琉球民家をそのまま利用したお店。
お店の入り口に「島ぞうりで入店すると、最初の一杯サービス、クバ笠だとお勧め一品サービス…」との誘い文句を見つけ、ついフラフラと誘われてしまいました。
当然、島ぞうりもクバ笠も身に着けていない私は、普通に迎えられ、普通に注文し、普通に酔っ払いました。
一人客の私は、当然カウンターで。
カウンターには、もう一人男性客が黙々と飲んでいたので、頃合を見て話し掛けようとした矢先に、キョロキョロしている私を不審に思ったのか、逃げ帰られてしまいました。
カウンターで飲むなら、「イチャレバチョーデー」でしょうに…
この店は、繁華街からちょっと外れているので、地元客が多いのかと思えば、観光客度90%とのこと。
厨房で忙しく立ち働いているナイチャー顔の「たくや」君は、宮城県生まれで、宮古島経由のシマナイチャー。
宮古島には6年間、飲食店で働いていたとのこと。
宮古島の人々の濃い近所付き合い、「おとーり」攻撃で苦労したこと、実物の仲間由紀恵は実に細いこと…色々と話してくれました。
将来は自分の店を持ち、いずれ仙台にいる親を呼び寄せたいと、夢を聞かせてくれました。
「きっと夢は叶うよ。頑張って下さいねぇ」と、酔客は深く考えもせず、安易に若者の夢を煽ります。
ところで、この店のカウンターに座っていて、ふと気付く天井の不自然な空間~
木造なのに柱が見当たらないのです!
不安に感じて、店長に聞いてみると…
オーナーがこの木造家屋を改造してオープンする際、邪魔だからと次々と柱を切り落としてしまったとのこと。
最後の1本に手を懸けていた時に、流石に危険を感じたらしく、2/3を残したところで思い直した、と云うエピソードがあるらしいのです。
聞けば、この建物は、老朽化もあって雨漏りが激しく、若干屋根も傾きかけているとのこと。
ちょっとした恐ろしい話に、心なし酔いが醒めてしまったような…
厨房の中では、そんな話を知らなかったスタッフもいて、その夜は「かあーら家」で衝撃が走りました。
その不自然な空間の中の唯一の健気な「柱」は、鉄骨で補強されてはいるものの、その店の「大黒柱」として、末永く活躍していて欲しいと願っています。