話は飛躍して、
沖縄からデンマークへと移ります。
場所は「サムソ島」と称される、面積は沖縄本島の1/10弱、人口約4千人の小さな島です。
ここは、デンマーク政府が1997(平成9)年に、
「10年間で地域全部の全ての電力を自然エネルギーに転換する」と云う事業企画を立ち上げたのに対し、
島全体で取り組む計画で立候補して政府支援を取り付けたと云うポジティブな地域です。
それまでのサムソ島は、
島で一番従事者が多かった小規模農業の状況は厳しく、
工場は次々と閉鎖され、
若者は生活の糧を求めて島を出て行かざるを得ないと云う状況でした。
(「過疎」に悩む我が国のあちこちの自治体と同様ですね。)
この取組の中心となった人物(現「サムソ・エネルギー・アカデミー」代表)は、
「島には皆が前向きに取り組める大きな目標を持つ事が必要だった。」
「小さな島だから皆が皆を見ている。
限られた人だけが風車を建て、利益を得られるような仕組みでは事は進まない。」
「大企業が突然やってきて風車を建てると云う形ではなく、
計画段階からの意思決定にも事業にも地域の人々が参加し、
事業からの利益が地元に回ると云う形が自然エネルギーの拡大には何より重要だ。」
との信念の下、
2年間を費やして島の人々を一人一人説得して回ったのです。
(ここが、我が国の施政者達と違う所です。安易にバラマキ「交付金」に頼らないところが。)
事業がスタートして2年後に、
島の共同所有の形で最初の風車が建設され、
10年間で11基の風車が稼働して、政府の掲げていた目標を達成させました。
今では、地上に11基、沖合洋上に10基、計21基の風車が電力を作り、
世界初となる「自然エネルギー100%の島」として、
余剰電力を島外へ売却するまでになっているのです。
自然エネルギーが注目を集める中、
国内外から多くの視察や見学者が訪れています。
(23.9.27地方新聞「共同通信」記事 「地球人間模様」から流用)
「国家事業」を上手く活用して、
投下される資金が、その地域(県内)に留まって自立経済の展開に直結される仕組み作り~
そのためのアクセスは様々ですが、
施政者のビジョンや、
地元の人々の思いが、
ある目標の下で収斂されるとき…
瑣末な邪推など物ともしないような確固たる「理念」となっている…
そんな思いを、
これらの事例から感じています。
次回は、北米大陸へ飛んでカナダ・エドモントン市へと話題を移していことう思います。