今年も干支に扮し、干支にまつわる諺と共に登場させてもらった。



世の中の変化が激しくて早いが、それを恐れたり無視したりしていたら、どんどん世間が狭くなり、頑固な老人になってしまいそうだ。そうはなりたくないので、今年もいろんなことに興味を持ち、足を伸ばして確かめ、そこから何かを学び取る、好奇心旺盛な高齢者を目指す。

朴 令鈴さんからご案内いただいた「七つの国の歌・博覧会」コンサートに行ってきた。

 

 

盛田麻央さん(ソプラノ)がフランスの歌、松島理沙さん(ソプラノ)がオーストリアの歌、ジョン・ハオさん(バス)が中国の歌、関 定子さん(ソプラノ)が日本の歌、彌勒忠史さん(カウンターテノール)がイタリアの歌、井上雅人さん(バリトン)がフィンランドの歌、そして塩田美奈子さん(ソプラノ)がスペインの歌を、鳥井俊之さん、朴 令鈴さんのピアノ伴奏で歌われた。

 

ジョン・ハオさんは中国のご出身だし、他の皆さまは各々その国で学んだり、その国の音楽を研究されたりしているから、全く違和感なく、皆さんの歌声や表現を楽しむことができた。ここからは私の好みだが、もう一度、聞きたいなと思うのは、ジョン・ハオさんの「黄河頌歌」、広大な中国の大地を滔々と流れる黄河が目に浮かぶようだった。関 定子さんがアンコールで歌われた「津軽のふるさと」は美空ひばりさんが歌っておられたそうだが、りんごが実る故郷を思う気持ちがじんわりと伝わってきた。

 

プログラムに書き込んだ私のメモを読み返すと、盛田麻央さんが歌われた「お前が欲しい」には「うっとり」と書いているし、松島理沙さんの「ウィーン、わが夢の街」には「華やか!」、塩田美奈子さんの「スペインの歌」には「カスタネットに心躍る」、井上雅人さんの「フィンランディア賛歌」には「熱い独立への思い」と書いている。皆さん、本当に素晴らしい歌声だった。

 

しかし、最も圧倒されたのは彌勒忠史さんの歌声だ。私はカウンターテナーという言葉しか知らなかったから、彌勒さんのステージには衝撃を受けた。あの高音がどこから出てくるのだろう、女声の場合とどう違うのだろう、と興味津々で聴き入ったが、彌勒さんの歌声には芯があって力強く、しかし伸びやかで美しかった。それ以上のことは私の表現力では書けないが、特に「簒奪者にして暴君」(ジョヴァンニ・フェリーチェ・サンチェス作曲)でそれを感じた。



最後に「きよしこのよる」を各国の言葉で歌いつながれ、客席には暖かな空気が流れた。大変興味深く、後味の良いコンサートだった。

「アルミード」とは美貌の魔女の名前で、物語は11世紀末のダマスカスを背景にしている。アルミードは魔法の力で敵の十字軍の兵士らを魅惑し、打ち破ってきたが、騎士のルノーだけはなびかない。そこで、自らルノーを倒すと宣言し、その機会を得るが、ルノーに一目惚れしてしまったアルミードはルノーを殺すことができない。


悩んだアルミードは魔法の力でルノーが自分に恋するよう仕向け、その通りにルノーはアルミードを愛するようになるが、そこにルノーを救出すべく友軍の騎士たちが現れ・・・という展開だった。



主役のアルミードを演じたクレール・ルフィリアートルさん(ソプラノ)は、表情も歌声も折々の状況に応じて変化させ、恐ろしい魔女のときもあれば、ルノーを愛する健気な女性のときもあり、完全に言葉は理解できないにしても、舞台に引き込まれてしまった。

指揮とバイオリンの寺神戸 亮さん、合唱や管弦楽のレ・ボレアードさん、クレール・ルフィリアートさんを始めとする歌手の皆さん、バロックダンスを披露下さったダンサーの皆さん、その一体感が素晴らしく、あっという間の2時間半だった。