米澤穂信◇黒牢城◇ | 星よりも大きく、星よりも多くの本を収納する本棚

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9年間の海外古典ミステリ読破に終止符を打ちました。

これからは国内外の多々ジャンルに飛び込みます。




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織田に逆らう有岡城は事件が起こるにつれて次第に不穏な火種を孕む牢獄になった……






◇黒牢城◇ -Arioka Citadel-

米澤穂信



本能寺の変より四年前、天正六年の冬。織田信長に叛旗を翻して有岡城に立て籠った荒木村重は、城内で起きる難事件に翻弄される。動揺する人心を落ち着かせるため、村重は、土牢の囚人にして織田方の軍師・黒田官兵衛に謎を解くよう求めた。事件の裏には何が潜むのか。戦と推理の果てに村重は、官兵衛は何を企む。デビュー20周年の到達点。『満願』『王とサーカス』の著者が挑む戦国×ミステリの新王道。



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1.雪夜灯籠

 ……織田信長に叛旗を翻し、一向門徒もとい本願寺側についた荒木村重と有岡城の味方が次々と織田に降伏した。しかし熱心な一向門徒である安部兄弟の降伏は予想外だった。有岡城には人質としてその子どもがあった。村重は「今は殺さない」と申し伝えたが……



2.花影手柄

 ……有岡城近く、東の沼に織田軍が陣を築いた。村重は夜討ちをかけ見事大勝していくつかの首を持ち帰るがその中に大将大津の首があることを知る。ところが大津の顔が分からず首実験でも分からない。雑賀衆か高槻衆か……あまり仲の良くない両者が納得する結論を村重は下すことが出来るのか。



3.遠雷念仏

 ……夏。宇喜多が織田に寝返り、曲者が蔓延る有岡城はますます緊迫していた。そんな中民から慕われる僧の使者、無辺がやってくる。無辺は齋藤利三の密書を預かっており、更に村重から「人質」として名茶壷の「寅申」を寄越せと行ってきた。村重は「寅申」を手放すが、その直後その無辺は何者かに殺された。



4.落日孤影

 ……無辺を殺した犯人には落雷という「御仏の罰」が降った。が村重はそのすぐ近くに鉄砲玉があるのに気付いた。何者かが鉄砲でその犯人を撃ったのだ。その人物は何者か……村重がいた連の事件に潜む共通点に気づいた時、土牢に囚われる黒田官兵衛の思惑を目の当たりにする……



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「黒牢城」です(・∀・)

あらゆるミステリーランキングの1位に輝き、直木賞も受賞した傑作、本ブログ登場〜! 「このミス」1位が分かった瞬間に予約を入れたので半年でゲットとなりました。



そんなわけでこちらに続いて「このミス」国内第1位作品その2!  米澤穂信といえばベストセラー作品も多い大人気推理作家ですが恥ずかしながら初めて読みました。故に「氷菓」シリーズ等の先入観無しで読むことが出来たのはなかなか良かった?



さてさて、前評判が高いのは知っていましたが歴史ミステリということ以外は何にも情報を仕入れなかったので、主人公はおろか、舞台が戦国時代であることも知りませんでした。人物の一生を知ると結末が朧でもわかるのでウィッキーも使いませんでした。ある意味良い読者とも言えるのか……



ミステリでもホラーでも恋愛でも、歴史小説での醍醐味は虚実(フィクション)部分が史実とかち合う時に生まれる「新しい事実」を垣間見れることです。

荒木村重の有岡城籠城という史実を下敷きに次々と起こる不可解な事件という虚実(だよな?)が、村重や当時の家々の情勢や世相を考え見るに「起こることが必然だった」というところが良いです。

というかこの人、普通の武将に見えて下剋上だったのか〜……常に「いつか自分も……」と思っていたのかと思うとやるせない……そこが江戸時代の武家と違いますね。常に死が近かった。老若男女問わず常に「自分はどう死ぬか、どう死にたいか」を意識させられた。それは村重の側室千代保を見るとよく分かります。というか辛過ぎる!!



異色な安楽椅子探偵、黒田官兵衛。囚人探偵は他にも居そうですが名高いバスティーユは17世紀だし、世界最初の囚人探偵かも? 黒田官兵衛のことはあまり良く知らないのですが、下手したら言葉だけで人間の運命を唆した唯一の武将かも知れない。あと黒田官兵衛の目的がそれ一つだったとしたら村重の最期がそれが果たされたか否かを語っていると思います。



「黒牢城」でした(・∀・)/

次は怪奇幻想、ホラーがふんだんに盛られたカーニバルに参加しませんか? (*^o^*)/