新しい、ターマックSL8の解説と、エアロとは?について書きます。
『Vengeを超えた!』とか『Vengeはもう要らない!』とか言われてますね。『SL8』
モヤモヤっとしている方も多いかと思います。
ともすればクライミングバイクとして売られても納得するデザインなのに〜!と。
誰も解説しないので、ロード界隈きってのエアロ職人?な私が解説します。
ほぼ、ほとんどの方は、勘違いしてますね。
話していても噛み合わないくらいに。
【エアロは、特定の人しか恩恵を受けない。】
ですよ。
【誰しもが恩恵を受ける訳では無い。】と言う事。
勘違いしてます。ここ重要です。
これが理解出来ると、ターマックSL8が見えて来ますね。
具体的な説明です。
空力を良くして行こうとすると、それは指向性が強まってしまいます。
空力は、指向性とトレードオフの関係となります。
ロードのパイプを例に挙げると。
全方位的に空力が等しくなるのは。『丸パイプ』です。
空力的に全方位良いのは、球体なんですよ。
『円』はどの方向から、気流を流しても等しく同じ(悪い)になります。
故に、丸パイプは、どの方向から風が当たっても、結果は同じです。
この丸パイプを、ある方向からの気流の流れに対して空力をよくして行くと、当たる反対方向にパイプは伸びて行きますね。要するに翼断面になって行きます。
翼断面になると、空力は良くなりますね。ただし、『ある1方向の限定した角度で』って言う但し書きが付くんですよ。
正面ゼロ度の角度からの気流の流れに対して最適化された翼断面は、その流れが1度ズレただけで、最適化されたとは言えないんですよ。
最適化するならば、1度ズレたなら1度ズラさ無いといけません。
この指向性は、空力デザインを極めれば極めただけ強まります。
角度ズレを容認したければ、それはすなわち丸パイプに近づくって事になりますね。
これが、速度が遅いとダメな理由です。
速度が速いと、走行風は強まります。この走行風が強い状態なら、多少角度がズレた自然風が当たっても、走行時が打ち勝ち、それほど問題にはならないんです。
ところが、速度が遅いと、このズレた角度の自然風が無視出来なくなるんですよ。
速度低下で走行風が落ちる事が看過出来ないんです。
エアロって、デザインする時に、想定スピードを加味してデザインします。
デザインする側からしたら、想定スピード以下で走るな!って思います。想定スピードが低いなら、そのスピードでデザインするよ!ってなりますね。
で、話はSL8に戻ります。
『Venge』って、サガンのスプリントスピードに合わせてデザインされていると思います。
少なくとも、スプリント手前1kmくらいからの、スピードを考えてのデザインです。
それを踏まえて、Vengeのエアロデザインは、50km/h付近。 って事ですね。
要するに、Vengeなら50km/h以下で走るな!って事です。
こんなスピードレンジを、一般ローディーが想定してますかね〜。です。
『SL8』は、【エンドユーザーの為に最適化されたエアロデザイン。】なんですよ。
確実に、SL8のエアロデザインの想定スピードは、Vengeより遅く想定されている。
です。
少なくともVenge比で-10km/hは落としてます。
これにより多方面からの気流の流れを考える必要が生じます。故に、SL8は、丸パイプに近づく。
見たらわかりますね。その通りになってます。
速度レンジが遅い、一般ローディーに合わせて、過度なエアロにしない方が良い。となります。
一般ローディーがエアロを欲しいスピードレンジって、30〜35km/h程度です。 そのレンジなら、間違いなくVengeより良いでしょう。
そう、多くのエンドユーザーは恩恵があります。ただ、豪脚さんからしたら…ですねw
デザインスピードレンジを落としたからこそ、『丸パイプに近くなる。』です。SL8を見ると…丸パイプに近づいてますよね。明らかにVengeよりも。
わざわざ遅いスピードで作ったのだから、見た目からして、ホントに良いの?となりますね。しかし、今まで見てたのが、想定スピードが速すぎただけです。
50km/h以上でデザインしたなら?ですね。ただその恩恵は、その速度を出せた人のみです。『何人居るかな?』ですよ。
これも仕方ないかなぁ〜と思います。
大体、完成車がもう、50Tが最大ですから…。
50Tごときでは、例え11T掛けても、80ケイデンスで、46km/h…。 そう、出ないだよねぇ50km/hってさ。
多くのローディーが、ど平坦ですら、アウタートップを踏み回せるとは思えない。いいとこ50/13T辺りだろう。80ケイデンスで、39km/h。40km/hにすら届かない。
下手すると48Tとかだし…。
これで、50km/h付近のデザインしてもね…ってなります。
正解だとは思いますよ。SL8は。
確実に、アウター50Tの速度レンジのデザインをしてます。
まぁプロ見たいに、アウター54Tとか入れてくるならまだしもですね…。(厳しい山岳ステージですら、54/40Tです。 )
平坦ステージなら、60Tシングルとか割と普通ですしね。
もう市販品とのスピードレンジの差が大きすぎるんだよね。この辺と決別したのが、トラックですね。ホント、一見さん、初心者さんお断り!の世界になってますね。
【未だに日本人は、LOOKにMavic iOだと思っているが…いつの時代だよ!です。】
今、空力最前線は、TTでは無い。『トラック』です。注目はトラック競技にあり!ですね。
私的には、普通な自転車のカタチしたエアロは、もうSL8で終わりか?と思ってます。
多分、TTバイクは、トラックバイクのトレンドを取り入れて来ると、思いますね。
トラックバイクは、既に乗り方さえ変えてしまったんですから…。
次回は、皆さまの知らない【トラックの空力】について書こうと思います。次世代TTバイクが見えて来ますよ!