「琉球王朝絵巻行列」についての話を続けますが…
「伝統芸能行列」の話ばかりでは、
主役の「国王王妃行列」に失礼なので、
一つコメントを…

王妃の御輿行列が恭しく進むその後ろを…
白い袴に朱の打掛の女性達が扇を手に従っています。
「御内原」(ウーチバラ)の女官達です。
所謂、本土で言うところの「大奥」であり、「女中」に相当する訳ですが、
決定的に違うのは…
国王と王妃が「陽と陰」の対極関係にあるのではなく、
第三の「極」が存在していることなんです。
「聞得大君」(きこえおおきみ)の存在は、
沖縄古来からの「オナリ神」信仰に基づいていて、
男王はその実の姉や妹が護持する霊力により守護される…
と云うものです。
この「聞得大君」は神女(ノロ)組織を従え、
王国と国王の繁栄を祈願してばかりいるのですが、
国王以外の男子禁制の「御内原」の中にあって、
唯一、出入り自由の権限が付与されているのです。

ですから、王妃にとって聞得大君は面白くない存在で、
「御内原」の権益を巡ってドロドロの勢力争いを起こすようになり…
女官達は右往左往…
この華やかな「国王王妃行列」では、
全く描かれていない違う世界もあるのです。