昨年5月に初めてその演奏を聴いた「東京バーバーズ」・・いい歳のオジサンたちがアカペラで見事な合唱を披露され、しかも曲に合わせて跳んだり跳ねたり踊ったりされるからビックリしてしまった。元々は禁酒令が発令されたアメリカで、Bar(酒場)がダメならBarber(床屋)に行って歌でも歌おうという洒落から始まり、バーバーショップと呼ばれるアカペラの合唱スタイルが誕生したとも聞くが、これが日本にも伝わり、東京バーバーズは1992年に結成されている。


その東京バーバーズが同じくバーバーショップを楽しんでいる若手グループのロッカーズ、東北大学で生まれた四人組のヴォーカル・トンペクトラム、東北大学の現役大学生も加わるピオニエールと共にコンサートを催された。

素晴らしい演奏ばかりで感心したが、圧巻はヴォーカル・トンペクトラムの「わが心のジョージア」だったように思う。透明感のある歌声がアカペラだけにストレートに心に響き、あまりの感動に溜め息が出た。

東京バーバーズの演奏の中では、意外な気もしたが、「イエス、君はいとうるわし(Beautiful Savior)」という動きの少ない、どちらかというと静かに語り聞かせるような歌がすごく良かったように思う。アカペラは実力をごまかせないスタイルだと思うので、やはり、きちんと基礎ができているのだと思う。

50代でも60代でも70代でも、音楽は現役で楽しむことができる。これはラグビーにはない特典だから、大切にしようと思う。
大蔵流の狂言方、善竹十郎さんが二人の息子さんと共に年に一度、駒場にある日本工業大学駒場中学・高校の百周年記念ホールで、生徒さんやそのご父兄、近隣の住民を対象に無償で狂言の会を催しておられるとか。今年、第7回を迎えられたという「日駒狂言会」にお邪魔した。


開演に先立ち、ご長男の善竹富太郎さんが狂言について解説をされた。ユーモアを交えてのお話に観客席から何度も笑いが起きたが、狂言について何の知識もない私には大変勉強になるお話だった。

すなわち、狂言は日本一古いお笑いの演劇で、650年前の室町時代から能と対をなして受け継がれてきた伝統芸能である。能には面を付け、ビブラートの効いた声で演じるこの世のものではない者が出てくるから緊張感を伴う。一方の狂言は、その緊張を緩和する笑いを追及したもので、いつしか能とは切り離され、単独で演じられるようにもなったとか。いつの時代も人々は笑いを求めているということか。

又、舞台は一つで大きくもないが、さまざまな場面に切り替わるし、朝昼晩にもなる舞台だから、そこには観客の想像力が必要とのこと。「平たく言いますとね、ボルネオさん、あなたの知性が問われる訳です」と言われたようで、ちょっと弱気になってしまった(笑)

善竹十郎さん、二人の息子さん、そしてご一門方々が演じられたのは「膏薬煉(こうやくねり)」と「素袍落(すおうとし)」という二つのお話だったが、いずれも演じる方々の声が良く通り、その動作が滑稽で面白く、知らず知らずの内に舞台に引き込まれ、楽しく観賞させて頂いた。楽しめたのは私も想像力をふくらませることができたからで、私にも相応の知性があったということだろう。やれやれ(笑)

月に一度、六本木ヒルズで開かれる勉強会に出ている。元外交官や大学の先生、文筆家や生物学者、そしてテレビ局のディレクターと、仕事はバラバラだがインテリ揃いの会で、会員の方が講師を務めたりゲスト・スピーカーを呼んでお話を聞いたりして、その後、議論するのが目的になっている。テーマは「憲法第九条」や「我が国の財政再建」、「ドイツ連邦議会選挙の結果」等々、真面目なものばかりだが、ついに、私が話をすることになってしまった。

にわか勉強をして取り繕っても他の皆さんの方が詳しそうだし、下手に質問でもされたら答えに窮するだろう。そこで、ファッション業界に身を置いているのは私だけという利点を生かし、「ここまで変わった女性の消費者」というテーマで、私の回りに起こったさまざまな出来事をお話することにした。

最初にお話したのは、ポーラ文化研究所が行ったアンケート結果だ。2016年に15才から64才の女性1500人に「来年(2017年)貴女はこれらに使うお金を増やしますか?減らしますか?それとも変えませんか?」という簡単な質問をし、ファッションや外食、レジャーや習い事、そして化粧品やエステ等に使うお金がどうなるかを聞いている。


結果だが、「増やす」一番手は「旅行・レジャー」、二番手は「自宅での食事」、これに対し「減らす」の一番手は「ファッション」で、何と二人に一人が減らすと回答、又、二番手は「外食」で、これも4割の方が減らすと回答している。外食はお洒落をする機会にもなるから、我々の業界にとっては憂慮すべき結果となったのだ。

そんな入口から、過去一年間に拾い集めたユニクロやしまむらの躍進を伝えるニュース、トイザらスの倒産やトリンプの苦戦など生々しいニュースを説明し、結果的には山ほど質問を頂き、大変活気のある会になった。今日の教訓は「雀の巣も構うに溜まる」だろう。ささやかなテーマだったが、張りぼてではない重みがあったのかなと思う。