三線民宿「はまばる」さん~
迎えてくれたのはご主人が独り…
「ようこそ、いらっしゃい!」「女将は今買い物中なんでねー」
玄関脇のテレビコーナーに脱ぎ捨てられたかりゆしウェア…
何処かの勤め先から帰宅したばかりの風体で…
(ご主人は、勤め人なんですかね?)
聞けば、日中はいても稼ぎにならないので、
アルバイトでレンタカー店の送迎バスの運転手を始めたとのこと。
開業準備期間中は、
店の調度類や備品をハンドメイドであれこれ作ったり…
三線は「沖縄民謡保存会」主催の今年の「新人賞」の腕前…
(店先の木製看板と言い、テラステーブルと言い、こちらも中々の腕前です。)
そんな話を聞きながら、
供された冷茶は風味がルイボスティのような、
そして香りが何だか…
(これって、月桃の葉のお茶ですかー!)
「おー、よく判りましたねー!」
(月桃の香りが好きなんですよー。今日も市場で月桃の蒸しパン買ってきたんですよ。ほらこれ!)
「そんなに月桃の香りが好きだなんて変わってるねー」
(はー? そ、そーなんですかー)
それから、冷蔵庫から冷やした月桃茶のボトルをテーブルにドンと持ってきて、
「そら、好きなだけ飲みなさい!」
(いや、そんなに飲めませんから…)
月桃の葉は、幾ら香りが好きだと言っても、どちらかと言えば「クセ」のある方なんで、
さんぴん茶みたくガブガブ飲めるでも、
烏龍茶みたく食欲を増進させるようなものでもありません。
「よかったら、乾燥葉が要ればあげるよ? あー、種もあるから持って帰る?」
(えー、そうなんですか! 是非持って帰りたいです!)

翌日のチェックアウト時に、大量の乾燥葉と保存種を戴いて驚かされるのですが、
チェックイン手続きのための居間にて…
こんな「月桃」談義から、話好きのご主人のテンションは上昇したまま、
話題はあっちこっちへと展開し…
チェックイン手続きは終わることなく、居間に軟禁状態になったまま、
ただ時間が経過していくのです…