5日に高圧送電線が砲撃で破損し、原子炉1基が運転停止を強いられている欧州最大ウクライナのザポリージャ原発。
6日夜にまたロケット弾によって攻撃され、使用済み核燃料の入った容器174本が保管されている貯蔵施設付近に着弾した。
出典:New rocket strike on Ukraine nuclear plant, as UN watchdog warns of 'disaster'
ウクライナの国営原子力企業エネルゴアトムによると、原発の一部では爆発で窓が吹き飛び、作業員1人が破片で負傷して病院に運ばれた。同社はテレグラムの声明で「砲撃された場所の隣接地に保管されていた使用済み核燃料の容器が狙われたようだ」と述べています。
この攻撃で放射線測定装置3台が破損し、放射線の状況が悪化したり、使用済み核燃料容器からの放射線漏れが起きたりした場合でも、すみやかに検知して対応することが不可能になっています。
エネルゴアトムは「今回は奇跡的に核惨事は避けられたが、奇跡は永久には続かない」と、核惨事にならなかったのは奇跡だと述べています。
国際原子力機関 (IAEA) のラファエル・マリアーノ・グロッシ事務局長は、被害の報告に不安を感じていると述べ、IAEA の専門家チームがプラントを訪問し、複合施設を評価して保護することを緊急に許可するよう要求しました。
詳しくはこちらをお読みください。
こちらはCNN日本語版ですが、少々内容が薄くなっています。
なお、ザポリージャ原発は使用済み核燃料をキャスクと呼ばれる容器で保管する乾式貯蔵です。
キャスクの大きさ、使用済み核燃料の大きさ、ひとつのキャスクに何体くらいの使用済み核燃料が収められているか等は分かりませんが、キャスクは例えば下図のようにかなり大きな物で、内部を乾燥させ不活性ガスを注入します。
キャスクには密封機能、放射線の遮蔽機能、臨界防止機能、除熱機能などがあり、破壊されれば崩壊熱と放射線で核惨事となる可能性も考えられます。
参考までに福島第一原発は使用済み核燃料は、使用済み燃料プールで冷却を続けながら貯蔵しており、1体が250㎏、長さ4.5mの使用済み核燃料が1号機は392体、2号機は615体、3号機は取り出し完了、4号機は1535体、5号機は1542体、6号機は1654体残っています。
もし燃料プールが破壊されたり冷却水が失われれば、やはり崩壊熱により核惨事となる可能性があります。
もちろん原発への攻撃は国際法違反。
日本国内でも以前から「戦争になったら原発が狙われる」と危惧されていますが、それに対して「原発への攻撃は国際法違反」だからあり得ないと言う意見がある。
しかしウクライナ侵攻も武力攻撃も民間施設攻撃も民間人虐殺も病院や学校への攻撃も、全て国際法違反。
そもそも国際法を守るような国なら、武力侵攻などしないだろう。