江川達也 「まじかる☆タルるートくん」 小学館 1989~ | 日々是本日

日々是本日

bookudakoji の本ブログ

日本の言葉の由来を愛おしむ 三章 ほのぼの

の項で「足るを知る心」について触れたが、

 「足るを知る」ということを想う時には

どうしても「タルるートくん」も思い出してしまうのである。

 

この漫画は、江川達也が「BE FREE」という青年漫画の次に描いた作品である。

週刊少年ジャンプ連載期間は S63年38号~H4年40号 で、

一言で言ってしまうと、現代版「ドラえもん」のような話である。

 

「のび太」と「ドラえもん」のまわりに「ジャイアン」と「しずかちゃん」がいるように、

「本丸」と「タルるートくん」のまわりには「じゃば夫」と「河合伊代奈ちゃん」がいる。

 

下記のカバー絵が「タルるートくん」なのであるが、

魔法使いの設定で、

ドラえもんがのび太を助けるように、

魔法やアイテムで本丸を助けるというわけだ。

 

 

5年弱の連載期間を読み続けた後、

そろそろ終わるのかなという展開になり、

当時、最後がどうなるのか凄く期待していた。

 

最終話の一つ前の話は「吾唯足るを知るの巻」となっており、

修学旅行で京都の行った時の思い出として、

龍安寺の知足の蹲踞(つくばい)が紹介される。

 

「知足の蹲踞」は龍安寺の茶室前にある手水鉢(ちょうずばち)で、

 「吾唯足知」と刻まれている。

 

最終巻(21巻)は「心が十分足る理由の巻」となっており、

これは最終話のタイトルである。(カバー絵の中ほど右側)

 

「タルるートくん」が去った後、

心が「足る」ようになれば「タルるートくん」はもう必要でなくなるという、

少年の自立の物語であることが最後にわかるのである。

 

少年ジャンプ連載の少年漫画にして、

この「足るを知る」というオチはあまりにも衝撃的であった。

しかも、「タルるートくん」の「タル」が「足る」であったとは!

 

その後、歳を重ねるにつれて「足るを知る」ということが

大切であるという認識が深まっていくのであるが、

こんなわけで、「タルるートくん」の記憶も廃れないのである。

 

ちなみに、Eテレに「2355」という番組がある。

23時55分から放送される5分間番組。

ここで時々、「龍安寺の歌(歌:中川翔子)」が流れる。

今ではこれもよく思い出す。