(…「南西諸島防衛論争からみえる日本人の気質」から続く)
また例えば、政府が来年6月に策定を予定している社会保障制度改革大綱の中で、
「共通番号制」を導入しようとしていることに対してのマスコミの反応です。
「共通番号制」とは、国民一人一人に背番号を付与(「住基ネット」を活用します)して所得を把握し易くし、税と社会保障に一体的に利用する、と云うものです。
そして、一昨日(12/1)に報道機関が報道して「世論」喚起を図ろうとしたのが…
「プライバシーの侵害」についての論議です。
この問題は、「国民総背番号制」の議論が始まったのが40年以上も前ですから、
とても年季が入っています。
8年前に「住基ネットワークシステム」が導入された時も同様の論争が起きました。
これは、訴訟騒ぎにもなりましたし、
現在でも東京の国立市などは未だにネットワークに参加していないと云う状態です。
その根強い拒絶理由は、個人の情報が一元管理されることで、情報操作や情報漏洩のリスクが大きくなる…
などと云うものですが、
冷静に考えると~
個人情報はもう既に何処でもデータ管理されていて、情報の操作も漏洩もリスクは同様なんですね。
それが一元化されているか否かの違いだけなんですが、
リスクは何事に於いても完全に払拭することは不可能ですから、
操作ミスや、情報漏えいが発生するのを最小限に抑えるシステム作りとか…
万が一発生した場合の対処の仕方とか…
についての議論や研究が最重要課題の筈です。
ところが「世論」は、そうした議論に至ることなく、
「プライバシー侵害」の一点で堂々巡りするだけで、結局うやむやになっているのです。何度も…
話が長くなりましたが、
日本人にとっては、「どうしても心が震えてしまう」ような「言葉」があって、
その「言葉」に異常に執着します。
拒絶反応でもあり、恐怖感でもあり、
逆に、季節感であったり、感動体験であったりもするのですが。
(プラス思考面については、この度の話の趣旨に沿わないので割愛します。)
すなわち、「核」や「軍隊」、「プライバシー侵害」、「拉致」、「地球温暖化」 etc.…

もうお判りかと思います。
日本人の「言霊」(ことだま)意識です。
その事象の背景や意義等の突っ込んだ議論をする前に、
「大勢の人々が犠牲になった」、「それは不都合である」、「可哀相だ」、「バチが当たりそうだ」とかの、
イメージだけが先行して、日本人の思考を麻痺させるのです。
(井沢元彦氏の「言霊」参照)
それが、我が国の「外交交渉下手」や「世界戦略構想の欠如」にも影響していると思うのですが、
このお話の続きは、また次回と云うことで…