日本の言葉の由来を愛おしむ 四章 ほのぼの | 日々是本日

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bookudakoji の本ブログ

「ほのぼの」は「ほの」を重ねた言葉で、

「ほの」とは「ほのか」や「ほの白い」というように、

光や音などが少量であることを示す言葉。

 

著者は「ほのぼの」という言葉について、

じんわりとにじみ出るような美しさが感じられて心が温まるが、

それは、時代が下ると「ほの」に「少量であることで生まれる美しさ」という

肯定的な意味が含まれるようになったからであると言っている。

また、「ほのぼのを感じる心」は「足るを知る心」に通じるものであると、

指摘している。

 

著者は「少量であることで生まれる美しさ」について、

「わずか」という言葉に置き換えた場合の例を挙げている。

例えば、「わずかな灯り」という表現が、

少量で足りない感じであるのに対して、

「ほのかな灯り」という表現では、

少量であることで生まれる美しさが感じられるということである。

 

少量についてはもともと、

「少ししかない」という否定的なとらえ方と、

「少しはある」という肯定的なとらえ方の両方が可能であり、

肯定的な表現に美的なニュアンスが含まれても、

不思議ではない。

 

「足るを知る心」に通じるものがあるというのは、

慧眼な指摘であると感じた。

何かにつけてスピードと量が求められる時代であると感じるが、

それは「足るを知る心」を失うことではない筈である。