ドイツ政府の企業防衛。日本は???? | 夢老い人の呟き

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国を守るというと憲法改正だ、核を持て、空母が必要だと勇ましい事をいう人がいますが、そういう方々に限って経済的に侵略、、、、というと言葉が悪いですが、日本が買われていっても気に留めません。

国土はメガソーラーなど中国企業に買われ、観光ビザで訪れた中国人に土地を買われ、民営化バンザイでライフラインにまで外国企業が入り始め、そして企業は中国企業やヘッジファンドに買われます。

 

 

■外国人株主

企業は誰のものか?

一概にはいえませんが、株主のものという要素は強いと思います。

しかし株主は日本人とは限りません。

日産自動車を例に見ると外国人持ち株比率は62%、うちルノーが43.4%。

2018年の予想配当率と株数から計算してみると、2018年の配当総額は約2400億円くらい、うち1490億円くらいが外国に、ルノーには1044億円位が配当される計算になります。

 

ジャーナリストの中には日産は「ゴーンがルノーへの配当を増やすため配当率を高くしている」と言う者もいますが、日産の配当性向 配当性向(%)=1株当たりの配当額÷1株当たりの当期純利益×100 )は30くらいと、上場企業の平均ですので間違いです。

 

そしてそれを見ると当期純利益の約3割が配当され、その6割が外国人に持って行かれるという事になります。

 

はたまたジャーナリストの中には「ルノーは日産と提携を解消すると配当金が入らなくなるから困る」と書いていいる人もいますが、「お馬鹿ですか?」と言いたくなります。

提携解消しようとルノーが株主である事も、日産がルノーの持分法適用会社である事も変わりません。

失われるのは部品やプラットフォームの共用化などによる7000億円とも言われるシナジー効果でしょうが、この影響は分りません。

ついでに書いておくと普通は40数%も株を持たれたら、その会社は完全に支配下におかれます。

これは無いと思いますが、もしルノーが43.4%の日産株を売ったらどうなるか?

 

これは最悪のシナリオだと思います。

例えばボルボは中国のジーリー(吉利自動車)の傘下ですし、ダイムラー(ドイツの名門自動車会社。メルセデス・ベンツはダイムラーの高級車部門です)の筆頭株主もジーリーです。

 

2兆円で日産自動車を支配下に置けるとしたら、中国ファンドは喜んで出資するでしょう・・・というようなシナリオは誰でも考えると思いますが、なぜか誰も口にはしません。

よほどルノーを信頼しているのでしょうか?

 

 

■2017年あいついで有力企業が中国企業に買収されたドイツ

 

少々脱線しましたが、資本主義だから、自由主義経済だからと、おまけに規制緩和バンザイと、市場の好き勝手に任せたら企業は、しいては国の経済は守れません。

一つの国だけしか知らないことは どこの国も知らないことと同じである」と申しますが、日本だけ見ていると日本が見えません。

日本を見るためにドイツを見てみましょう。

 

ドイツは一昨年、国内有力企業があいついで中国企業に買収されました。

そこで非居住者の出資比率が25%に達した場合に政府が介入できるよう、外資投資規制を強化しておりましたが、昨年さらに出資比率が15%に達した場合に介入できるよう規制強化しそうです。

2018年8月7日 ロイター

独政府、外資規制の強化検討 出資比率基準15%に引き下げ

以下引用

ドイツ政府は、欧州連合(EU)域外からのドイツ企業への投資について、出資比率が15%を超える場合、政府が介入できるよう規制強化を検討している。7日付の独ディ・ヴェルト紙が伝えた。 

 

ドイツ政府は昨年、中国企業が相次いで国内有力企業を買収したことを受け、非居住者の出資比率が25%に達した場合に政府が介入できるよう、外資投資規制を強化した。

 

独ディ・ヴェルト紙が引用した規制草案は、EU域外の投資家がドイツ企業の議決権を少なくとも15%取得した場合に経済省が介入すべきだ、としている。

同紙によると、アルトマイヤー経済相は、防衛関連企業や重要なインフラ、ITセキュリティーなど市民の安全に関わる技術への投資については、将来をしっかりと見極める必要があると指摘。

これまで出資比率が25%に達した時のみ政府は審査することができたが、この基準を引き下げることで、配慮が必要な経済部門におけるより多くの買収を審査することができる、と説明した。

 

しかしこれでもまだ不十分なのか、政府による大手企業の株取得に方針を変えそうです。

 

2019年2月6日 ロイター

ドイツ政府、大手企業の株式取得も 主要産業保護に向け

以下引用

アルトマイヤー経済・エネルギー相は5日、国内の大手企業が海これ外勢に買収されないように政府が一部株式を取得する可能性を示した。国の繁栄を守るために必要な措置だと強調した。ドイツの国家戦略として明確な路線変更となる。

防衛的な政策移行の背景には、中国を筆頭とする海外勢によるドイツのノウハウ取得や、ドイツの富の源となる製造業が損なわれることに対する懸念がある。

 

アルトマイヤー氏はこの日発表した「国家産業戦略2030」で、鉄鋼大手のティッセンクルップや総合電機大手シーメンス、ドイツ銀行、国内の自動車メーカーなどの優良企業の存続が国家にとって重要だと述べた。こうした企業に出資するための投資ファンドを設立する可能性を示唆した。

欧州最大規模を誇るドイツ経済は伸び悩んでいる。10年間力強く拡大した後、最近は勢いを失っており、2018年の国内総生産(GDP)は5年ぶりの弱い伸びにとどまった。こうした中、世界各地でも保護主義的な政策が拡大。米国と中国は報復関税の応酬を繰り広げているほか、英国と欧州連合(EU)では将来の通商関係を巡り先行き不透明感が漂っている。

 

 
さて規制緩和だ、民営化だ、公務員を減らせの日本はどうでしょうか?
イージス・アショアだ、いずもの空母化だと言っている間に企業は中国企業に買収され、土地は買われ、電力は中華メガソーラーから、水道も下水も外国企業が管理、などいう事にならねば良いのですが。
 
 
なお、フランス政府はルノーはじめ大手企業の株主となると共に、オランド政権時にフロランジュ法を制定し長期株主の議決権を2倍にしました。
これは政府の影響力を強くし、リストラや事業所閉鎖などを制限して雇用を確保するのが目的です。
なおその時の経済相がマクロン大統領でして、日産への介入もフランスでの生産増など、フランスの雇用増の目的が大きいと思います。