日本列島の生い立ちと、世界は2017年から少なくとも5年間続く地震多発期 後編 | 夢老い人の呟き

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本稿は「地震について考える」をテーマに、全編と後編に分けてあります。

前編においては日本列島の生い立ち、後編においては地球の周期的な回転速度の変化と増加している地震の関係についての科学的根拠と最近の地震発生について記します。

 

関連記事:地震、噴火注意・・・・赤道が縮んでいるらしい

       環太平洋火山帯の原発

参考:BUISINESS INSIDER「科学者が警鐘! 赤道の収縮で、2018年は大地震が倍増か

   THE GEOLOGICAL SOCIETY OF AMERICA「A FIVE YEAR FORECAST FOR INCREASED GLOBAL SEISMIC HAZARD (Invited Presentation)」   

 

 

 

やはり赤道は縮んでいた!2017年から少なくとも年間の地震多発期間

 

BUISINESS INSIDER科学者が警鐘! 赤道の収縮で、2018年は大地震が倍増か」には次のように書かれています。

  • 地質学者たちは2018年、大きな地震が2017年の約2倍発生すると予測している。
  • なぜなら、「地球の自転速度がやや低下」し、赤道を微妙に収縮させているからだという。
  • 赤道が収縮することで、構造プレートが押し合いになるため、地震が頻発しやすくなる。

 

全文は上のリンクよりお読みいただきたいと思いますが、どうせビジネス誌の読者の関心を引くための三文記事だろうと思う方もいるかもしれません。

そこでアメリカ地質学会THE GEOLOGICAL SOCIETY OF AMERICAA FIVE YEAR FORECAST FOR INCREASED GLOBAL SEISMIC HAZARD (Invited Presentation)を紹介します。

和文はナンチャッテ手抜き翻訳ですのでご承知置き下さい。

以下“A FIVE YEAR FORECAST FOR INCREASED GLOBAL SEISMIC HAZARD (Invited Presentation)”より引用

 

On five occasions in the past century a 25-30% increase in annual numbers of Mw≥7 earthquakes has coincided with a slowing in the mean rotation velocity of the Earth, with a corresponding decrease at times when the length-of-day (LoD) is short.

過去5世紀Mw(モーメントマグニチュード)7以上の地震の年間数が25-30%増加したのは、地球の平均回転速度が低下したのと一致しています。

 

The correlation between Earth's angular deceleration (d[LoD]/dt) and global seismic productivity is yet more striking, and can be shown to precede seismicity by 5-6 years, permitting societies at risk from earthquakes an unexpected glimpse of future seismic hazard.

地球の減速と世界規模の地震の発生の相関関係は顕著で、(減速が)5~6年地震活動に先行します。

 

The cause of Earth's variable rotation is the exchange of angular momentum between the solid and fluid Earth (atmospheres, oceans and outer core).

地球の回転速度が変るのは地球の固体部分と流体(大気、海、外核)角運動量の交換です。

 

Maximum LoD is preceded by an angular deceleration of the Earth by 6-8 years corresponding to a π/4 phase lag of the 24-33 year peak-to-peak period of multidecadal oscillations of Earth's rotation.

最大LoD(一日の長さ最大)の前には、地球の自転の数十年振動のピークツーピーク期間24〜33年のπ/ 4位相遅れに対応する、6〜8年の地球の角減速が先行します。

 

We show delayed global seismic productivity is most pronounced at equatorial latitudes 10°N-30°S.

遅れた世界の地震の発生は北緯10度から南緯30度で最も顕著です。


中略

 The year 2017 marks six years following a deceleration episode that commenced in 2011, suggesting that the world has now entered a period of enhanced global seismic productivity with a duration of at least five years.
2117年は2011年に始まった減速エピソードから6年であり、世界は少なくとも5年間の世界規模の地震の多発の期間に入りました。

 

難しくてよく分かりませんが、地球の自転速度は24~33年周期で振動しており、角減速のピークからπ/ 4位相遅れに対応する6~8年後が一日が最長となり、地震の多発期に入るようです。

 

そして2017年は2011年から始まった減速エピソードから6年であり、少なくとも5年間続く地震の多発期に入りました。

そして、この地震の発生は北緯10度から南緯30度で最も顕著です。

 

 

それでは最近の傾向はどうか?

 

それでは最近の傾向はどうか、USGS(アメリカ地質調査所)の地震データを見てみます。

 

まずこの一週間のマグニチュード4.5以上の地震を見てみます。

オレンジの円は24時間以内、黄色は24以上前、円の大きさはマグニチュードの大きさを示します。

ご覧のようにかなり多く、環太平洋火山帯に集中しています。

オーストラリアの東側。バヌアツやフィージーの辺も特に多いですが、バヌアツで大きな地震が起きると、少し遅れて日本にも大きな地震が起きるという「バヌアツの法則」という都市伝説?があり、今回も気にしていた人が多いと思います。

 

こちらは30日間の特に大きな地震ですがやはり発生場所は同じような傾向です。

(オレンジ24時間以内、黄色24時間超7日以内、白7日超30日以内です)

 

次は30日間のマグニチュード4.5以上ですが、ご覧のように凄い数ですが、傾向は同様です。

 

 

アメリカの原発立地は?

 

上のUSGSの地震マップと下の原発のマップを比べてみて下さい。

環太平洋火山帯の原発」に書きましたが、アメリカの原発で西海岸側にあるのは下図の3原発のみ、そのうち西海岸から300㎞以内はカリフォルニア州のディアブロキャニオン発電所の2基のみで、その2基も2024年と2025年に廃炉されます。

 

出典:US NRC(Nuclear Regulatory Commission)Map of Power Reactor Sites

 
 
カリフォルニア州といえばサウスカリフォルニアエジソン社のサンオノフレ原発廃炉を思い出す人もいるかと思います。
米電力会社 三菱重工に9300億円損害賠償請求」に書きましたが、三菱重工製蒸気発生器からの水漏れがあり、廃炉費用や運転予定だった20年間の逸失利益など、40億円以上を三菱重工に請求したものですが、私は経済的に見合わなくなって原発の火事場太り狙いではないかと思っていました。
アメリカは2011年の9.11事件以降原発に対する規制が急激に厳しくなり建設費が暴騰し、さらに東日本大震災が追い打ちをかけWH社は破たん、GEは2012年には原発に見切りをつけ(「米GE イメルトCEO 原発“見切り”発言の衝撃度」ご参照)、脱原発に舵を切り「独シーメンスと米GE、「脱原発」業績けん引」電源部門で業績好調となりました。
 
 
ちなみにアメリカに火力発電所がどれ位あるかご存知ですか?
 
下図はアメリカの火力発電所を場所を表す図です。
大陸と海の色が同じようで大陸の形が分かり難いですが、火力発電所は赤い●で表示していますすが、点も集まれば面になります叫び
米国の火力発電所一覧地図・ランキング」に一覧表がありますので、暇とやる気と根性のある方は数えてみて下さい。
 
これだけ多いと電源が一極集中の北海道とは別の問題が生じそうです。
 
 
なお、北電の全停電については「北海道胆振東部地震「泊原発が動いていれば停電はなかった」論はなぜ「完全に間違い」なのか」に書かれていますが、私には一般的な電力に対する知識しかありませんが、その範囲で考えればこの記事は正しいと思います。
 
交流電源の並列運転には電圧、周波数、位相をそろえる事が必要です。
電圧が揃わなければ無効電力を、周波数・位相が揃わなければ有効電力を、電圧の高い発電機、周波数・位相の早い発電機が他の発電機の分まで負荷を負います。
このため負荷を均等化するために出力調整が出来る事と、もしも1系統に異常が生じた場合に他の系統に深刻な影響が及ばないよう、残された系統に十分な容量がある事が最低限の条件です。(このため例えば航空機では双発機は絶対に並列運転はしません。)
 
原発にしろ火力発電にしろ、単純にいえばお湯を沸かして水蒸気でタービンを回すシステムですが、発電機を駆動する水蒸気タービンは素早く出力を上げる事は出来ません。特に原発と石炭火力は苦手です。(ガス火力発電をガスコンロとすれば炭火のようなものでしょうか)
出力が上がらないままで負荷が増えれば周波数、電圧は低下し、規定値以下に下がればその発電機はシステムから切り離される事になると思います。
 
ですから個人的な感想としては例え泊原発が稼働していたとしても、出力調整の効かない2極化ではだめで、もっとバランスよく分散するとともに、多種の電源、特に水力発電のように出力調整が得意な電源を組み合わせる事が必要だと思います。
道東には水力発電所が沢山ありますが、地震の前は稼働していたのか否かか報道されていませんが、それも気になります。
 
 
また泊原発の再審査が長期化している理由は以下の点です。
  • 原子力規制委員会による新基準の審査では、防潮堤のある地盤が地震で液状化する恐れが分かった。
  • 敷地が地震で隆起した可能性が浮上。
  • 近くの海底に活断層があるとの前提で、想定する地震動を見直すことになった。

札幌地裁で廃炉を求める訴訟が続いていますが、6月時点のニュースでは、「泊原発再稼働、審査が長期化 陸・海の断層焦点に」よると防潮堤の方向性については一定のメドが立ち、北電にとって「難関」となっている陸・海の断層に議論の焦点は移ったとの事です。

 

熊本地震も胆振東部地震も活断層の無い処(どうしても活断層としたい人は未知の活断層というでしょうが)で地震がおきました。

活断層が無かったにしろ、未知の活断層だったにしろ、活断層が無いから安全は通用しなくなってきました。

 

泊原発の再審査も争点となっている活断層があるものとして見直されると想像します。