ!?」



S字の切り返しで後輪が持って行かれたのを、寸でのところで抑える


ゼブラの部分に、乗った瞬間に何一つグリップしなかった





落ち着け
ゆっくりと戻せ

すぐにハイポイントだ
大丈夫、ココまで行けるって 何周も使って確かめたんだ







思考が徐々に、形を無くして行く



熱したバターのように

もはや、残り時間も ラップタイムも 順位も 速い遅いも
関係なくなっていた









抜かれる回数が激減していた




やるべき事を


そして、抜き始める





馬の背で、イン側から被せてきた影を 突っ込みで押し返す

切り返しのライン取りで塞ぎ、左の飛び込みで突き放す




シケイン手前で、次の1台に追い付く

切り返して立ち上がる
今の俺よりは上手い




追う





「パツさ、ストレートで開け切って無いだろ? お前だけ音が低いんだよね」






2回目の走行の後で
アラブさんが言ってた


その通りだった
まだ "見えている"物はたくさんあった



だったら開けよう
俺にこの世界への切符をくれた人なんだ






R1の声が、高まっていく
13000を越えて尚 「もっと、開けろ」と吼える


多分、サインボードが出ているであろう辺りを過ぎ

ペダルを蹴り上げる



テールが近付く








そんなもんか?



雨とか?

完走とか?

責任とか?



今の、お前の















"ダッタラ ドケヨ"








インからブチ抜く

そいつの巻き上げる飛沫ごと、抜き去る







雨なら、雨の経験を



もっとだ



数秒先 数時間後 半年でも 再来年でも






繋げるんだ





俺は、もっと先に行きたい














1コーナー



2コーナーへの繋がり






黒光りするアスファルトの先の、3コーナーは

























今までに見た、どんな道よりも

美しかった




(続








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ホームストレートに出た瞬間に、左手でスクリーンを軽く開ける






一瞬で視界が戻るが、ブレーキ前には閉めなければならず

コーナーを2つも曲がると、また左側が半分近く真っ白に曇る


サインボードなんか見てる余裕も無い







直線で充分以上に速度を落とし
バンクを極力少なくして、脱出ラインに乗るのをじっと待つ


バイクは起きていれば滑らない
だが、どれぐらいで滑るかも分からない



俺のレインタイヤの記憶なんて、その程度の物でしか無かった






速いやつには バンバン抜かれたが
コレは逆に、今回のレベルの差が 更に浮き彫りになっているのも分かった













"コレが、耐久"








しかも、もう 絶対にコケられない

走るのに支障のない壊れ方だったのはラッキーだったが
みんなで一所懸命直したマシーンである事に変わりはない



それが
俺の走り方を、更に慎重にしていた






裏ストレート

前が見えない



それでも、全開で




だが、その横を 圧倒的な速度差で何かが飛び去る

歯噛みながら、スクリーンを開け
250km/hの奔流の中で、指で拭う


馬の背が迫る






(ダメだ)



アクセルを戻した途端に、更に差が開く

あんなに寝かせられるのか と
だが、アレは別物だ 今の俺には出来ない




路面の補修跡すら避け
のっぺりとコーナーを曲がり、次が近すぎてアクセルを開ける手すらも躊躇う




6時間だぞ?

6時間も一緒にレースやって




『完走』




その2文字が







2周
3周



徐々に感覚が熟れて行く



鼻の上からメットの内側に貼りつけたガムテープも、曇りを抑制するのには足りない





"たかがレース"




MFJを通るというだけの、安いフルフェイス




滑りまくる内股



水を吸って、まとわり付くツナギ








それでも、完走を










また、抜かれる



(しょうがない。こうやって慎重にやってりゃ、コケる事はないんだ。


そうすりゃ、無事に完走して みんなも喜んで)






















(・・・完走?





それで?








『ダメだったねって』笑って?

お疲れさまして?





来年だか 再来年だかに

『ダメだったから、また出ます。でも、練習出来ないし 周りのレベルも高過ぎるし 雨なんか慣れてないし』って

同じような事やるのか? )








S字の突っ込みで抜かれ


コーナーリングですら離され
アクセルを開けるタイミングも、その後の加速も












(完走って何だよ?


それだけをやりに来たのか 俺は?



だったら、最初からみんなで チンタラ走ってりゃイイんじゃないのか?



レースなんか、やらなきゃ)






















「違うだろ」














後で、給油班のまとめ役だった モトさんが

この時の事を言った












「パツさん、途中から ずっとタイム上がって行ってましたよ」















俺は、ガムテープをひっぺがすと


それまでの、全てを棚に上げた





(続





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雨の降りしきる、屋上のヘリポート


突然、ゆっくりと
自分の周りで落ちる雨粒は、肉眼で追える速度で


襲いかかる巨漢の拳は
いや、踏みしめた足が飛び散らせた飛沫も 筋肉の躍動ですらも

停止したかのように







"なんだ、コレは"













penという雑誌で組まれていた特集を見た瞬間にビビっと来た




実際、前売りを買って映画に行くなど もう何年もやっていなかったが

同伴にフトシぼさんを誘ったのも含めて
確信があった



監督は「攻殻機動隊」

音楽は川井憲次









圧巻だった


原典と言って良い、歴史のある作品

それから今日までに積み上げられた、国内のアニメの歴史・手法



その上で、表現技法も 絵も リズムも

本当に、凄かった




定番と言える起承転結が
ここまで、丁寧に上質の作り方をされるだけで


高級なエンターティメントととして
素晴らしい感動を与えてくれる


とても、2時間に収まっていたとは思えない






最後にしても

意見の分かれそうなまとめ方すらも



「こんな凄いやり方が出来る人が選んだなら」と


素晴らしい喉越し

稀有な余韻に、微塵も影を投げさせない




CGてんこ盛りのハリウッド映画ならば、逆にいくらでも"アリ"な

それが、国内のアニメであると 逆に整合性を求めてしまってるんだな と










とにかく



















本当に、凄い作品だった




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タカ坊が、小さな体で一所懸命にキックボードに乗って
路面を蹴り、グルグルと走り回る


サーキットの、駐車場を だ




男の子

この空気の中で、何かを感じているのだろうか






天候は完全なウエットに以降した

アナウンスは忙しげに、刻一刻変わる状況を忙しなく告げ続け

隣のピットには、レースを何かしらの理由で諦めた車両が 無言で佇んでいる



ふと気がつけば、ヨーコちゃんとマリコちゃんが朝から仕込んだせんべい汁は殆ど無くなり

俺の見ていない所でも、今日来た全員が何かをして 出来上がったレースは
以前進行中で




走る事だけに集中していた俺は、この5時間の間に何が行われていたのかも
半分も意識出来ず


気がつけば、長い旅は終わりに近付いていた








既にツナギに足を通し、上半身分を腰に垂らして









(何で、みんな 走るんだろう)









少なくとも

ただ、集められた学校のクラスとは違う
遠からず同じ目的に向かった、百人単位の様々な人達が
今日、この時間だけは同じ事を"間違いなく"考えている



何故バイク

どうしてレース




それぞれに
それぞれの生い立ちや 生まれた場所や 経験や 価値観があって





何故、こんなにも












俺は、みんなに同伴と手伝いを頼みはしたが

それで、どうして来る気になったのかまでは分からない



そして

それは、分かる訳もないし 聞こうとも思わない













「あれ?」





カトーがピットに戻って来た

まだ、10分程度しか経っていない



よく聞こえないが、何かが軽くおかしいらしい



別にヤバい空気でもなく
ノムさん達が、テキパキと作業を始める





作業開始を見届けるようにしたカトーが、メットも脱がずに俺の方へ歩いて来た









カトー「パツさん」






「んあ?」















カトー「あと、イイですか?」








































「・・・ああ、イイよ」












跳ねるように椅子から立ち上がり

ツナギの両腕に袖を通し、メットを掴む




R1のシートにドッカと尻を乗せ
ハンドルに手を掛けて、各部の感触を確かめ

アクセルを軽く握る





ヴォア



ヴヴォアッ




ヴォオアアアアッ!!!








鬨の声


号する令




鳴り響き 浸透して行く








みんなが、嬉しそうな笑顔で 俺を見る




















「ちっと、行って来るわ」















万歳三唱に笑顔で返しながら



















俺は、顎紐を再度確認し

雨のピットロードを、ゆっくりと加速し









最後の戦場へ 進み出た



(続




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アンダーカウルが外され、山盛りの砂利と土・・・




「もう、ダンボールに入りません(笑)」





事故現場から救難されたようなアッパーが メーターとメーターステーだった物を取り除かれて脇に置かれる

エアホースにドリルが装着され、トリガーが試し引きされると
超高速で刃が回り、ピットに快気音が鳴り響く




「やるぞ!」
























































ウッちゃんがアルミの板を切り出し
途中で千切れたメーターステーに8mmの穴を4発

ボルトナットで固定され、あっという間にアッパー固定可能になる





ノムさんと単車くんが他の箇所をテキパキと外し・直し・あるいは掃除して行く



折れた右ハンドルの交換・スロットルホルダーとレバーの調整

カウルのボルト締結部も、箇所箇所で死んでいる所は穴をあけてタイラップで固定して行く




この2人は、もう初対面の時から
一緒にやりたい、付いて来てもらいたいと思っていた


それが今、目の前で現実に
素晴らしい光景を展開している







俺は、予備のアッパーを出すと

クリヤーファイルから、チーム名とゼッケン番号のステッカーの予備を出し
テーブルの上に置いて、一発集中に脳ミソを切り替える



デザイン
構成

俺の担当だ



同じカウルでも、塗装の塗り分けも色も違う

予備のステッカーは コレに合わせるつもりで白では無く黒にしてあった





(ココだ)





手は抜かない

キッチリやって、キッチリ送り出す



ドライヤーとカッティングナイフを出した所で、ピット内ではレインへのタイヤ交換が始まった





「せーの!!」




スタンドフックはもう無い

カトーが、簡易型のサイドスタンドを支点に R1の車体を斜めに持ち上げ
そのまま、片方ずつタイヤがホイールごと外され、交換されて行く






"まだ、走れる"




そんな空気が、ピット中に充満し
異様に濃密な無色無臭の何かが、全員の体から噴き出している





ステッカーが、上手く台紙から剥がれないのを 落ち着いて

曲がらないように




「アラブさん、そっち抑えてて」



カウルのアールに沿って
ゆっくりと













「出来たっ!」



「オッケーです!」



「こっちも!!」






キーを捻り
セルを、回すと

何も無かったかのように、R1が爆音を上げる





「カトー! 行って来い!」












ツナギの上
上半身にカッパを来たカトーが、飛び出して行く



































残りは







1時間








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全員「アッハッハッハッハッハッハ」










散々探して、結局ドナドナされて来た所を見つけ



全員で指差して笑ってやった(笑)





ウッちゃんも、申し訳なさそうな顔から
俺らの気持ちが分かったらしく

顔をクシャクシャにして笑う





たった1つだ







"ライダーが 無事ならヨシ"












R1は、右半分が綺麗にフッ飛んでいた

アッパーカウルは、ステーごともぎ取れたのが 左側カウルでかろうじてぶら下がり

ラムエアダクトは、元から無かったかのようだ




車検場前でライダーごと降ろされた姿は、とてもじゃないが レースなんてやってイイとは思えない


オフィシャルのスタッフ達の前に停められ
一応の検査を受けている横で

ウッちゃんが済まなそうに頭を下げる



「ゴメンよ汗








俺は、黙ってウッちゃんをハグした


「最高だったぜ」









散々っぱらコケて

順位だって下から数えた方が速い



みんなが手伝いに来た

金だって、総額だったら結構な



そのレースで、何よりも"走り"を求めたんだ










「何しに来たのか」








俺は、ウッちゃんがサーキットを走っているのを見た事が無かった

峠でだって、2回だけだ





それなのに
もう、付き合いは10年近い






6耐という物を、どう捉え

どう走っているのか






ウッちゃんが
こういうバイク乗りだった事が、何よりも嬉しかった




だからもう充分なんだ


皆で笑って帰ろう



























検査員「じゃあ、カウルはちゃんと換えてね」

























は?





















走ってイイの?




まだ、コレで?










予備のカウルはあるけど・・・













































行くぞーっっ!!!!








(続

















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息が整い、この寒いのに汗だくの体からツナギを剥ぎ取り


着替えて、ピットから出ると
ハイエースの後ろに腰を下ろし、煙草に火を点ける





大きく吸い込んで大量の煙を吐き出すと
ぼんやりと、墨を引いたような空を眺める






(まあ、上等だろ)





本当は、45秒まで行きたかったが
この条件なら



逆に、朝から1日ドライコンディションだったら

膝に問題が無かったら

多分、42~3秒は





たられば話というよりも、冷静に感触を検証すると
それぐらいは出ると、素直に思えたのだ



前とは、あらゆる物の見え方が違った



たった40分の間に、俺のサーキットに対する考え方も








ピットに戻り、モニターに目をやる



「へぇ・・・」





ウッちゃんのタイムは55秒

奴にしては伸びてないが、当然のように朝の転倒は頭にあるだろう



もしかしたら、俺のタイムの刻み方を見て 何か考えてるのかも知れない






「お 」



数週の後

いきなりタイムが跳ね上がった
50秒を切り
48に入る



何処までやる気かは分からないが
奴なりに、ドライである事を確認したんだろう


あっという間に46秒に






よくよく考えれば
ウッちゃんだって、ベストが39秒なだけで

通常は41~2の辺りをウロウロしているのだ






(届くんじゃないか?)








まあ、それはまた後だ












「・・・んー?」








雨だ

まだ、大した量じゃないが
目で見て分かる程度にはポツポツと、空間に白い線を描く


そうこうしてる内に、モニターにレインボーか何かで転倒したマシンが映し出された





来るか

もう、ドライは無いかも知れないな





「Yー。」



Y「なんすかー?」




「ペースダウンのサイン出した方がイイんじゃないか?(笑)」






Y「あー(笑) まあ、分かってんでしょ」











「44秒 入りましたー」











そっち?









・・・ま、まぁ

さっきの事もあるし、シールドに雨粒付けば気が付くし







「うわっ、何かあっちこっちでコケてますよ汗 1・・2・・3・・・・4台も 」

















「ターミーぃいいいっ!







↓ 出せぇええええええっっ!!!!」





















ノムさん「戻って来ないですね・・・」




Y「モニターにも、映ってないです・・・」












ターミが、用意したが用の無くなったサインボードを持って
苦笑いしながらコチラを見る







アイツ






















「42秒・・・出たみたいです」






俺よりバカじゃん(涙)






(続





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