日米地位協定と刑事訴訟法とゴーン事件、志布志事件、村木事件 | 夢老い人の呟き

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日米地位協定・・・‟日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第6条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定(日米地位協定)

 

詳しい内容は上のリンクを読んで頂きたいと思いますが、「日本とアメリカの地位は違うんだぞ」というかのような不平等な協定です。

出典:なぜ改定されないのか~日米地位協定を考える

 

 

 

■なぜに日米協定は改定されないのか?

 

米兵、米軍関係者による犯罪に対して、‟日米地位協定(第17条)”の壁に阻まれる沖縄県民にとって日米地位協定の改定は悲願ですが、なぜに改訂できないのか?

そこには意外な理由もありました。

日米地位協定を改定できない理由は、日本の刑事訴訟法にあるというのです。

なぜ改定されないのか~日米地位協定を考えるの初めの方に動画がありますが、4分40秒からロバート・エルドリッヂさんのインタビューがありますのでご視聴下さい。

米軍の元関係者「まず日本の国内法の改正を」

一方、アメリカ側は、日米地位協定の「第17条」問題について、どう捉えているのか。日米関係や安全保障政策、戦後沖縄史などの研究者で、去年までの6年間、沖縄の米海兵隊で政治顧問をしてきたロバート・エルドリッヂさんに取材した。

 

日本国内で起きた事件ならば、日本の国内法で裁くことが自然ではないのか。こう質問すると、エルドリッヂさんからはこう回答が返ってきた。

「(日本の刑事訴訟法によると)基地の外で逮捕されたアメリカ人は、日本の警察署、留置所に送られて、取り調べを(最長で)23日間ずっと受けること(が可能)になっている。弁護士が(取り調べに)立ち会えるといった世界の常識を、なぜ日本は求めないのか。もし、地位協定の改定そのものを目指すのであれば、まず日本は、そのことを改善しなければいけないと思います」

エルドリッヂさんは、日本の刑事司法制度に不備があると指摘してきたのだ。

 

日本では、犯罪の容疑者は、逮捕・勾留によって起訴されるまで最長23日間の身柄拘束を受ける。その間、弁護士の立ち会いがない状態で、捜査機関の取り調べを受けなければいけない点に問題があると、エルドリッヂさんは批判する。日米地位協定の「刑事裁判権」の規定を改定する前に、日本の刑事訴訟法を改正すべきという主張だ。

そして、こんな苦言を呈する。

「ほとんどの日本人が『日米同盟や米軍基地はアメリカ政府が押し付けたもの』というふうに見ているので、米軍人が絡んだ事件や事故、犯罪に感情的になりやすく、けしからんと思ってしまうのではないか。しかしもう少し冷静に、世界の常識とはなにかを見る必要があるかなと思っています」

 
 
 
■ゴーン事件、志布志事件、村木事件

 

米国は自国民保護のため日本の刑事訴訟法を問題にしていますが、ゴーン事件や志布志事件”、‟村木事件はさらに深刻な問題を含んでいると思います。

 

【ゴーン事件】

ゴーン事件では経済事件であるのも関わらず事情聴取も無しにいきなり逮捕され、取り調べに弁護士の立ち合いも家族との面会も許されず長期勾留。
およそ民主主義国家でではありえない事といえると思いますが、無罪を主張したら保釈されないというのも、無罪を主張する人しか保釈されないアメリカから見たら‟不思議の国のゴーン”。

 

【志布志事件】

志布志事件”は証拠も無しに逮捕し長期勾留で自白を迫られた典型的な冤罪事件。

以下日本の「人質司法」をどうするか――長期勾留や自白偏重に国際社会の批判”より引用

 

鹿児島市内から志布志市まで車で約2時間。そこからさらに山道を1時間ほど走ると、民家が10軒にも満たない懐(ふところ)集落に着く。「人質司法」による冤罪で知られる「志布志事件」は2003年、この山深い小さな集落で起きた。鹿児島県議選で買収などの公職選挙法違反があったとして集落に住む11人を含む計15人を逮捕。13人が起訴され、のちに全員が無罪になった事件である。

 

「警察の態度は、悪いっちゅうもんじゃないですよ。(逮捕される前の)任意の取り調べの3日目くらいのとき、部屋に入ったらいきなり、『こら、藤山! 死刑にしてやる!』って言われました」

事件で逮捕された一人、藤山忠(すなお)さん(70)は自宅でそう話した。述懐は続く。

「調べの間、机は蹴とばすわ、壁はたたくわ。壁を自分でたたいた刑事から『手が痛いから(罪を認めて)話してください』って言われたこともあります。それから1カ月近く、朝から晩まで延々とそんなのが続くんです。暴力団よりひどいですよ」

 

藤山さんは候補者側から現金を受け取った容疑をかけられ、逮捕後の勾留日数は185日に及んだ。取り調べ時間は、任意の期間を含め計538時間になる。とくに志布志署での任意の取り調べは苛烈だったという。

 

「机の上に両手を置けって言われて、ずっと同じ姿勢でいさせられるんです。つらくて手を机から下ろすと、怒られる。刑事は『このままだと、いつまでたっても会社にはいけんぞ』とか、『おまえが認めてくれれば、オレが一生面倒見る』とも言っていました。同じことをずっと言われ続けると、頭がボーッとしてきて、考える力がなくなって、どうでもいいやって思えてくるんです」

強圧的な姿勢で自白させる捜査手法は「たたき割り」と呼ばれる。任意の取り調べが始まって数日後、つらくなった藤山さんは容疑を“自白”してしまう。“自白”すると、逮捕され、接見禁止によって会えるのは弁護士だけになった。逮捕後の取り調べは毎日、朝10時頃から夜8時頃まで。取り調べ時には腰縄でパイプ椅子にくくりつけられて身動きできなかったという。

「親を逮捕するって言われたことは3回ありました。でも、一番つらかったのは、取り調べ時間が長いことと、『やってない』と言っても同じことを何度も繰り返し聞かれることでした」

 
以下省略

 

【村木事件】

村木事件”は厚労省局長だった村木厚子氏が身に覚えのない罪で逮捕・長期勾留されました。

しかし証拠とされたフロッピーディスクの最終更新日時が大阪地検特捜部により改竄されていた事が発覚、逮捕から454日目、裁判で無罪となりました。

 

 

アメリカが日米地位協定で自国民を守らねばならないというのも、やむを得ないのでしょうか?

日米地位協定を改定しろ、あるいは無くせという人達も、自分の国にその障害が無いか考えてみる必要がありそうです。