谷川俊太郎 「へいわとせんそう」ブロンズ新社 2019 【再掲】 | 日々是本日

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bookudakoji の本ブログ

 日本の一番暑い日である。

 

 今年は台風7号上陸中の、日本の一番暑い日である。

 

 NHKスペシャルが戦争特集になる。

 

 日本の夏である。

 

※8/14(月)※NHKプラスで配信中(配信期限:8/21(月)午後11:30)

 

※8/15(火)午後7:30~

 

 谷川俊太郎「へいわとせんそう」は2019年の8月15日に紹介した本である。

 

 以来、毎年8月15日はこの本の記事の再掲である。

 

 

 この本はイラストレイターの Noritake が絵を担当している絵本である。

 

 目次はこうなっている。

 へいわのボク せんそうのボク

 へいわのワタシ せんそうのワタシ

 へいわのチチ せんそうのチチ

 へいわのハハ せんそうのハハ

 へいわのかぞく せんそうのかぞく

 へいわのどうぐ せんそうのどうぐ

 へいわのぎょうれつ せんそうのぎょうれつ

 へいわのき せんそうのき

 へいわのうみ せんそうのうみ

 へいわのまち せんそうのまち

 へいわのよる せんそうのよる

 へいわのくも せんそうのくも

 みかたのかお てきのかお

 みかたのあさ てきのあさ

 みかたのあかちゃん てきのあかちゃん

 

 ほとんどのページが下記のように見開き2ページの体裁となっている。

 

▼サンプル画像(絵本ナビより)

 

 タイトル以外の言葉はなくシンプルなイラストがあるのみである。

 

 これだけなのに強いメッセージ性がある。

 

 最初のページは「へいわのボク せんそうのボク」である。

 

 「へいわのボク」は胸を張って立っており、「せんそうのボク」は膝を抱えて座り不安そうな顔をしている。

 

 せんそうだからといって人々の生活がないわけではないが、そこに希望はない。

 

 おうちでお馬さんをしてくれているはずの「へいわのチチ」は、「せんそうのチチ」となって、「せんそうのどうぐ」をもって走り回っている。

 

▼サンプル画像(絵本ナビより)

 

 せんそうだからといって全てが悲惨なのではないが、全てにおいて希望がない。

 

 せんそうとはこういうことなのだと改めて痛感させられる。

 

 この絵本を読んだ多くの子どもは、ためらいなく問うだろう。

 

 「せんそうのよる」はなんでまっくろなのか問うだろう。

 

 「せんそうのくも」はなんできのこなのかを問うだろう。

 

 「みかたのかお」と「てきのかお」はなにがちがうのかと問うだろう。

 

 大人は「みかたのかお」と「てきのかお」のページを見比べて答えにためらうだろう。

 

 違わないからである。

 

 味方の顔も敵の顔も同じである。

 

 味方の朝も敵の朝も同じである。

 

 味方の赤ちゃんも敵の赤ちゃんも同じである。

 

 そうなのである。

 

 「みかたとてき」のページはほぼ同じ内容で同質性を表現しているのである。

 

 「みかたのあかちゃん」と「てきのあかちゃん」の違いを見つけることができなかたったところに、救いがあった。

 

 そして最初のページに戻る。

 

 この赤ちゃんはいずれ、「ボク」あるいは「ワタシ」になる。

 

 「へいわの」あるいは「せんそうの」、「ボク」あるいは「ワタシ」になる。

 

戦争が終わって平和になるんじゃない。
平和な毎日に戦争が侵入してくるんだ。

 谷川 俊太郎

 

絵本ナビの「へいわとせんそう」紹介ページより引用

 

合掌