Botom line, botom job. -17ページ目

Botom line, botom job.

結局のところ、底辺職。

雨柱が立ってる。

 

向こうの山の狭い部分にだけ鈍色の雲から白い柱が降りてる。

あそこだけ土砂降りなんだろな。

思う間もなくトコットも黒い雲の下。

 

「ばちばちばちばちばち・・」

 

(軽に乗ってさ、何が驚いたって鉄板の薄い屋根、しょぼい天井内装の雨の音の大きさったら)

 

凄まじい雨。

辺りを真っ白に稲光。

 

「ぱーんっっ」

「ばきばきばきっんどっしゃーっんっ」

 

耳をつんざく雷鳴。

(「ぱーんっっ」て雷鳴より破裂音だよ)

 

こーでなくっちゃ。

 

山の雷こーでなくっちゃ。

 

だって「耳をつんざく」なんて普段ないよね最近ないよね。

川の様になった峠の下りをワイパー「ぐんしゃかぐんしゃか♪」最速にしても前が良く見えない。

 

悪天候のドライブはわくわくするぜ大好きだぜ。

だけどさ、

娘が「AMラジオか?」と言ったTOCOTのオーディオ。その貧乏臭い音もまたトコットの好きな所なんだけど、

同乗者の趣味で、

 

アルゼンチンタンゴてなんだよ?

 

ブエノスアイレスの夏てどこだよ?

 

なんだよこの「ぷんちゃか」

 

今、選曲するなら、

One of these days / PINK FLOYD

God of Thunder / KISS

魔王 / シューベルト

だろ。

 

ちょーしくるーぅ

 

 

「kenちゃん、」

「お嫁さん?」

 

(?)

えっ

違います!

娘です!

 

「そうよねぇ」

「ずいぶん若いなぁって」

「あ、お嬢さん?」

「美人になったわねぇ」

 

娘、

100%の苦笑。

 

いくら会ってないとは言え、見りゃわかるだろそりゃないだろ。

俺は『もう』そんなにモテないし、

20代に好かれる甲斐性などない。

いや年齢問わずないか。

 

 

しっかし娘凄いな。

お袋の時はまだ学生で、制服で葬式出てた、今日は姉さんと親戚のおばさんと談笑してるよ。大人になったんだなぁ。

だがしかし「美人になった」のは俺ではなくて母親の遺伝子だ。

 

 

やれば出来るじゃん。の、葬式〜焼き場〜納骨〜精進落としを14時に終わらせてダッシュで喪服返しに行って、娘を自宅に降ろして16時出発。

関越乗って、

17時10分 上里通過

17時43分 軽井沢通過

18時18分 佐久南降りた

一度の休憩も入れずTOCOT頑張った。

セブンの『たっぷりレタスサンドとカリカリ梅のおにぎり』を食べながら峠を駆け上がる。だって俺の晩飯用意されてないし。

あ。猿。

また猿。

あ。子鹿。

あー鹿鹿鹿鹿。

 

どけよ。

急いでんだよ。

 

俺、運転下手になったな。

左カーブでおへその上が「うにゅ。」てして「ちょん」とプレーキ踏んでしまう。

こんなん昔は全開だったろ。

ドリフトで駆け上がったろ。

って、

さ、

いじくり倒したフェアレディでも、

足回りを固めたBMWでもなく、

今はトコットだ。

「こてん。」ひっくり返るぞ。

 

 

夕暮れの誰も走ってない峠道を『With or without you / U2』

 

 

 

怒涛の一日だったな。

大事なことも要らんことも考えるひまもなく。

18時53分、宿着合流。

俺さ、

お袋の時も午前中品川でロケやってから葬式だったんだよね。

 

 

おはようございます。

顔の上をカマドウマ(こおろぎの一種)が歩き回って目が覚めた。

山の朝なんてこんなもん。

さて働くかー

髭剃り壊れちゃった。

さてどうするかー

 

 

喪服がさ、

 

あれ俺最後に喪服着たのいつ?

 

お袋死んだ時か。

去年の春、旧友の葬儀は絶賛「会社行きたくねい」「辞めちゃおっかな」時期でそれどころじゃなくて欠席した。

から、

 

夏用の喪服カビだらけ。

 

・・・これさ、確かさ、

最初の結婚の時、奥さんの会社のなんとか販売でスーツ3着誂えた(あつらえた)内の1着だ。

何年前だよ?

いや何十年か。



娘「喪服取りに母親の家に行きたくない」(なんかわかるわかるぞー)

で、

一緒に朝イチで『喪服無人レンタル』に。

ヘぇ〜 

こんなとこあるんだ〜 

鍵の暗証番号をメールで貰ってワンルームの無人の部屋に入ってなんか悪いことしてるみたい。

いやこれいいわ気兼ねしなくていいや試着し放題だし。

男女別部屋なので娘とLINEしながら「こんなんかな?」「こっちかな?」

ありゃ電話だ会社だ。

総務のお姉さんから一通りお悔やみを言われた後に、

 

「kenさん慶弔(けいちょう)休暇が10日付くので13日まで休んでください14日から出勤になります」

 

ええええ。何ですかそれ? 二日くらいじゃないんですか?


休みません。は、ないんだろな決まりだから。ほんでさ、確かさ、

慶弔休暇て無給じゃなかったっけ?


10日も無給って。


仕方ないか。



ほんでね、

今さ、

霊柩車乗って火葬場向け。

二列目の親父の棺の隣に座ってるんだけど、前列一列目との間に分厚いビニールが下がってて隔壁になってんのね。


思い出すぜ陰圧車。


乗ったことはないけど。


多分同じ理由だよね。

遺体て病気で死んだりしてんだろし。

赤坂から青山〜霞町の交差点抜けて広尾〜白金。

俺が働きまくって飲んで歩いて遊びまくった懐かしのルートだ。

俺の出棺か?



どーもね、

俺、喪主なんだけどね、

住職の話も右から左だし、とりあえず「ありがとうございます」て頭下げときゃいいか。

読経もさ、


鐘の音が『HELL'S BELL / ACDC』のイントロに聞こえて、あとずっと考えごと。


誰にも迷惑を掛けずに骨になりたいが、

泣いてくれる女の人が一人も居ない終末てのもなぁ。

あれだけ迷惑掛けまくった親父が眠るように穏やかに死んだしなぁ。


俺の最後ってそんなもんかも知れないよなぁ。