AIとCO2  マイクロソフト社 50万トンの二酸化炭素クレジット(排出枠)購入 | 夢老い人の呟き

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最近気象が激しくなったと思いませんか?

ここフィリピンでは暑い乾季に入った途端に猛烈な暑さと日照りが続き、雨季に入っていくらか暑さは和らぎましたが、毎日通り雨のような豪雨と雷が続いています。

 

雨と雷が続くのは毎度のことですが、年を取って弱気になったせいか、今年の雷は昨年までよりも激しく感じ、恐怖を感じる時もあります。

 

日本もまた各地で猛暑や豪雨が続いているようですが、世界の平均気温は過去最高を更新し続け6月も史上最高の暑さだったとのこと。

 

日本では地球温暖化や脱炭素を否定する人が多いようですが、世界は地球沸騰化といい、脱炭素を加速させています。経済や社会の流れを見れば脱炭素に乗り遅れれば、経済的に損失を被るのは避けられないと思います。

 

 

AIと二酸化炭素は関係あるの?

 

AIとCO2は一見関係無さそうに見えますが、AIは大量の電力を消費します。

元々”データセンター”は大量の電力を消費しますが、AI時代に入りさらに膨大な電力を消費するようになりました。

 

2024.03.08付け日経Xtech

GAFAの「黒子」が明かすAIデータセンターの想像を絶する未来、印西NRT12で聞いた

前略

「過去13カ月で、顧客がデータセンターに求める規模は急拡大した。ある顧客は最近、米NVIDIA(エヌビディア)のAI用GPU(画像処理半導体)であるH100を3万2000基を展開した。そのために必要となったデータセンターの規模は、IT用の受電容量で32MWに達した」。

 

中略

1ラック当たり最大70kWの電力供給が可能

 千葉ニュータウン中央駅から歩いて15分ほどの距離に位置するNRT12は、延べ床面積2万7571平方メートル、IT用の電源容量34MWで最大4000本のサーバーラックを収容できる大型データセンターだ。

以下省略

 

これからますますAI企業は膨大な電力を消費するようになります。

電力自体はCO2を発生しませんが、発電にはCO2を発生させます。

そして電力を使用する事業者は消費電力分の二酸化炭素を発生させたことになります。

 

 

AI企業の二酸化炭素発生量は?(二酸化炭素排出係数×消費電力量)

 

例として日本の火力発電の割合を見ると、資源エネルギー庁が定期的に発表している統計データによると、2024年2月末に公表された、2022年度の国内の発電量の79.8%が火力発電でした。(LNG:45.4%、石炭:42.2%、石油:3.2%)

出典:【2024年最新】火力発電における燃料の使用量と種類について解説!日本の発電量の電源別割合は?

 

 

そして電力会社ごとに、1kWh 発電するのに発生する二酸化炭素量を示す「二酸化炭素排出係数」が承認されています。

例えば東京電力の2022年のCO2排出係数は0.376 kg-CO2/kWhでした。

2022年度のCO2排出係数について|お知らせ|東京電力エナジーパートナー株式会社 (tepco.co.jp)

 

これは電力を1kWh 使用する0.376㎏㎏のCO2を発生させることになりますが、電力消費量が膨大なAI企業にとっては大問題です。

もちろんその分のペナルティを負いますので、再エネ電力を使用するとか、二酸化炭素クレジットを購入する等の対策を講じます。

 

 

DACとCCS

 

大気から直接CO2を回収する技術は日本ではまだ開発されていませんが、すでにスイスの企業で実用化され事業展開しています。

  • アイスランドの地熱発電所も発電に発生する火山性のガスによってCO2が発生しますが、DAC(Direct air captureCO2を空気中から直接回収する技術)によってCO2を回収し、それを地中の岩石と反応させて石化します。
  • アメリカも2032年から既設・新設の石炭火力発電所新設のガス火力発電所には二酸化炭素(CO2)回収・貯留装置(CCS)が義務付けられますので、大規模なDAC(Direct air captureCO2を空気中から直接回収する技術)CCSが開発されています。

 

マイクロソフト社 50万トンの二酸化炭素クレジット(排出枠)購入

 

そういう背景があるから可能なのですが、マイクロソフト社は大気からCO2を回収する企業から、6年間で50万トンの二酸化炭素クレジット(排出枠)を購入します。

 

2024年7月10日 日本経済新聞

マイクロソフトは空気から直接回収する二酸化炭素(CO2)のクレジット(排出枠)を購入する。米石油大手オキシデンタル・ペトロリアムの傘下企業が南部テキサス州に建設するプラントで回収したCO2の枠を6年間にわたり計50万トン調達する。空気から直接回収する技術を使った排出枠取引では過去最大となるという。

 

マイクロソフトは自社事業の「人工知能(AI)シフト」を進めている。注力する生成AIは運用に膨大な電力を要するため、データセンターなどで多量のCO2を排出する見通しだ。今回の取引は、これを相殺する狙いがある。

 

オキシデンタル傘下の米ワンポイントファイブが9日発表した。活用するのは直接空気回収(DAC)と呼ばれる技術だ。ワンポイントファイブはテキサス州で専用プラントを建設中。2025年に稼働予定で年50万トンの回収能力を計画している。

 

オキシデンタルは米国で4番目に大きい石油会社で、投資家ウォーレン・バフェット氏が率いるバークシャー・ハザウェイが約29%出資することでも知られる。

 

DACのクレジット相場1トンあたり800〜1200ドルとされる。今回、両社は取引額を公表していないが、数億ドルとなるもようだ。ワンポイントファイブのプラントの稼働コストは1トンあたり400〜630ドルと報じられている。

 

生成AIで使うデータセンターの電力需要が急増しており、IT大手がCO2排出を抑える手段となる太陽光や風力発電はまだ設備が足りない

 

マイクロソフトは30年までに排出を実質マイナスにする目標を掲げている。同社は今回の取引について「DACはマイクロソフトの排出削減に重要な役割を果たす」とコメントした。

 

DACに着目するのはマイクロソフトだけではない。米アマゾン・ドット・コムも23年、ワンポイントファイブから25万トンのクレジットを10年にわたり購入すると発表した。

 

DACはまだ大規模な実用化の例がほとんどないが、国際エネルギー機関(IEA)も「排出ゼロ」の達成に向け重要な役割を果たすとみている。順調に設備が稼働していけば長期的には存在感が高まっていく見通しだ。アイスランドで5月に稼働した世界最大のプラントは年末までに年3万6000トンのCO2回収能力を計画している。

 

バイデン米政権もDACの商用化を後押ししている。21年成立のインフラ投資法では35億ドルをDACの建設補助に充てた。22年成立のインフレ抑制法でも、回収量1トンあたり最大180ドルを支援する枠組みを整えている。

 

日本はあまりにも情報が不足しており、このままでは世界に取り残されてゆきそうです。

 

 

DAC(Direct air captureCO2を空気中から直接回収する技術)についてはこちらのリブログ記事を参照してください。