鴨治部煮の後にも料理は続く。いずれも上品な味付けに「美味しい!」を連発したが、特に最後に頂いたあさりと生姜の炊き込みご飯は、ちゃんと味が付いているのに後味が爽やかで驚いた。

冷しゃぶ
(能登牛の冷しゃぶ)

揚げ物
(穴子の天ぷら。大釜で煮詰めて作る奥能登の塩で頂いた)

ご飯
(あさりと生姜の炊き込みご飯)

さて、思わず溜め息が出てしまった鴨の治部煮だが、治部煮の語源を巡って三つの説があることを知った。

その一、豊臣秀吉の兵糧奉行を務めた岡部治部右衛門が朝鮮から持ち込んだことに由来するという説。その二、材料の鴨を「じぶじぶ」と煎りつけるようにして作るからという説。その三、野生の鴨肉を使うことからフランス料理の「ジビエ」と呼ばれ、それが変化したとする説。

これらにとどまらず、「三つの説の内、二つはウソだが今に語り継がれている。ならば、私の説も50年後には有力な説として語り継がれているかも」と、新しい説を主張している人までいた。そういう現象を知ると、治部煮が金沢の人々に深く愛されていることが良く分かる。

かく言う私も「ボルネオ7番」の由来を時々聞かれるのだが、これも愛されているかだろうか? どうせ違うだろうが、今夜はそうだと思っておこう(笑)
従兄弟のS介さんに夜は何を食べたいかと尋ねられた妻は、迷うことなく「和食をお願いします!」と答えたらしい。確かに、これまでS介さんに金沢で案内頂いた和食にはハズレがなかった。さて、そのS介さんが今回案内下さったのは「卯辰」というお店だった。

コースターと箸置き
(うさぎがモチーフのコースターと箸置きが可愛かった)

卯(うさぎ)と辰(たつ)とは奇妙な組み合わせだと思ったのだが、これは干支ではなく方角を示すもので、金沢城から見て「卯=3時方向の東」と「たつ=4時方向の東南東」の方向にある山が「卯辰山」と名付けられており、その中で営業しているお店だったのだ。

真蒸
(お椀は新加賀蓮根とうにの真蒸)

お刺身
(カジキマグロ、イカ、平目、甘海老のお刺身)

??
(甘鯛とトウモロコシの焼きもの)

と、見た目も実際に頂いても美味しいお料理が続き、そして、金沢の代表的な郷土料理、「鴨治部煮」が出てきた。とろみと深みのあるだし汁、柔らかな鴨肉、そしてアクセントのワサビが効いて一口ごとに「あぁ、幸せ!」と溜め息が出る。

治部煮

(続く)
お昼は和倉温泉にあるお寿司屋さんに案内頂き、握りを注文した。珍しいところではコリコリした歯応えの「梅貝」、地元産の「白海老」など新鮮なネタが使われたお寿司を美味しく頂いた。又、お皿やお湯呑みは全て九谷焼で、ちょっと贅沢な気分を味わうことができた。

お寿司

さて、お店に入るときには全く気付かなかったが、空腹が癒えて周りを見る心の余裕ができたのか、帰るときになって玄関に大きな織物が掛かっているのに気付いた。聞けば、「花嫁のれん」と言われるもので、花嫁さんを迎えるときに飾られるのれんなんだとか。

早嫁のれん

石川県を中心に北陸で見られる嫁入り道具の一つで、加賀友禅で仕立てられたものらしい。婚礼当日に仏間に掛けられ、花嫁さんはそれをくぐって仏壇に先ずお参りし、それから結婚式に臨むというしきたりがあるらしい。そんな話を聞くと、花嫁のれんのしきたりを頑なに守る旧家に、他所から嫁入りしてくるのは大変やろなと思ってしまうが、正にそういう話があった ((((((ノ゚⊿゚)ノ 但し、現実ではなく、ドラマの世界だが(笑)

東海テレビが制作したドラマはその名も「花嫁のれん」。主演は羽田美智子と野際陽子で、老舗旅館の女将と、花嫁のれんをくぐらずにやってきた息子の嫁が壮絶な闘いを繰り広げるドラマのようだ。幸い、そういう修羅場を私は知らないが、嫁と姑が本気で争った場合、もはや息子に仲裁できるような余地はないような気がする。私ならいの一番に逃げるだろうなと思ってドラマのあらすじを読んだら、ドラマの中の息子も最初に逃げ出していた。許す!(笑)