ウィリアム・アイリッシュ No.9◇幻の女◇ | 星よりも大きく、星よりも多くの本を収納する本棚

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9年間の海外古典ミステリ読破に終止符を打ちました。

これからは国内外の多々ジャンルに飛び込みます。




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アリバイを証明してくれる、唯一の証人を探し出せ! タイムリミットは18日間!

 

 

 

 

 

◇幻の女◇ -Phantom Lady-

ウィリアム・アイリッシュ 

 

 

妻と喧嘩し、あてもなく街をさまよっていた男は、風変りな帽子をかぶった見ず知らずの女に出会う。彼は気晴らしにその女を誘って食事をし、劇場でショーを観て、酒を飲んで別れた。その後、帰宅した男を待っていたのは、絞殺された妻の死体と刑事たちだった! 迫りくる死刑執行の時。彼のアリバイを証明するたった一人の目撃者“幻の女”はいったいどこにいるのか?最新訳で贈るサスペンスの不朽の名作。

 

 

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ヘンダーソンは妻のマーセラと喧嘩して家を飛び出した。夫婦仲はとっくに終わっているが今日は食事とショーに出かける約束だったのだ。なのに直前になって彼女は高笑いしながらそれを放棄したのだ……

 

 

ヤケクソになったヘンダーソンは偶然入ったバーで出会ったパンプキンそっくりの帽子を被った女と食事とショーに出かけた。お互い名前や境遇は明かさずに……

 

 

予約は無駄にならなかったし、まあまあ楽しい時間を過ごせたヘンダーソン。ところが家に帰った彼を出迎えたのはマーセラではなく刑事だった。それもそのはずマーセラは殺されて死体になったのだ! しかもヘンダーソンが身に付ける予定だった、怒りのあまり投げ捨てた青のネクタイで……

 

 

刑事はヘンダーソンを疑ってかかるが自分にはアリバイがある。バーで出会ったパンプキン帽子の女……ところが顔を覚えるのが苦手なヘンダーソンは特徴を思い出すことが出来ない。その上恐ろしいことにバーでもレストランでもショーでもヘンダーソンは「1人で来た、女の連れなど居なかった」と言うではないか!! そんなはずない!!しかしヘンダーソンには若い愛人が居て殺害の動機があった。アリバイの証明も出来ない、動機は十分、ヘンダーソンは死刑になってしまう。

 

 

ヘンダーソンは絶望するがその経過を見ていた刑事バージェスは、ヘンダーソンは無実で全部本当のことを言っていたのではないか、と信じるようになる。バージェスはヘンダーソンの為なら骨身を惜しまず働いてくれる友達、ロンバードを南米から呼び寄せ、彼にヘンダーソンの無実と「幻の女」を探し出して貰うが次々と不可解な死が……

 

 

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「幻の女」です(・∀・)

ウールリッチ=アイリッシュの代表作にして最高傑作、ついに登場! ミステリーに時々登場する「リミットもの」、その極致である「死刑執行サスペンス」の記念すべき元祖です。

 

 

エラリー・クイーンはかつて薪を探させましたがここでは女を探します。確かに話をし、一緒に食事をし、ショーを観に行った、それなのに他人の目には一切触れなかった「幻の女」を! 自分以外にその女の存在を立証できない、はホックも書きましたがその不可解さと恐怖は比べものにならない。だってこのままだと死刑だし!! それを誰も信じてくれない、全員が存在を否定する、これが恐ろしくなくて何ですか。勿論タネがあると分かっているのにその道中が不可解不気味すぎて読んでいるこっちまで死刑を待っている気分に……

 

 

この作品がウールリッチ=アイリッシュの代表作と名高いのは無実なのに死刑宣告される、アリバイを証明してくれる人がいない恐怖が比べ物にならないから、と思っていました。……ですが、真相も「幻の女」が生まれた理由も正体もあっ、と驚くどんでん返し!! 真相が明かされた瞬間、事件の見方は反転する、故に全てが予測不能になった……謎解きとしても非常に良く出来ています。「ウールリッチ〜? えー、サスペンスでしょ〜?」と乗り気じゃない人にも勧められます。

これからも「幻の女」は読者とミステリー界を魅了するでしょう。ウールリッチはその点でも成功しています。

 

 

「幻の女」でした(・∀・)/

「古事記」も「日本書紀」も何も知らんですが楽しめると、良いな←(*^o^*)/