太平洋戦争末期の沖縄戦で旧日本軍が「集団自決」を命じたとする大江健三郎さんの「沖縄ノート」などの記述を巡り、沖縄・慶良間諸島の当時の守備隊長らが名誉を傷付けられたとして、岩波書店と大江さんに出版差し止めなどを求めた訴訟の控訴審判決で、大阪高裁は一審に続き、元隊長ら側の訴えを退けた…
と云う報道が昨年ありました。
文科省の教科書検定の方向を大きく傾けた原因にもなったこの訴訟は、「高度の公共性と公益性が認められ、長年に渡り出版が続けられている書籍に関しては、新資料で記述の真実性が揺らいだからといって、直ちに出版の継続が違法になるとするのは相当でない」と判断されたのです。
原告側の主張の軽重を測定したとも言える判断であり、この主張に帰依していた文科省の検定方針は、客観性を失ったと言えるかも知れません。
高裁判決は、「言論の自由を保障する」との主旨で纏められましたが、一年半前の状況を思い起こせば…
時代時代の世相は、こうも目まぐるしく変わるものなのか…と驚いています。
安倍首相時代のあの「隠れタカ派」的潮流は、文科省の教科書検定方針に大きく影響を与えました。
このことについては、また次号以降で…
(既出)
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