「ここち」は「心持ち」が縮まった語とも言われているそう。
人の行為を表す動詞と結びついて、
「○○ごこち」という複合語となる。
著者は特に、「衣」と「食」に関する動詞との結びつきに注目している。
それは例えば「着ごこち」、「住みごこち」という言葉であり、
心と体と環境は不可分のものという洞察が含まれていると言う。
確かに、「着ごこち」という時の意味は、
着るという行為を媒介として、
心と衣服が一体化している時の「心地」(感じ)である。
この生物個体と環境を不可分のものとする見方は、
科学においては、近年の心理学において、
ようやくエコロジカル・アプローチ/生態学的アプローチとして
提唱されてきたものである。
古くから自然に、この洞察を言葉に含めてきた日本人の感性には脱帽である。