まだ全停電に至った原因は不明な点がありますが、胆振東部地震時、道内の電力需要は約310万㎾ですが、殆どが火力発電所の発電で、半分以上の165万㎾を苫東厚真火力発電所が発電していました。
◇なぜ一極集中になっていたのか?(推測)
なぜこのように一極集中といえる運用になっていたかというと、発電所の構成と特性を考えれば当然の選択かな?と思います。
下表は関電HP(http://www.kepco.co.jp/energy_supply/energy/thermal_power/shikumi/)からお借りしました。北電も石炭火力発電所の運用はほぼ同じであろうと想像しますが、「石炭火力は原子力と同様出力一定で24時間運転している電源。電力需要の変化に応じた調整は行わない。」とあります。
以下は北電の火力発電所です。(出典:北電HP火力発電所一覧)
北電の場合、苫東厚真火力発電所・奈井江・砂川は石炭火力、知内・伊達は重油、苫小牧だけがガスです。電力需要の少なかった地震時、苫東厚真火力発電所はベース電源として定格運転しており、その結果一極集中となっていました。
またもし仮にこの時に91万㎾の泊原発3号機が稼働していたとしても、その分、代わりに他の火力発電所が停止していますので、結果は同様です。
ベース電源ばかりでは余計負荷の変動に対応できません。
そもそも今回の停電は、北電の電力供給力が不足したために起きた停電ではありません。
逆に深夜で電力需要が少ないために、稼働して発電所が少なく、しかも素早く負荷増に対応できる、水力発電所やガス火力発電所が停止していたために起きた停電だと思います。
但し、後述の電力遮断に対する疑問がありますが。
原発が無かったから停電したという人は、深夜でも電力が足りないと思っているのでしょうか?
◇全停電に至るまでの経緯
下図は.北電HP主な電力設備分布図より引用させていただきましたが、青丸は水力発電所でご覧のように多数の水力発電所があります。
しかしこれらの水力発電所は停止しておりました。
新聞から時系列を拾ってみると、次のようになります。
3時7分:地震発生。
3時8分:苫東厚真2号機と4号機が停止しました。⇒130万㎾電力供給喪失
以外にも、すぐに北海道・本州間連携線は送電を開始していたそうです。
※直流を交流に変換し、周波数・位相を同期させるまでは給電できません。
3時11分:北本連携線、周波数調整・位相同期完了、送電開始。
新聞には送電能力のMAXの60万㎾送電と書かれています。
そして安定供給が開始されたとあります。
以外にもここまでは理屈通りで問題ありません。
ところが・・・・3時25分、苫東厚真発電所1号機が停止しました⇒35万㎾喪失
順序はわかりませんが、稼働していた火力発電所が全て停止となりました。
苫東厚真発電所1号機が1・2号機が停止した、3時8分に停止しなかったのは、オーバーロードにならないよう負荷遮断がされていたからだと思います。
また3時11分に北本連携線が送電され、その後3時25分に苫東厚真発電所1号機と残りの全ての運転していた火力発電所が停止したのは、「負荷遮断が解かれ各発電所が並列運転していた」と考えないと説明がつかないと思います。
とすると負荷遮断を司るシステムが、設計上の問題か誤作動かあるいは人為的な問題か何かわかりませんが、何らかの原因で遮断されるべき負荷が遮断されなかったと思います。
それが原因か、原因だとしたらなぜ負荷遮断されなかったのか、まだまだ謎が残っているようです。
新聞では空白の17分と書かれていますが、この17分の間に何があったのでしょうか?
この時点では情報不足でしたので、「いまだ原因が不明の北海道全停電と、苫東厚真発電所の損傷から見る原発の安全性の疑問」でアップデートしております。
全停電の推定シナリオについては「いまだ原因が不明の北海道全停電と、苫東厚真発電所の損傷から見る原発の安全性の疑問」をご参照下さい。