国税に占める税種別の割合を見ると、消費税以外は全て低下し、消費税が44.7%を占めています。
もしも消費税を廃止したら日本の税収の半分近くが失われますが、この税バランスを改善する必要があります。
そして野党や野党支持者が決まり文句の「大企業優先を止めろ」と言う法人税は、昭和63年の35.3%から令和3年には19.6%に減っています。
しかし大企業優先とは何ですか?
大企業の方が法人税率が低いというのですか?・・・・そんなことはありません。
しかし実質の税負担率は大企業の方が低くなっていますが、それはなぜか?
野党や野党支持者の方々は良~く考えて欲しいと思います。
出典:財務省 税収に関する資料
次に国際収支を見てみます。
1月の経常収支は1兆1887億円と、8年ぶりの大幅赤字となりましたが、昨年12月に続いて2カ月連続の赤字となっています。
その原因の1月の貿易収支は1兆6043億円の大幅赤字で、円安になれば輸出額が増えて貿易黒字が増えると考える、いまだに昭和のままの頭の人が多いですが、輸入額が約40%増と円安が招いた貿易赤字です。
日本の国際収支はこれまでずっと、貿易収支と第一次所得収支以外は赤字です。
しかし貿易収支も昨年8月以降は10月を除いて赤字です。
そして第一次所得収支が日本の国際収支を支えてきましたが、1月は貿易赤字が大幅に拡大して、第一次所得収支が支えきれなくなったというのが経常収支8年ぶりの大幅赤字の原因です。
しかし第一所得収支とは何でしょうか?
その主なものは次です。
- 直接投資収益:親会社と子会社との間の配当金・利子等の受取・支払
- 証券投資収益:株式配当金及び債券利子の受取・支払
- その他投資収益:貸付・借入、預金等に係る利子の受取・支払
ここで考えなければいけないのが製造業などの構造の変化、実態と、法人税制の仕組みでしょう。
例えば輸出産業の代表のように思われている自動車産業ですが、昔とは全く変わっています。
例えば一例として、ホンダの国内と海外の生産と販売台数を紹介しますが、国内生産、国内販売ともに世界生産・世界販売の13~14%といったところですが、これは他社も似たり寄ったりではないかと思います。
出典;2021年度 上半期(4-9月) 四輪車 生産・販売・輸出実績
販売台数も2021年第三四半期で2輪1704万台中日本は24万台、4輪420万台中日本は55万台です。
一番多いのアジアですが、これは殆ど中国ではないかと思います。
つまり自動車産業ももはや日本で生産して海外に輸出する構造ではなく、海外で生産して海外で売る構造に変わっています。
しかしその場合、利益に掛かる法人はどうか?
日本企業は現地に外国子会社を作り、利益はその子会社の配当益として本社に還流させます。
しかしその配当益に対しては‟「外国子会社配当益金不算入制度」”により、 受け取る配当の額の95%相当額を益金不算入(配当の額の5%相当額は、その配当に係る費用として益金に算入) となります。
つまり生産拠点の海外移転により雇用や諸々の収益が失われるだけでなく、法人税収も失われます。
一方で税の掛からない海外からの還流益は企業の内部留保となりやすく、これも内部留保の増える一因だと思います。
またこの制度が適用されたのは平成21年4月1日以降ですが、これが一層企業の海外移転を促進させるのではないでしょうか。
野党さん、「大企業優先を止めろ」なんて中身の無いスローガンでは、国民の支持は得られないと思います。