ディープインパクトの素顔 | 吉岡の戯言

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リオンリオンが勝った昨年のセントライト記念当日、私は中山競馬場で行われたJRAの記念イベントに出演させていただきました。トークショーです。その中で、同席した岡部幸雄(元騎手)さんが、「ディープインパクトは武君しか乗れません。」と言ったのです。

 

 

私は、その時にディープインパクトの素顔を垣間見た思いがしました。何となく謎が解けたというか、今までもやもやしていたものが吹っ飛んだというか、そんな気がしたのです。

 

トークショーの中で、岡部さんは特に言明されませんでしたが、私が悟ったことは、ディープインパクトは引っ掛かる気性を内包していて、本質はスピード馬だったということです。おそらく、新馬戦を逃げて勝ったら、単なる逃げ馬になってしまい、ダービーまではそれで押し切ったかもしれませんが、菊花賞以降はどうなったか……。というのが私の推測です。サイレンススズカぐらいは活躍したかもしれませんが。

 

83年の三冠馬ミスターシービーは、新馬戦こそハイペースを先行して押し切りましたが、その後は徹底して追い込みに徹しています。母シービークインのスピードと気性を受け継いだミスターシービーは、その母を知っている吉永正人さんだからこそ、追い込み馬に育て上げることができたのかもしれません。

 

 

本質はスピード馬であり、そのスピードを早い段階から瞬発力に転化することができたのがミスターシービーでありディープインパクトだとすれば、私達はその本質を知られないままに、その強さに驚愕し、感嘆してきたのかもしれません。追い込み馬は勝ち方が派手でインパクトが強いので、ファンの心を掴んで離しません。見てる側がハラハラドキドキする点で、逃げでぶっちぎる強い逃げ馬とは感じ方が異なります。

 

グランアレグリアの桜花賞は刻んだラップが秀逸で、ラスト600mから10秒8→11秒0の地点で勝負を決めましたが、この区間のトップスピードは破格です。この卓越したスピードを瞬発力に転化したのが阪神Cで、この時点で私は、グランアレグリアの完成型が出来上がったと見ています。この手のタイプが脚質転換に成功すれば、もう鬼に金棒です。

 

本質はスプリンターではなく、マイラーだとしても、中山芝1200mなら、まったく問題はありません。まだ理解していない方が多いようですが、他の競馬場の芝1200mはワンターンですが、中山芝1200mは外回りを使っているので、厳密に言えば、ワンターンではないのです。高松宮記念よりものびのびと走れるコース形態なので、今回は大幅にパフォーマンスが向上すると、私はそう思っています。