自分の顔を鏡で長々と見るなど耐え難い。
あれこれ注文を訊かれるのも苦痛。
どんなに髪型を繕っても、おでこから下の造作が変わるわけではない。
いくら磨こうと飾ろうと、ジャガイモはジャガイモ、カボチャはカボチャなのだ。
そんなわけで専属のヘアドレッサーを育成した。
親族招へいで我が家に滞在の、嫁さんの姪っ子である。
この姪っ子が実に可愛い。
カットの間、「ガリ~ン(上手)」「ガンダ~(きれい)」「キャッキャ」
「キャッキャ」と賑やか。
これなら退屈しない、散髪が苦痛でない。。。
姪としては多少出来映えに不満もあるようだが、どうせ誰も私の髪型などじっくり見ない。
注目するのはただ一点、髪の毛の有無だけだろう。
困った事に私は目が悪い。
姪の着ているブタさんマークのパジャマは嫁さんのもの。
見慣れたパジャマだけに、このパジャマを見ると反射的に嫁さんと思い込んでしまう。。
二人並んでいるところを、間違えて後ろから姪の肩を抱いてしまった。
・・・・・二人同時に振り向き、ニッコリ微笑んだ。
優しい姪っ子、寛大な嫁さんである、、、、、。
何事も無く無事に済んで幸いであった。
この姪がもうすぐ国に帰ってしまう。
この娘がいると家中が明るくて賑やかで、毎日が楽しかったのだが・・・・・これから寂しくなる。
嫁さんファミリーの絆は凄い。
このところ母親と3人、ハイテンションの笑い声がするかと思えば、急にシンミリとなり抱き合って涙を流す。
だんだんとその振幅が激しくなる。
帰ったあとは当分の間、姪っ子ロスに悩まされる事になると思う。