昨年10月、未曾有の集中豪雨で甚大な被害を受けた奄美大島~
今年1月に、NHK鹿児島放送のローカル番組「かごしま一番星」の中で、
島の特産物「大島紬」のある「泥染め」職人さんの事が特集されていました。
その職人さんの工場は、この豪雨により、
作業場や機械類、原材料が浸水で損失し、
染め場の泥田まで赤土を被り使いものにならなくなってしまいましたが、
それを少しずつ原状回復させ、
見事に「大島の黒」と称される泥染め技法を復活させました。
その職人さんは、それまでの復興の過程の中で、次のような感想を述べています。
東日本大震災に見舞われた我が国にとって、
とても示唆に富んだ含蓄のあるお話なので、ご紹介します。
「泥染めは、自然の力を貰う知恵で続いてきたことに納得したんです。
災害で、泥田に赤土が流れ込んでしまいました。
粒子がきめ細かい泥だから糸を傷つけないのに、
赤土が混ざると染色できません。
そしたら、年配の人が『田圃に栄養を…』と教えてくれました。
泥田の周りの田圃で田芋を育てれば、土壌の状態が良くなり、元の状態に近くなるんです。
こうやって乗り越えてきたから、今、僕らがこの仕事をやれているんです。」

沖縄でも奄美大島と同じように、
台風や旱魃など厳しい自然環境の下で、
それを科学の力で強制的に克服するのではなく、
(克服など出来るものではないことは、思い知らされたばかりですが)
自然の力を逆に借りながら上手く凌いだり…
人との繋がりによって乗り越えようとする…
畏敬と互助の精神を育んできました。
今、人類は、想像を絶する自然の猛威を前に為す術もなく立ち竦んでいます。
しかしながら、我が国では、
自然災害や激甚被害は過去に何度も経験していますが、
その都度、不死鳥の如く甦り、それまで以上に復興を遂げ、
困難を見事に乗り越えているのです。
その中で、特に大切な事は、
ハードをもっと進化させると云う事ではなく、
「私達は、自然の中で生かされている」のだ、と云う事を弁え、
各人がより一層謙虚になり、互いを助け合う事…
だと歴史が教唆してくれていると思うのですが、如何なものでしょう ?
今一度、この度の大震災により被災された方々へ、
西日本からも、少しでもエネルギーを「注入」出来たらいいのに…
と願う今日この頃であります。