パキスタン航空機墜落事故はコロナのせい!?・・・冗談ではありませんが、私は疑っています。 | 夢老い人の呟き

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5月22日乗員乗客99名を乗せカラチ空港近くに墜落した、パキスタン航空PK8303便エアバスA320型機。

6月22日にパキスタンの航空当局CAA(Pakistan Civil Aviation Authority)がPreliminary(予備的)Reportを出しましたが、パイロットの自信過剰であるとか規定を順守しなかったとかLanding Gear(着陸用の脚)を出さなかったとか、Go Around (着陸復行)でエンジンを損傷し両エンジンが停止しのとか、分かり切っていることを羅列しただけのような内容です。

 

事故の原因については当ブログでも何度も説明したように巡航からの降下開始が遅く、異常な高度から異常な降下率、異常な速度で空港にアプローチし、Landing Gear(着陸用の脚)を出さないまま着陸しようとして滑走路にエンジンをぶつけ、着陸を断念してGo Around(着陸復行)して上昇し、エンジンが停止して墜落したものです。

 

状況については次の動画に説明されており、なぜLanding Gearが出ていなかったかについては3つの可能性が説明されています。

私は以前から「パイロットがLanding Gear Down の操作をしなかった」か、「対地速度260ノット以上で働く機体構造破損を防止するためのプロテクションが働いた」かのどちらかだと考えていましたが、どうもパイロットが操作しなかったとみて良さそうです。

 

この動画のCaptain Madayさんが何者かは知りませんが、この動画のエアバスと運航に関する専門知識は間違いなく本物で、この内容は素晴らしいです。

 

 

 

事故原因はパイロットのヒューマンエラーということは飛行プロファイルを見ればすぐに推測できますが、問題はなぜパイロットがそのような行動をとったかです。しかしそれはボイスレコーダーのデータが公開されないと分かりません。

ところが今日のAFPにとんでもないことが書かれておりました。

 

これには「機長と副操縦士が新型コロナウイルスについての会話に気を取られ、車輪を上げたまま着陸を試みていたことが明らかとなった 」、「 機長と副操縦士は集中しておらず、終始コロナの話をしていた。頭の中は(ウイルスの)ことでいっぱいだった。家族がウイルスの影響を受けており、彼らはその話をしていた」 ということが書かれていいます。

 

詳しくはこちらをクリックしてお読みください。

 

 

しかし・・・・・・陰謀論者はこれでは納得しません。

これだけではTop of Descent(巡航高度からの降下開始)が異常に遅れ、以後Diveと言えるような異常な降下を続け、フラップも出せない異常な高速で着陸を試みたことの説明はつきません。

まだ何か、大事なことが隠されているような感じを受けます。

 

 

<ジェットエンジンと航空機の雑学>

 

なおA320のエンジンはCFM56という“スネクマ社”製のエンジンです。

ターボファンエンジンはファンケースの下にアクセサリーギアボックスという、発電機や油圧ポンプや燃料ポンプや燃料の制御装置、オイルポンプなどの補器を駆動するためのギアボックスが取り付けられています。

パキスタン航空機は3度滑走路にエンジンを擦っていますので、このギアボックスや補器類が損傷したのが、両エンジンとも停止した原因です。

 

 

また次の写真はボーイング737の-700や-800を正面から見たものです。

エンジンがお結び型をしていて、A320とは全然違う形をしていますが、実は同じCFM56です。

形が違うのはB737は1968年から就航しているロングセラー機で、当時は現在のようなハイバイパスレシオのターボファンエンジンなどなく、外径の小さいJT-8Dというエンジンを使用していました。

 

このためLanding Gearが短く主翼の位置が低いため、CFM56エンジンをそのまま付けたのでは、地面とのクリアランスが取れません。

そのためにギアボックスの位置を写真のようにファンケースの横に移したため、異例のお結び型エンジンとなりました。

 

 

 

ところが航空業界は燃費競争が激しくなり、B737MAXではより低燃費のGE LEAPを使用します。

このLEAPエンジンはCFM56よりもさらにハイバイパスレシオで外径が大きくなっています。

このため下図のようにエンジンを従来機よりも前方かつ上方に取り付けています。

 

出典:B737 MAX: Changes To Airframe And Systems

 

この結果B737MAXでは、機体の姿勢がある程度以上機首上げになると、エンジンにかかる空力の力により、機体を機首上げにしようとする力が働きます。

これは迎角が大きいときに、失速の危険性をより大きくします。

図出典: FAA evaluates a potential design flaw on Boeing’s 737 MAX after Lion Air crash

 

そこでボーイング社は失速しやすい条件になると水平尾翼により機体を強制的に機首下げにする、MCASという失速防止のシステムを付けました。

 

ところがそのシステムが誤作動して2度の墜落事故を起こし、現在運航停止となっています。