見物桟敷もすっかり雨に濡れ、
雨は止むとの期待も空しく、
とうとう諦めてポンチョを被って肌寒い中テンションを下げていたら…
反対の二ノ鳥居方向から神社宮司が巡幸一行をお迎えするのでしょうか、
一人、また一人と、
一ノ鳥居へ向かって行きます。

間もなく、一ノ鳥居傍が賑やかになると、
露払いの「乗尻」(のりじり)と称う騎馬が現れました。
その後方には「牛車」が見えますが、これは鳥居を潜りません。
例年なら鳥居前の広場で最後まで待機して見物も出来るのですが、
降雨のためビニールシートに覆われていて、
暫くするとトラックに牽引されどこかへ格納されてしまいました。残念。
それからゾロゾロと…
警衛の列(検非違使役の人達が弓や脇差のような太刀を携えています)、
内蔵寮の官の列(財務官僚役の人達が供え物を入れた櫃を担いでいます)
馬寮の官の列(一行の馬達は境内には進入せず、手前の馬舎で待機です。午後6時からの「走馬の儀」で再登場します)…

そして、一番華やかになるのが、
斎王代以下の女官の列です。
「女官」と称っても役どころは様々ですから、
老若男女です。
男もいます。雅楽を奏する役人とか、斎王代の御輿を担ぐ検非違使とか…
「童女」(わらめ)役の小学生の娘さん達は、
5時間に及ぶ行進と雨の出迎えにすっかり疲労困憊顔…

この後も一行は、
二ノ鳥居を潜って本殿前の境内に陣取り、
更に1時間、
本来の目的である祭儀「社頭の儀」が延々と行われるのです。
一見華やかな行列巡幸ですが、
やっている当事者にすれば、
「賀茂大神の祟り」を鎮める厳粛な気持ちより、
汗をかいて気持ち悪いとか…
重い御輿を担いで肩が痛いとか…
足が痛いとか…
そんな感情しかないのだと思います。
この瞬間は。