今の日本は陰謀論者の世界。
反コロナ、反ワクチン、反マスクの陰謀論者も多く、「コロナなんてただの風邪」「インフルエンザの方が危険」、「ワクチンを打つからコロナが増える」等々信じる人も少なくないので、最初に現在の状況を書いておきます。
新型コロナウイルスの感染数の統計を見ると、ある方の統計処理によれば、感染拡大が始まってから9週目くらいが新規感染者数のピークになっているとの事。
それを第7波に当てはめてみるとお盆くらいがピークという予想になりますが、現在感染拡大の勢いは大分鈍っており、そろそろピークを迎えるのではないでしょうか。
しかしすでに日本の医療は次のニュースのような状態で、日本の医療キャパシティの限界を超えており、コロナ感染者だけでなく他の傷病者や手術を必要とする医療も妨げられています。
そして病院はこのような状況に・・・・・・・
搬送してきた救急車が順番待ちです‥‥消防車まで!
某日朝、当院救急入口にて… pic.twitter.com/kJYQaVpD4W
— 国立国際医療研究センター救急科_教育担当 (@kkentaro2) August 7, 2022
さて、このような状況なので有効なマスク(ウレタンマスクやアベノマスクは駄目)を着用し、人込みを避けるなど、一人一人が自分が感染しない、家族や周囲の人に感染させない事が最も重要です。
一方感染症対策においては早期発見、隔離、早期治療、ワクチンが重要だと思いますが、医療の現場の負荷はとっくにキャパシティを超えており、出来る限り感染をしない/させない、重症化を防ぐため、ワクチンの重要性はますます大きくなっています。
しかしワクチンには副反応があり、またウイルスの変異で効果が薄れているのも事実。
一刻も早く副反応が少なく、変異したウイルスにも効果が高いワクチンが求められていますが、期待されていたのが組み換えタンパクワクチンです。
組換えタンパク質ワクチンとは
組換えタンパク質ワクチンは、ウイルスの構造の一部(タンパク質)を培養細胞や酵母を使って生産し、そのタンパク質を注入する方法。
弱毒化・不活化ワクチンと比べて、ウイルスそのものを投与しない分、副反応が起こりにくい。
課題は、投与したときに免疫がうまく機能するタンパク質を見つけることができるかという点と、 ワクチンの効果を高める「アジュバント」という成分が必要になることがあるという点。
投与するタンパク質の種類によっては、免疫システムがうまくはたらかない場合も考えられるという。
出典:7種類あるって知ってた?「新型コロナワクチン」でいま知っておきたいこと
アジュバント(Adjuvant)とは、ラテン語の「助ける」という意味をもつ 'adjuvare' という言葉を語源に持ち、ワクチンと一緒に投与して、その効果(免疫原性)を高めるために使用される物質のことです。あくまでもワクチンの効き目を高めるためのものなので、アジュバントだけを投与してもワクチン効果は得られません。
抗原の一部の成分を精製して接種するワクチンは一般的に効き目が弱いのでアジュバントの添加が必要です。
出典:アジュバントとは
ファイザーなどの「mRNAワクチン」やアストラゼネカの「ウイルスベクターワクチン」がコロナウイルスのスパイク蛋白の設計図(mRNA)を注射して体内でスパイク蛋白を作り、免疫を作るのに対して、組み換えタンパクワクチンは人工的に作ったスパイク蛋白を注射して免疫を作ります。
組み換えタンパクワクチンの概要についてはこちらをご覧ください。
ワクチンを打つと昆虫になるなんて言う陰謀論者が出るかも
5月ころから全国各地で接種を始めていますが、ご覧のように他社のワクチンに比べて副反応が少ないです。
出典:“ノババックスの副反応 “他社ワクチンに比べ低い” 厚労省研究班”
また効果についてはまだ統計的なデータはなく、“抗体価”で評価しています。
免疫には細胞性免疫と液性免疫がありますが、“抗体価”で表されるのは中和抗体(液性免疫)のみです。
ファイザーなど「mRNAワクチン」やアストラゼネカの「ウイルスベクターワクチン」の説明では中和抗体(液性免疫)を作る事しか説明されていませんが、ノババックスのワクチンはアジュバント(ワクチンと一緒に投与して、その効果(免疫原性)を高めるために使用される物質)が細胞免疫の活性化もするという事なので、その効果も期待できそうです。逆にそれを自己免疫疾患に繋がらないか懸念する人もいるようですが、いずれにしてもワクチンはメリットとデメリット、リスクベネフィットを考慮する必要があります。
免疫についてはこちらの動画をご参照ください。