私が好きなジム・ロジャースさんの新著。副題は「混乱する世界をどう読むか」で、少しでも考え方を整理できればと読み始めた。

私が好きなジム・ロジャースさんの新著。副題は「混乱する世界をどう読むか」で、少しでも考え方を整理できればと読み始めた。

表紙には「この浮世絵、よく見ると ちょっとヘン!?」と書かれているし、著者の若林 悠さんが記された「はじめに」の冒頭には「江戸の知性を紹介したい」とあるから、いったいこれは何のことやらと興味が湧いた。
鳥羽伏見の戦いで旧幕府軍と維新政府軍の内線が勃発し、自分たちの住む場所が戦場になると考えた江戸の庶民は、表面上は従順さを装いながらも、登場してくる武士やエゴ丸出しの諸藩を極めて冷徹な目で見て非難し、軽蔑し、時には応援したりするようになるが、そういう情報をテレビもラジオも新聞もなかった時代に江戸庶民に提供したのが浮世絵だというのだ。
中でも豊原国周の「善悪鬼人鏡」は、お上を非難することがご法度のこの時代に、対象となる武士や藩を人気の役者に仕立てた上で、思う存分弄ぶという浮世絵を描き、シリーズ化している。感心するのは、役者に仕立ててはいるが、それが誰なのかが分かるヒントを加えていることだが、それが理解できた江戸庶民の知的レベルも相当高いということなのだ。
何でもかんでも言いたい放題が可能な現代とは違い、当時の江戸は危険を侵してでも言いたいことを言うという情熱と知恵があったということか。勉強になった。
東京ムジーククライスの演奏会に初めてお邪魔した。同合唱団は「バロックや古典・ロマン派の宗教曲、とりわけ J.S. バッハの作品の研究、及びその演奏活動を目的に設立された合唱団、音楽団体」とのことで、これまでご縁のない合唱団だったが、たまたま同志社混声合唱団(東京)で一緒に歌っていた Y中君が所属されており、わざわざ招待状を送ってきてくれた。
演目は J.S. バッハ作曲の「カンタータ第4番『キリストは死の縄目につながれたり』 BWV4」、「モテット『来たれ、イエスよ、来たれ』 BWV229」、「ミサ曲 イ長調 BEV234」で、いずれも初めて聞く曲で、ドイツ語の歌詞には理解が及ばなかったけれど、芯と張りのある美しい歌声がホールに響き渡り、うっとりしてしまった。20代、30代の団員しか居られないようだから、なるほど、声も若々しい筈だ。
又、指揮者の渡辺祐介さん始め、ご出演の歌手やオーケストラの中にはバッハ・コレギウム・ジャパンで活動されている方が居られることが分かり、バッハを愛する皆さんが揃うと、こういう迷いのない演奏になるのかと思った。ムジーククライスはドイツ語で「音楽の輪」という意味らしいが、まさに、その名に相応しいステージだったと思う。