しかし、このことで普天間飛行場移設問題に、
結論が出た訳ではありませんし、
ましてや、両陣営の得票率は40.0%と36.4%~
いずれの立場にあっても、この数字からは、「これが名護の民意だ」と言える程の歴然とした意思は伺うことが出来ません。まさに「中庸」と言った方がいいのではないでしょうか。
到底、政府の意思決定に影響を与えるようなインパクトがあるとは思えません。
「いまさら県外とか辺野古とか言い出して… 集落がまた二分される。もう静かにしておいて欲しい」
との地元の人々の悲痛な声が本音だったのではないでしょうか。
結局、結論は出ないのです。
「あっちを立てれば、こっちが立たず」~
議論は堂々巡りしているのです。
反対派や賛成派が互いに自らの立場を正当化し、他者を批判する構図は~
どこかのお偉い大国が、ベトナムやイラクで正義を振りかざして戦火を交え泥沼化した紛争と同じです。
「正義対悪」の話ではないんです。「勧善懲悪」の話でもないんです。
お互いが「正義」であり、或いは「悪」なのですから。
そうした中にあっても、この移設問題を巡ってはこれまでの13年間で数千億円もの巨費が動き、或いは無駄になろうとしています。
名護市が移設先に名乗りを上げて以降、
名護市には国の振興策が次々と降ってきました。
道路に消防署、診療所、公民館、大学や高校には最新式の設備、商店街整備の名目の下で新築される再開発ビル…
これらの資金の出所は~
日米特別行動委員会(SACO)合意に基づく補助金及び交付金として78億(1998~2006年度)
米軍再編交付金として24億(2008~2009年度)
北部振興策の事業費として798億(2000~2010年度、近隣市町村を含む)
とのことです(これらの事業が無駄だと言っているのではありません~念のため)。
更に話は大きくなります。
普天間基地移設に伴うグァムへの在沖縄海兵隊の移転で日本政府が負担することになっている「米軍施設建設費」の346億です。
この大金は、普天間移設が順調に進むことを前提に支払われていますから、移設問題が頓挫してグァム移転もご破算となるような事態にでもなれば~
この346億は、米国へ「タダでくれてやる」ような死に金になってしまうのです。
更に更に、
2010年度の防衛費予算には、更に100億のグァム移転経費が盛り込まれているので、
これこそ「事業仕分け」の俎上にいの一番に晒さなければならないようなホットな課題です。
ナンダカンダ言っても、「背に腹は代えられぬ…」
世俗の既成事実は罷り通っていきます。
一方で、民主党新政権は、こうした利益誘導的習慣やシガラミをあちこちで打開しようとして苦労しているのが分かります。
何事も一筋縄ではいきませんけれど…
政策に信念を込めるため、既成事実や利害、権益、確執、慣習、密約…
逆風と戦って欲しいと思います。どこまで達成できるか分かりませんけど。